『ドラクル GOD FEARING DRACUL』

作・演出/長塚圭史
出演/市川海老蔵 宮沢りえ 永作博美
   渡辺哲 山崎一 手塚とおる
   山本亨 市川しんぺー 明星真由美
   中山祐一朗 勝村政信 ほか
演奏/DRACUL QUARTET
   保科由貴(ヴァイオリン)塚本弥生(ヴァイオリン)
   深谷由紀子(ヴィオラ)橋本歩(チェロ)

2007年9月15日(土)19:00 開演
東京/Bunkamuraシアターコクーン

18世紀終わりのフランス西部。
人目を避けるように森の奥に建つ小さな屋敷で、
信心深く暮らすレイ(市川海老蔵)とリリス(宮沢りえ)。
リリスはレイと離れることを何よりも恐れ、
病身でありながら病院へ行くことすら拒む。
だがある日、「自分の街を救って欲しい」と
一人の使者がリリスを訪ねて来る。
そこは、かつて彼女が領主の妻として過ごした街だった。
その領主(勝村政信)と現在の妻(永作博美)の願いを断ったリリスは
強引に誘拐され、
それを知ったレイはリリスを救うため旅立つ。
それは、リリスとの誓いを破り、
封印した自分の暗黒の力を解き放つことを意味していた。

<公式サイトより>

弦楽四重奏の重厚な音楽と美しい照明
豪華なセット。
本当に美しい作品でした。
溜息が出るほどに。

開演前、スクリーンに緞帳が映しだされていて
それが開くような映像とともに開演
まっすぐに伸びる道
両サイドは奈落。
なんとも怪しげ。
ステージの際はアーチ型で
一番低いところは客席とほとんど段差がありません。
その斜めになった道で演技をする役者さん達も
大変だなぁと思いましたが
この回は席が最前列だったため
その近さにもドキドキでした。
まるでディ○ニー○ンドのアトラクションのように
回りながら移動するセットにも驚きました(笑)
地底から蘇ってくる死体たちにも驚き
けどやっぱり美しいとも感じてしまいました。

市川海老蔵さん。吸血鬼レイ(ジル・ド・レイ)
やっぱキレイな顔してますよね。
華があると言いますか。
黒いマント翻して歩く姿とか
めちゃ美しかったです。
悩める姿も良かったし
キレてからの目つきとかギラギラしてて
ピッタリの役だったと思います。
ただ、セリフまわしは微妙に気になりました。
語尾を「●●だぁ〜」みたいに伸ばすんですが
それがちょっと間抜けに聞こえて
それさえなかったらな、と思いました。

宮沢りえさん。リリス(レイの妻)
めちゃめちゃ華奢で儚げなのに
凛としたところもあって
美しいなと思いました。
最後の独白とかすごく入り込んで観てしまいました。
声が可愛かったです。

永作博美さん。エヴァ(アダムの後妻)
愛されたいのに愛されない
その辛さみたいなものがひしひしと伝わってきました。
エヴァとリリスが対峙するシーンはすごく良かったです。

渡辺哲さん。ガミュギル(リリスの主治医)
医師でありながらリリスに横恋慕し
リリスをレイから引き離すために
毎日少しずつ毒を盛る…
ここにも歪んだ愛情の元に身を滅ぼした人がいます。
ダメダメなんだけど
なんか切なかったです。

山崎一さん。ブランシェ(語り部)
すごく良かったです。
代々レイを見守ってきた(見張っていた?)一族。
深刻になり過ぎず、時に笑わせて
演技のメリハリがハッキリしていて
やっぱ巧いなぁ〜と思いました。

手塚とおるさん。司教
一番の悪役。
罰当たりな行動をめちゃしてるのに
それでも信仰は捨てて無さそう。
すごく悪いヤツなのに
飄々としていて悪気がない感じ
これは手塚さんならではのキャラクターな気もしました。
けど最後、この人だけはレイにやられて欲しかったかもbb

山本亨さん。ジョン・ジョージ(レイの昔の仲間)
カッコ良かったですね〜
さすがに身のこなしが軽やかで。
一幕だけの出演というのが非常に残念でした。
ジョンとマリーのシーンはちょっと漫才みたいで
面白かったです。
結末は…ですが(^_^;

市川しんぺーさん。ラーム(アダムの腹心)
やっぱ声デカい(笑)
あと今回は鞭を振り回す役で恐かったです。
笑いもなかったし。
ラームが何故あそこまでアダムに尽くすのか
というのが分かるともっと良かったのにな
と思いました。

明星真由美さん。マリー・ナダスティ(レイの昔の仲間)
可愛かったです。
見た目はベラみたいでしたけど(^_^;
吸血鬼になっても恋心は失わず
それがとても切なかったです。。

中山祐一朗さん。プット・ケルブズ(アダムの従者)
とってもいい人。
けど可哀相な人。
いつもの中山さん節っぽいところを少し封印?
一幕だけかと思ったら二幕も出てきてくれて
嬉しかったです。
吸血鬼になっちゃって
血をくださいよ〜ってアダムを追い回すところが
なんか可愛かったです(笑)

勝村政信さん。(ニュイラクーペの領主 リリスの前夫)
この方も、やっぱ巧いですね。
おぼっちゃん育ちで
悪い人じゃないんだけど、情けなくて…
あーっっもうっって感じでした(^_^;
髪の毛の少し長い(長髪ではない普通くらい)の髪型で
なんかとても二枚目で
わりと近くまで来られたのでドキドキしました(笑)

本当に実力ある役者さん達が揃っていて
こちらも3時間以上の作品でしたが時間を感じませんでした。

あちこちでは結構酷評が多いようですが
私はとても好きです。
脚本がイマイチという意見もたくさん見ましたけど
私にはどの台詞もすんなり頭に入ってきて
どの役にも感情移入できてとても良かったです。

最後の最後は、もう少し余韻があった方がいいのに
と思いましたけど。

今回は衣装もとても豪華で
特に男性陣の衣装がとてもとても良かったです。
それぞれたっぷりと生地が使われていて
刺繍がたくさん入ったり
裾にリボンが付いていたり
とても凝っていて素敵でした。
女性陣の衣装はイマイチ安っぽい感じだったのは
何故?て思っちゃいましたけど…(^_^;

宗教のこともジャンヌ・ダルクのことも知らないけれど
長塚さんの作品は、やっぱ人間ドラマと言いますか
人と人との繋がりがテーマになっているのかな
と思います。
劇場が大きくても小さくても
あんまり関係無いのになぁ〜