阿佐ヶ谷スパイダースPRESENTS
『イヌの日』

作・演出/長塚圭史
出演/内田滋 剱持たまき 八嶋智人
   大堀こういち 村岡希美 玉置孝匡
   松浦和香子 水野顕子 大久保綾乃
   中山祐一朗 伊達暁 長塚圭史
   美保純

2006/12/06(水)14:00開演
大阪/シアター・ドラマシティ

高校を卒業後、進学も就職もせずに悪友たちと遊び暮らす
広瀬幸司(内田)。
ある夏の始め、
仲間内のリーダー格である中津正行(伊達)からある仕事を頼まれる。
中津がしばらく留守にする間、
「ある人たち」の面倒を見てくれというものだった。
とまどいつつも大金に釣られ引き受けた広瀬であったが、
その「ある人たち」とは恐るべき状況下にある者たちであった…
彼らは中津の家の裏の防空壕に、16年間監禁されているのである。
しかし、彼らは中津から
「外の世界は滅亡寸前で、自分たちはここにいて助かったのだ」
と教えられ、外に出たいとも思わず、子どもの心のまま
毎日楽しく遊んで暮らしていた。
このことは誰にも話すなと言われた中津だったが
子ども染みたいたずらばかりする彼らを持て余し
たまたま出会った男、宮本(八嶋)に自分の代わりを依頼する。
宮本はすぐに彼らと馴染み、
外に出ず彼らと生活まで共にするようになる。
徐々に崩れてくる地下での暮らし。
そして地上でも…


2000年夏に下北沢駅前劇場で上演されたものの再演。
阿佐ヶ谷スパイダースが再演をするのは初めてとか。
スパイダースにとって
ターニングポイントになった作品とのことで
長塚さんにとってもかなり思い入れのある作品だったようです。

劇場に入ってまず思ったことは
「セットが豪華になっている!」でした(笑)
初演版ではとてもシンプルだったセットが
2階建てになり、赤いネオンなんかもともっていて
とてもカッコ良く凝った作りになっていたからです。

劇場に入る前にすったもんだあったため
(郵便事故でチケが届かず、連絡してたのに開演10分前まで入れてくれなかった)
落ち着かない気持ちのまま開演(^_^;

話の大筋は変わっていないものの、
美保純さん演じる中津の母親というキャラが新たに登場し
登場人物達の背景とかも深く描かれて
なんだかとっても厚みのある話になったように思いました。
上演時間2時間半以上という長い話でしたけど
すごく惹き込まれて観ていた為、
あまり時間は感じませんでした。
(見終わった後はぐったり疲れてましたけど/笑)

内田滋さん。広瀬幸司
すごくキレイな人でした。
なんか、台詞がもたっとしてるというか、
広瀬みたいなチンピラ(笑)な役は似合わない気がしました。
私は、ですけど、微妙にしっくり来てなかったです。

剱持たまきさん。菊沢真理恵
この方も綺麗でしたね。可愛かったし。
美人が汚れた恰好をしている…と思ってしまいました(笑)
初演より純粋な感じがして好きです。

八嶋智人さん。宮本
最初にキャストを聞いた時、
浮くんじゃないかと思ったのですが
全然そんなこと無かったです(笑)
まぁ役柄的にどっちかというと浮いた役なので
良かったのかもですが。
声が大きいなぁ〜と思いました(笑)

大堀こういちさん。五味哲彦
警官というより刑事という印象…
と思ったら刑事でした(^_^;
いや、初演は警官だったのでたしか。
前回の同じ役より年齢が上がってます、よね?
なんか、大人な感じで
全体が締まったような気がしました。

村岡希美さん。石川陽子
大好きな女優さん。
村岡さんが出ると聞いて、
絶対この役だろうなと思いました。
登場人物の中で一番(唯一?)まともな感覚の人(笑)
でも男運が悪いというか、
ダメ男ばかり好きになって苦労しちゃうんですよね(^_^;

玉置孝匡さん。小笠原洋介
「真昼のビッチ」の時がヤクザの偉い人(笑)だったので
子ども役がハマってるのが意外でした。
もっと目立つシーンがあってもいいのにな、と思いました。
子どもの中でも1人外れてた感じがしたので。

松浦和香子さん。柴菜緒
初演と同じ役。もうピッタリ。
本人的には全然違う性格とのことだけど(パンフより)
中山さんの孝之との関係がとても可愛くて好きです。

中山祐一朗さん。井口孝之
地下サイドの主役だと思うんですが
とてもとても良かったです。
本当は恐くて悲しくてたまらないのに
明るく振る舞って
それが分かる瞬間が切ない。
ラスト近くの「でもお母さんでしょ?!」
の台詞に泣かされました。

伊達暁さん。中津正行
初演では大瀬(広瀬)を演じていて、今回役交代。
凄味みたいなものは薄かったけれど
中津の苦しみみたいのはとても伝わってきました。
初演の中津はただ危ない奴って感じだったから。
伊達さんというとなんとなくスリムなイメージだったのですが
なんかとても逞しく、スポーツやってるんだろうなって感じでした。

長塚圭史さん。西田明夫
どうしてこうもダメ男が似合うんでしょうね(^_^;
普段はとってもシュッとしててカッコ良いのに…(笑)
茶髪が新鮮でした。
あんまり登場シーンが無かったのが残念だったです。

阿佐スパ公演て、劇団本公演なのに
本メンバーの出番がゲストより少ないですよね(^_^;
中山さんはメインのことが多いですけど。
それってどーなのよ!実際!てちょっと思います(笑)

美保純さん。中津和子
色気があって、でもさっぱりした感じで。
伊達ちんの母親には見えなかったけど
まぁそおいう役ですもんね。
女って…悲しいね…。
あのあとどうなったのか気になります。

いつもながら、屈折した愛情のお話で。
愛しているからワザと嫌われるようなことしたり。
好きだからって監禁しちゃうとか絶対絶対ダメなんだけど
一概に「悪!」て言えないような
なんとも言えず悲しくなっちゃうお話でした。
最後の後日談みたいのは無くても良かったけど。
結局みんなどうなっちゃったんだろう。
今もまだ地下にいて、彼らが淋しくないように
中津&広瀬は今でも「仲間」を連れてきている
ということだったんだろうか。
水野顕子さんと大久保綾乃さんって
チラシにも入ってなかったので(ですよね?)
いきなり登場してビックリしました(^_^;

あと2回、広島で観ますので
そこら辺を考えながら観たいと思います。

それから、夏の暑い日の話 なのですけれど
やはり今観ると、夏だって意識が薄くなっちゃってたので
真夏に観たかったなぁ〜という気持ちもあります。

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dog days
1.土用:Dog Starが太陽と同じ時刻にのぼる時期
   ;7月3日から8月11日.
2.不振の(停滞した)時期.
3.(女性の)生理期間.