『12人の優しい日本人』

作・演出/三谷幸喜
出演/浅野和之 石田ゆり子 伊藤正之
   江口洋介 小日向文世 鈴木砂羽
   筒井道隆 生瀬勝久 温水洋一
   堀内敬子 堀部圭亮 山寺宏一

2006/01/28 大阪/シアター・ドラマシティ

もし、日本に陪審員制度があったら…
とある殺人事件の審判のために集められた
年齢も職業も性格もバラバラの12人の陪審員たち。
最初は全員が「無罪」で一致。審議は即終了。と思われたが
ひとりの男が「もう少し話し合おう」と言い出す。
評決には12人全員の意見の一致が必要で審議は混迷を呈する。
1対11からスタートする討論。
その中に見えてくるそれぞれの人となりや人生。
果たしてこの被告は「有罪」か「無罪」か。
彼らはこの事件の真相に辿り着けるのか…

今回チケットが全く取れなくて
ネット友さんのお陰で観に行くことが出来て、
本当にラッキーでした。
特に私が観た回は、WOWOW生中継が入るということで
もしかしたら三谷さんが来られるかも?!
という期待もあり、とても楽しみにしていました。

劇場入り口には大きな、何と言うのでしょう
看板でもないし垂れ幕でもないし…
チラシの12人がテーブルに集合した写真を
大きく引き伸ばしたものが張られています。
写真を撮ってる人もちらほら。

劇場内に入ると黒い布で覆われたカメラがあちこちに置いてあって
ちょっとドキドキ(笑)
今回の席は22列と一番後に近い位置でしたが
もともとそんなに大きな会場ではないので
役者さんの顔は充分見えそうです。

いよいよ開演時間。
スタンドマイクを自ら持って三谷さん登場。
隣の席のおばちゃんsは予想もしてなかったらしく
かなりテンション上がってました(笑)

最近は三谷さんが舞台上に姿を現すことは殆どなくなってるそうで
とても嬉しかったです。
三谷さんって、意外と背が高いですよね(笑)
そしてお話の内容が生瀬さんネタでなお嬉しvvでした♪
(何日か前の公演で生瀬さんが劇中にこっそりトイレに行ったという話)
三谷さんと生瀬さんは本当に仲が良いんだなと思いました(笑)

そしていよいよ本当に開演です。
舞台奥の扉が開いて、12人の陪審員が入ってきます。
この時まで、客席の照明が明るいからか、
順々に入ってくる役者さん達に向かって拍手がおきて
かなり違和感(^_^;
だってもう芝居は始まってるわけで…
わーっと盛り上がる場面でもないので拍手はいらないなと思いました。

そのほか、隣のおばちゃんsは上演中こそこそこそこそ話してて
かなりウザかったです(=_=#
内ひとりは客電落ちる寸前まで携帯メールしてるし!
もうなんていうか、
いい歳なんだからマナーぐらい守れよ!!!って感じです。

芝居自体は、全体的にはとても面白かったです。
役者さん達も皆さんさすがっって感じだったし
休憩、暗転無しの2時間全員出ずっぱりな緊張感も凄かったし
最後までドキドキ&ニコニコで観ることができました。

が、、、
話の内容には、実はかなり納得してませんbb
「え、みんなホントにそれでいいの????」
て思っちゃいました。。
パンフレットや、開演前の挨拶でも三谷さんは
「皆さんも13人目の陪審員になった気持ちで観てください」
と言われてました。
この作品はミステリーでもある、とも言われてました。
でも、そのつもりで観ていたら
あのラストではきっと納得できないと思うんです。
この被告が無罪であると言うことを証明するため
劇中ずっと議論してきて、
結局の結論がそれ?みたいな。
家の前の道が坂道だったから遠回りしたとか
「ジンジャエール」が「死んじゃえー」に聞こえたとか
ものすごく無理があると思うんです。
途中あれだけ「それじゃ説得力に欠ける」みたいに言っといて
最後はそれで納得しちゃうの??みたいな。

あと、証拠や証言がすごく小出しにされるので
ミステリとしてはルール違反だなと思いました(^_^;
あれでは観客は正しい推理できないと思うし。

それから、
殺人かどうかの判決を下すための話し合いなのに
みんなが個人的なことばかり言ってて
事実がどうというよりは、
ただ自分の意見を通したいだけって感じで
そんなんで人ひとりの人生決めていいのか?てのも思いました。
事件のことや被告のことはそんなに重要ではなくて
「そうそう日本人ってこんな感じだよね」
ていうのが言いたかっただけなら充分面白かったのですけど。
どうもそこが引っかかってスッキリしなかったのが残念です。

最初に、これはミステリで、お客さんも一緒に考えてくださいって言わなければ
それはそれで良かったと思うんですけどね(^_^;
この前の古畑もそうですけど
三谷さんって本当にミステリファンなのかな…てちょっと思っちゃいましたbb

役者さん的には、
生瀬勝久さんが素晴らしかったです。
一番の主役とも言えるのではないかと思うのですが
12人の中で一番台詞も動きも多いし
他11人全員を説得しなくちゃいけないし
本当に大変だったと思います。
この役を生瀬さんに与えたというところでも
三谷さんの生瀬さんに対する信頼が分かる気がします。

あとは小日向文世さんも素敵でした。
最近のドラマとかでは、
どちらかと言えばほんわかした役が多い小日向さんですが
今回はクールで理論派の役でとてもカッコ良かったです。

山寺宏一さんも良かったですけど
あの髪型はいかがなものかと…(^_^;
(ロン毛気味のカツラを被ってました)
なんでもこの回だけ、あの髪型だったらしいですけど。
ちょっと失敗かなぁ〜て思います(笑)
一般の人には、バラエティな印象が強いのではないかと思うのですが
役者としても素晴らしいという認識が
広まればいいなぁと思います。

江口洋介さんも初舞台ということで
某所では散々な言われようでしたけど(^_^;
全然良かったと思います。
ただ、これは脚本&演出の所為かもですが
途中でキャラが変わっちゃう?のが違和感と言えば違和感でした。

あとは…
正直この役者さんじゃなきゃ!てことは無かったというか
12人もいると、どうしてもあんまり目立たない人とかいて
でも役者さんは豪華だし
勿体ないなぁ〜って思ってしまいます。

カーテンコールは4回。
最後はスタンディングオベーションになりました。
私も立ちましたが、正直前の人が立ったからって感じでした(^_^;
客電が点いた時、山寺さんのアナウンスが流れたのですが
拍手でよく聞こえなかったのが残念だったです。

うーん。。
なんかモヤモヤした感が残ってしまってるので
DVDとか、映画版とか
もっかい観てみたいなぁ〜と思っています。
違う見方をしたらまた違った楽しみ方ができるかも?(笑)