NODA ・MAP 第11回公演
『贋作・罪と罰』

脚本・演出/野田秀樹
出演/松たか子 古田新太 段田安則
   宇梶剛士 美波
   野田秀樹
   マギー 右近健一 小松和重
   村岡希美 中村まこと 進藤健太郎

2006/02/18 大阪/シアターBRAVA!

江戸開成所の女塾生・三条 英(松)には、ある確固たる思想があった。

『人間はすべて凡人と非凡人との二つの範疇に分かたれ、
 非凡人はその行動によって歴史に新しい時代をもたらす。
 そして、それによって人類の幸福に貢献するのだから、
 既成の道徳法律を踏み越える権利がある。』

その思想に突き動かされ、英はかねてよりの計画通り、
金貸しの老婆殺害を実行に移してしまうが、
偶然そこに居合わせた老婆の妹までも手にかけてしまう。
この予定外の殺人が、英の思想を揺さぶり、心に重い石を抱かせてしまう。
殺人事件の担当捜査官・都 司之助(段田)は、事件の確信犯的な性質を見抜き、
次第に英に対して疑惑の目を向け始めた。
それに気づいた英は、都の仕掛ける執拗な心理戦を懸命にしのごうとする。
一方、英の親友・才谷 梅太郎(古田)は、
罪の意識に苛まれ苦しむ英の異変に気づき、その身を案ずるが、
才谷もまた、同時代の、より大きな歴史的事件の渦中にいたのだった。

1867年夏。
時あたかも尊王倒幕の機運高まる幕末の真っ只中、
「ええじゃないか」踊りが江戸市中を埋め尽くす。
新しい時代を目前に、無血革命を目指す、坂本竜馬。
竜馬の密通を疑い、武装蜂起を煽る志士たち。
そして、彼らの背後では、ニヒリスト溜水 石右衛門(宇梶)が暗躍する。

果たして、目的は手段を浄化するのか?!
永遠の命題が甦る革命前夜、
ついに三条 英が心のうちを語り始める・・・・・!


これぞ演劇!という感じでした。

野田さんの作品を生で観るのは初めてだったのですが、
お馴染みの早口台詞と、セットなどを使わない演出?に圧倒されました。

今回の客席は真ん中に舞台を挟んだ対面式。
本来客席がある部分の座席を取り除いて丸い舞台を作り、
舞台がある場所にも客席が作られています。
舞台の上には殆ど何もなく、舞台の周りにはたくさんの椅子。
小さな木の椅子だったりゆったりした布張りの椅子だったり。
そこへ、舞台上に乗っていない役者さんが入れ替わり立ち替わり座り
舞台上の演技を見てたり、
演者に合わせて音響(ドアを叩く音など)を担当したり
そして周りに置かれた椅子は場面場面で舞台上に上げられ、
様々な場面を表現されます。

役者さんも殆どの人が一人何役もこなし、
本当に目まぐるしく場面が展開するので、付いていくのに必死でした。
原作を読んで無いのでストーリーをよく知らなかったのも残念でした。

松さんの演技を生で観るのも初めてでしたが
この方もやっぱり舞台の方が輝いて見えるなぁ〜と思いました。
汗を飛ばし、唾を飛ばし、涙を流して演じる姿に感動しました。
英の心情の流れというのは、いまいち分からなかったのですけどbb
ずっとつっぱって生きてきて、
でも最後に、才谷への素直な気持ちを手紙に託す場面は
切なくて泣けました。

古田さんも、舞台だと素晴らしくカッコ良いですよね(笑)
カッコ良くて面白くて、ホント素敵でした。
カーテンコールで松さんと肩組んで去る姿が楽しげで良かったです。

段田さんは、各所でとても評判が良いそうですが、
確かに一番安定しているというか、自然でした。
でも、都にはもっともっと執拗に
英を追いつめて欲しかったなって思います。
その辺の怖さみたいなものがイマイチ感じられなかったのが残念です。

宇梶さんは、私の中では、、、、うーんイマイチでした(^_^;
なんか浮いてるというか。。
樽水と、英の妹、智のストーリーが、本編とどう絡まっているのか
よく分からなくて、最後も「どうしてそうなるの?」て感じだったんです。
これも原作知らないからなんでしょうけど。

中村まことさんは、とても好きな俳優さんなのですが
今回も素敵でしたvv
まことさんの、ダメ人間で、でもそんなに悪い奴でもなく、
みたいな役は、本当にピッタリだと思います(笑)
哀愁を感じるというか、切ないんですよね。
アドリブも面白かったです♪

あと村岡希美さんが素敵でしたvv
この方ももともと好きな役者さんなのですけど
今回の女性の役を一番たくさん演じていて
衣装の早変わりも凄いけれど、
声とかも全然変えているところも凄いと思いました。
色っぽくてカッコ良い女優さんだと思います。

小松和重さんは、見るたびに尊敬度が上がります(笑)
本当に器用で上手くてカッコ良い方ですね。
声も良いし、動きも軽やかで素敵でした。
左官屋がなぜ「自分でやった」と言ったのかは
よく分からなかったのですけど…bb

あとの方達も良かったです(笑)
劇団☆新感線の右近健一さん、初めてお顔を認識しました(^_^;

セットとか全くなくて、
椅子や布や大きなプチプチ(エアクッション)などを使った演出は
本当に凄いです。
リアルなものは何もなくても、しっかり伝わるんだなと感動。
野田さんの頭の中ってどうなってるんだろうって感じです。
なんだかよく分からなくて、ただただ圧倒されて、
でも、とても美しくて、
最後、涙が溢れてきたのが自分でも不思議でした。
ラスト少し前のシーンは本当に美しかったです。

原作、読んでみなきゃなぁ〜て思いました。