『あわれ彼女は娼婦』

原作/ジョン・フォード
翻訳/小田島雄志
演出/蜷川幸雄
出演/三上博史 深津絵里 谷原章介
   瑳川哲朗 石田太郎 たかお鷹
   立石凉子 中丸新将 有川博
   梅沢昌代 高橋洋 月影瞳

2006/08/13(日)14:00開演
大阪/イオン化粧品 シアターBRAVA!

中世のイタリア、パルマ地方。
勉学に優れ、人格的にも非の打ち所がないと
将来を嘱望されるジョヴァンニ(三上)は、
尊敬する修道士(瑳川)に、
自分の心を長く苦しめてきた想いを打ち明ける。
それは、妹アナベラ(深津)を女性として愛しているという告白だった。
修道士は叱責するが、ジョヴァンニは鎮まらず、
アナベラに気持ちを伝えてしまう。
すると彼女もまた、兄を男性として愛していた。
ふたりは男女として結ばれるが、
幸福な時間は続かず、やがて妊娠が判明。
カモフラージュのために、アナベラは
かねてから求婚されていた貴族のソランゾ(谷原)のもとに嫁ぐが、
ソランゾは彼女の不義を見抜き、怒り狂う。
そして、
お腹の子供の父親が妻の実の兄であることを探り当てるのだが……。


とにかく悲惨な話です(^_^;
最後は大殺戮だし…bb
しかも悪者?は生き残るんですよね〜
シェイクスピアと同じ時代の作家さんとのことですが
こおいうの、流行ってたんですかね。
パンフでも比較されていましたが
「ロミオとジュリエット」に似ていると思いました。
近親相姦てことで、あちらより叶う望み薄だから
こちらの方がより悲劇かもしれないですけど。

昔の作品らしく、説明台詞が多かったです。
その割に場面(時間)の変化に付いて行けず
なかなか感情移入できませんでした。
一瞬で何ヶ月も経ってたりするのですが
それが分からないので感情の変化などが唐突に思えて
しっくり来なかったんです。
あと宗教的な感覚もよく分からないですしね。

あと、いるのかいらないのか分からない
伏線や裏設定?が多かった気もします(^_^;
たかお鷹さん演じるリチャーデットという人は
医者のフリをしてジョヴァンニ&アナベラの家に入り込むのですが
実は昔、ソランゾに妻ヒポリタ(立石)を寝取られて
失踪していた元夫で、
彼らに復讐する為に戻ってきているんです。
でも、私が聞き逃しただけかもしれませんが
話の中ではそのことはあまり語られて無くて
(ソランゾもヒポリタも、関係ないところで死んでいくし)
最後、リチャーデットが変装を解いて
みんなが「あ!あなたは」みたくなるんですけど
え?誰?て感じでした。
(パンフの人物相関図を見て分かったbb)

また、高橋洋さん演じるバーゲットは
頭は弱いけど心の綺麗な青年で
最初はアナベラと結婚しようとするのだけど
リチャーデットの姪フィロティス(月影)と恋をして
2人でしあわせになろうって時に
ソランゾと間違われて殺されちゃう。
しかし犯人は枢機卿て偉い人に守られてお咎め無し。
バーゲットの叔父ドナードは嘆くんだけれど
復讐とかは無くて最後にはその枢機卿と一緒にいる。
そしてその事件は主役の二人には何にも関係なくて
なんのためにバーゲットは死ななきゃいけなかったの?
て感じでした。
バーゲット、このドロドロした話の中で
唯一の清涼剤といいますか、心和む存在だったので
彼が死んじゃったところはとても悲しかったです(TωT)

しかも枢機卿は最後の最後に、タイトルでもある
「あわれ彼女は娼婦」
という台詞を言って全体を締めちゃうんですよね〜
なにがなんだかって感じです。

休憩入れて3時間以上のお芝居でしたけど
それでも削られたエピソードとかあったのでしょうか。

1幕は、またまた少しですが眠気との戦いがありましたbb
なんていうか、台詞は難しいし早口だしで聞き取りづらく
音楽などが入らない会話だけのシーンが多かったので
ちょっと退屈しちゃいました(^_^;

