『アジアの女』

作・演出/長塚圭史
出演/富田靖子 近藤芳正
   菅原永二 峯村リエ
   岩松 了

2006/10/14(土)13:00開演
東京/新国立劇場・小ホール

近未来の東京。震災に見舞われ都市機能は麻痺し、人々は混乱している
街の片隅でひっそりと暮らす兄妹がいた
妹は震災前に精神を病んでいたが、今は落ちつきを取り戻し
兄の面倒をみながら暮らしている
そこへあるひとりの男が訪れ、3人の新しい生活が始まる
多くのものを失ったあと、人間はどこに向かっていくのか……


新国立劇場に行ったのは初めてでしたが
とても大きくて綺麗な建物でうっとりでした(笑)
最寄り駅から直結しているのも嬉しいです。

舞台は逆T字のような形で、
真ん中にメインステージ、そこから伸びる花道的な通路の
両側にも客席が置かれ、
お客さんはメインステージを挟んで向かい合わせに座るようになり
どこから観ても死角があって、
面白い配置だなと思いました。
私は正面からステージを見る位置の席でした。

震災後ということで、ステージ上には瓦礫の山。
1階が潰れて2階のみ残った家。
傾いたアパート。
音楽とかも無く、静かな劇場内に入ると
なんだか不思議な感覚でした。

富田靖子さん。
もう少し狂気な感じも見られると良かったかなと思いました。

近藤芳正さん。
結構出ずっぱりで、感情の起伏も激しくて大変かなと思いました。

菅原栄二さん。
ちょっと声とか喋り方が池鉄さんに似てると思いました。
どんな役でもすんなり似合う人だなぁ〜と思います。

峯村リエさん。
やっぱりほのぼのした雰囲気で和みます。
でも実は…て感じでちょこっと空気が変わるところも
しっかり演じ分けておられて凄いなと思いました。

岩松了さん。
作家が作家の役、しかも書けない作家を演じるというのは
複雑な気持ちとかしないのかなと思いました(笑)
岩松さんの、こおいうガッツリした演技(?)を見るのは
初めてのような気がするのですがとても良かったです。

感想を書こうとすると、
あらすじを全部書いていかないと難しいのですが(^_^;
ラスト、あるストーリーが作られていくところから
最後のシーン、というか「画(え)」はとても感動しました。
ちょっと泣きそうでした。
やっぱり長塚さんは最後に希望を残したいんだなと思いました。
静かな静かな終わり方でとても綺麗でした。

正直「アジアの女」というタイトルとはちょっと違うかなと思いました。
ラストで↑の言葉が出てくるのですが唐突で無理矢理な感じがしました。
もうちょっと、外の世界との繋がりとか
「アジア」が感じられる部分が強く欲しかったです。
それを思わなければ、とても良かったと思います(笑)

「最小限の台詞と最小限の出来事」と書かれていましたが
それでも結構説明されていて、
もっとイメージ的でも良かったのかも。と思います。

カーテンコールがなくて、ふわっと余韻を残した終わり方は
はじめてで戸惑いましたがこの作品には合ってて良かったと思います。

何年後かにまた改訂して再演があるといいなと思いました。