『噂の男』

作/福島三郎
潤色・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演/堺雅人 橋本じゅん 橋本さとし
   山内圭哉 八嶋智人
   猪岐英人 水野顕子

2006/09/10(日)12:00開演
大阪/シアター・ドラマシティ

時は現在。場所は大阪にある宝田興業の持ち小屋、
昭和の戦後に建てられた、宝田グランド劇場。
その舞台袖、地下にある『ボイラー室』と呼ばれる一室。
そこを訪れる、芸人たちとそれをとりまく人々。

☆鈴木光明(堺)=宝田興業のエリート社員。宝田グランド劇場支配人。
☆モッシャン(じゅん)=宝田興業所属の漫才コンビ“パンストキッチン”のツッコミだったが、相方のアキラに先立たれ、今は酒びたりの日々。
☆加藤信夫(八嶋)=ボイラー室の整備のためにやって来た、ボイラー技師。
☆ボンちゃん(山内)=宝田興業所属の売り出し中ピン芸人。
☆アキラ(さとし)=“パンストキッチン”のボケで、モッシャンの相方。12年前に他界。
☆骨なしポテト(トシ&アヤメ)(猪岐、水野)=宝田興業所属の中堅夫婦お笑いコンビ。

五人の男と一人の女、そして一人の幽霊(?)が集まって、
やがて露呈するそれぞれの思惑…。
そして12年前、アキラの死の直前に一体何があったのか…?
過去と現在を行き来しながら、物語は意外な方向へと展開していく…。


「いや〜な男たちの、いや〜なお話」
というのがこの作品のキャッチフレーズ?でした。
普段とってもほのぼのした心温まる作品を創っている福島さんと
その真逆みたいな作品(笑)を作っているケラさんが
一緒に作品を創る。
そしてキャストはとても魅力的な男性5人(+2人)
いったいどんな作品になるのか、
発表になった時からとても楽しみにしていました。

で、やっと観に行けた訳ですが…

もう、かなりケラさんな作品になってましたね。
すごくダークというか、悪意で満ちているというか、、、
性的、暴力的シーンも多く、
妬み、嫉み、ぐちゃぐちゃで、
笑えるシーンもたくさんあるのですが
なんだかどよ〜んとした気持ちになってしまいました。。
これをホントに福島さんが書いたの?!とビックリしたのですが
どうやら福島さんが書かれた脚本を
ケラさんや出演者のみなさんで
稽古をしながら色々変えていったみたいです。
その時に、ウェルメイドな部分は全て削ぎ落とされたとか。

嫌いじゃないけど、好きでもない…かなぁ〜て感じでした(^_^;

堺雅人さん。
このメンバーの中で一番浮くかなと思ってたんですが
そうでも無かったです。
「喜怒哀楽の全てを笑顔で表現する男」て言われてました(笑)
鈴木が最後どうなったのか、気になります。

橋本じゅんさん。
じゅんさんの悪い人な役とかあんまり観ないので
なんか恐かったです(>_<)
気が短くてすぐ暴力を振るう困った人だけど
ホントに悪くは無いのかも…と思わせて実は…みたいな。
最後もじんわり恐かったです。

橋本さとしさん。
W橋本コンビの漫才は息ぴったりで本物みたいでした。
テンポがすごく早くて凄いなぁ〜と思いました。
じゅんさんとさとしさんの絡みが観られたのは
今回嬉しかったことのひとつです。
アキラはいい人だと思わせて実は…みたいな(笑)

山内圭哉さん。
ズラ祭継続中、でした(笑)
でも、普通のカツラを被ると、誰だか分からなくなるかも(^_^;
今回僧正の面白さとかが、いまひとつ発揮されてなかった気がしました。
最初は結構毒のある役かなぁ〜と思ってたんですが
後半あんまり活かされて無かった気がして…
ちょっと勿体なかったです。

八嶋智人さん。
相変わらず賑やか…てか煩いです(^_^;
でも、この作品の中で、ボイラーさんが一番人間らしかったと思います。
やってることの理由が一番理解できるというか。

豪華キャストなのですが
全体的にいまひとつ、勿体ない感じがしてしまいました。
基本ホラーだから、オチがきちんと付かないのも好きじゃないのかも。
いや、一応オチは付いてるんですけど。
んー何て言ったらいいのか難しいのですけど。。
別に泣けるとか感動とかを求めてるわけでは無いんですけどね〜

「鈍獣」に感じが似てるなとは思いました。
でも、あっちの方が好きですね。
何がどう違うのかとか分からないけれど、、、

やっぱケラさんが苦手ってことなのかも(苦笑)

あと、血みどろ系てことで
長塚圭史さんを引き合いに出す人も多くいるような気がするのですが
それはちょっと違うんではないですか?と思います。
長塚さんの作品とは全くテイストが違ってると思います。
死体とか血とか出るからって一緒くたにされたらたまりませんっっ

…て同じに見える人もいるんですよね。。。

あぁ、またまた何が言いたかったか分からなくなってきた。
とにかく、
人間の怖さとか嫌な面とかを見せられる作品、でした。

んーこのメンバーで、
もっと楽しい作品も観たいです!