でも、2幕ははじめから最後までドドーっと話が進むので
バチっと目も冴えて(笑)ドキドキしながら観れました。
特に最後は予想以上の展開でビックリしました。

あと、その凄惨なラスト近くのシーンの間中、
どどどどどーっという低い音がしていて
効果音だとばかり思っていたら
なんと外は雨&雷がかなり激しかったみたいです。
(外に出て道路が濡れてて驚きました)
シーンとあまりにマッチしていたので良かったのですが
もしも静かな芝居だったらすっごく嫌かもて思いました。
BRAVA! は元は劇団四季の劇場だったのですけど
思ったよりシートとか音響とか良くないですね(>_<)
それでもステージの形が自由に変えられたりするからか
最近よく使われてて、あんまり嬉しくありません。。。

三上博史さん。
もう結構なお歳かと…思うんですが(40代?)
こおいう悩める青年役みたいのがめちゃめちゃ似合いますねvv
私は三上さんのこおいう役、大好きなので
かなりときめいておりました(笑)
ラストがなぁ〜自ら…だったらもっと良かったのにと思います。

深津絵理さん。
美しかったです。清楚で凛としてて素敵でした。
でも、台詞の言い方が、どーもわざとらし過ぎて…
深っちゃんだけ浮いてる気がしてダメでした。。
もうちょっと自然な感じで言ってくれたら良かったのになぁ〜
と残念です。
蜷川さんにも殆どダメだしされなかったみたいだし、
他の人の感想読んでも大抵大絶賛なので
私だけが思ったのかも知れないのですが…。。

谷原章介さん。
千秋楽でお疲れモードだったのか
いつもの美声が少し変わってた気もしますが
とても良かったです。
谷原さんて舞台経験あるんでしょうか。
背も高いし、カッコ良かったです。
谷原さんの怒りを爆発させた演技ってあんまり観ること無いので
良かったと思います。

あとは…
高橋洋さんて二枚目系だと思ってたら三枚目で驚いたのと
中丸新将さんて名前だと全然ピンと来なかったのですが
ドラマとかでよく見る方でビックリしたのと…
…そんな感じです(笑)

蜷川さんの演出作品を生で観るのはまだこれで2回目ですが
今回はわりとセットとかおとなし目かなと思いました。
カーテンの色とその開け閉めとライティングで、
inとoutや場所を切り替えるのは良かったと思います。
あと、宴のシーンでの燭台の明かりが美しかったです。
客席横にも付いていて、いつの間にっっ!!て驚きました。
自動で点いたり消えたりするのにもビックリ(笑)

客席まで役者さんが降りてくるのには毎回ながらドキドキします。
でも、2階席からは殆ど見えなかっただろうと思うので
あんまり多用するのもどうかなと思いました。

カーテンコールは5回?
挨拶等はありませんでしたが、
役者さん達が段々と笑顔になっていくのが良かったです。
あと、三上さんが最初すごく泣いていたのが印象的でした。
はける時、深っちゃんと堅く手を繋いでいるのも良かったです。
谷原さんとも仲良さげで嬉しかったし。
4回目くらいで舞台上に花火がサーッと上がって
役者さんもびっくりされてました。
とても綺麗だったです。

先にロミジュリと似てると書きましたが
前回のロミジュリペア、
藤原竜也くんと鈴木杏ちゃんでこの作品をやったら
なかなか良いかもと思いました。

あと、この戯曲を長塚圭史さんに
アレンジして演出してもらったら…
と考えて、ものすごく観たくなりました(笑)

タイトルの意味はよく分からないですね。
台詞でもアナベラは「娼婦」って罵られるんですけど
愛したのはジョヴァンニただ1人だし。
昔と今では意味が違う部分もあるのかもしれないですね。