パルコ・プロデュース公演
『コンフィダント・絆』

作・演出/三谷幸喜
音楽・演奏/荻野清子
出演/中井貴一 寺脇康文 相島一之 
   堀内敬子 生瀬勝久

2007年5月20日(日)14:00 開演
大阪/シアターBRAVA!

1888年、パリ。
ムーラン・ルージュに程近い、とあるアトリエ。
そこに集まる4人のまだ世間的には無名の画家たち。
ゴッホ、ゴーギャン、スーラ、シュフネッケル。

4人は親友でもあるが、同時にライバルでもある。
4人とも、自分以外の人間に密かな対抗心を抱いている。
信頼、友情、うぬぼれ、嫉妬。
様々な思いが渦巻きながらも、
4人は表面上は常に「親友」であった。
毎日のように朝まで飲み明かし、そして語りあった。
それは微妙なバランスの上に成り立つ「友情」。

しかし1人の女性がモデルとして彼らのアトリエにやってきた時から
徐々にその均衡が崩れ始める。
果たして芸術家たちの間に真の友情は成り立つのか?

フィンセント・ファン・ゴッホ= 生瀬勝久
ポール・ゴーギャン=寺脇康文
ジョルジュ・スーラ=中井貴一
クロード・エミール・シュフネッケル=相島一之
ルイーズ・ブーランジェ=堀内敬子

すばらしいキャスティング!
みなそれぞれのキャラクターにピッタリで
全く違和感ありませんでした。

同世代の実力派俳優+人気脚本家。
最初から、面白くないわけないでしょう〜
って感じでしたけれど
期待は裏切られませんでした。
三谷さんの脚本は本当に絶妙で
役者さん達もさすがの演技で
安心して物語に入り込むことができました。

中井貴一さん。
神経質で几帳面。でもちょっと抜けたところもある。
そんなスーラ像にピッタリでした。
人間的にも、いちばん普通といいますか
最後の方でゴッホの才能に嫉妬し、
ちょい卑怯な手を使ってしまい
そのためにゴッホの絵は破られて
それを抱いて泣く、というシーンがあるのですが
すごく苦しくて、
けどすごくよく分かる気がしました。

寺脇康文さん。
ワイルドで繊細。
乱暴なようで優しい。
ゴッホのことを迷惑に思いながら
それでも面倒を見てしまう
なんかいいひとでした。
カッコ良かったです。
ただこの面子の中では一番個性は無かったかも・・・

相島一之さん。
自分にも才能があると思っているけど本当は誰よりも凡人で
他の3人はそれを分かってて画家としては見ていないのに
自分だけは気付いていない。
なんか悲しいピエロって感じで切なかったです。
けど、彼がいなければ彼らは無かったのは確か。
タイトルの「コンフィダント」という言葉の意味は、
『信頼のおける人、心を許せる友、親友、腹心の友』
ということでこの4人の関係を表しているのだろうけど
もひとつ『画家のを陰で支える支援者』みたいな意味もあるらしく
これはまさにこのシュフネッケルのことで
群像劇ではあるけれど、主役は彼なのかなと思いました。
ただ、みんなの為に一生懸命にいろいろやって
それでも最後に裏切られたような形になって
可哀相ではあるんですけど
けど、実際いたら鬱陶しいかも…とはちょっと思いました(^_^;
自分の才能の無さに気付きながらも、
だったらより切ないんですけどね。

堀内敬子さん。
この方を見るのはたぶん3回目なのだけれど
一番本領発揮な作品じゃないかと思います。
幕が開いて、第一声の歌を聴いた瞬間「すごい!」て思って
さすが劇団四季出身♪て思いました。
ルイーズはゴッホともゴーギャンとも関係を持って
別に有名画家のところにも行ったりして
よく分からないといえば分からないのだけれど(^_^;
すごくチャーミングでした。
途中、画家のひとりひとりが落ち込んだ時
「大丈夫〜」と歌うのですけど
母のような暖かさも感じてすごく良かったです。

逆にルイーズが落ち込んだ時、
画家4人で歌うんですけど
これがまたカッコ良くてvvv
みなさん「ええ声」ですしね〜
ハーモニーも絶妙でした♪

生瀬勝久さん。
今まで、ゴッホというと気難しいようなイメージだったのですが
生瀬ゴッホは子供のように我が儘で
プライドはあるけれど自信のないところもあり
いつも不安定。
人の話は聞いてないし思ったことはズゲズゲ言う
身近にいたら困ったちゃんだと思うのですけど(^_^;
けどなぜか憎めないというか、可愛かったです。
生瀬さんのさらっさらの髪の毛が気になって気になって(笑)

一幕目はコミカルに笑わせて、
二幕目はシリアスに。
ピアノの生演奏もおしゃれで
本当に素敵な作品でした。

ただ、、、、
ちょっと隙が無さ過ぎて…
なんとなく寂しい気がしてしまいました。
三谷さんの作品を観た時いつも思うのですが(^_^;
「さすが!」とは思うのですけど
なんかさら〜っと過ぎてしまって
こう、心にガツンと引っかからないと言いますか。。
私ってやっぱ天の邪鬼なんですよね(^_^;

今回のも、すごく楽しくて良かったと思うのですけど
話の内容が好きか嫌いか、と言われたら…
実はあまり好きじゃありません(あれbb)
えっと、
最後、シュフネッケルに対するみんなの言葉がキツ過ぎました。
綺麗事じゃないっていうのは嫌いじゃないです。
けど、なんか…つらすぎる気がして。
みんなバラバラになるのは仕方ないと思うのですが
もうちょっと、、う〜ん。
三谷さんの作風に合ってない気がしたのかな。
楽しく、安心して、気分良く帰れるものを期待したのかも。
なんかね、三谷さんってちょっと冷たい感じがします。
これは、才能のある人が作ったんだなって感じ。
才能のない私はシュフネッケルに同調したのかも。

なんか、ネットでも感想とかみな大絶賛なのだけれど
私は、大絶賛はできないなって…
この気持ちを言葉にするのは難しいんですけど。。。
なんかもやもやしています。