『ドラクル GOD FEARING DRACUL』

作・演出/長塚圭史
出演/市川海老蔵 宮沢りえ 永作博美
   渡辺哲 山崎一 手塚とおる
   山本亨 市川しんぺー 明星真由美
   中山祐一朗 勝村政信 ほか
演奏/DRACUL QUARTET
   保科由貴(ヴァイオリン)塚本弥生(ヴァイオリン)
   深谷由紀子(ヴィオラ)橋本歩(チェロ)

2007年9月16日(日)14:00 開演
東京/Bunkamuraシアターコクーン

2回目。

巷では
「セットと照明は良いが脚本がイマイチ」
とか
「役者だけが救い」
とか
いろいろと辛口な意見も聞きましたが…

私にとっては
脚本も演出も、もちろん役者の演技も
とても満足いくものでした。

何度も泣きましたし。

特に、
レイの回想シーンで
「私が辿り着いた時、あなたは灰になっていたじゃないですか!!」
というところとか
リリスの告白のシーンとか
ラスト近くのレイの台詞
「死ぬのが恐いんだ。初めてじゃないのに」
あと、同じくラストで
二人で「楽しかった」と言い合うところ。
これらのシーンはもう涙がぽろぽろ出てきてたまりませんでした。

なんだろ、とても単純な台詞なのかもしれないけど
それゆえにストレートに心に刺さったし
それぞれの登場人物の気持ちがすごくよく解って
感情移入できたので
私はとても良かったと思いました。

最後の最後は、
独りになったリリスでもう少しタメがあって
一旦暗転して、
それからカーテンコールになれば
もっと良かったのにな、とは思いましたけど。
それでも3時間以上という長時間
飽きることなく集中して観れた、と言うことは
良い作品だったんだと思います。

「良い脚本」というのはどういうものなのか。
「コクーン相応しい芝居」とは?
いったい何なんだろう。
ということをグルグル考えています。
N川Y雄やN田H樹だったらいいのか?
いったい彼らの何がそんなにいいのか?
私には分からないし。

脚本と演出と音楽と美術と役者
トータルで良ければそれでいいんじゃないの?

「素晴らしい脚本」てどんなのだろう?
私の中では
やっぱ台詞のリズムの心地よさとか
共感できるか、が一番大事なところだろうか。
言葉の美しさ、とかもあるけれど。

観て、「カッコイイ」とか「素敵だな」とか
素直に思えたらそれで充分。

みんな「長塚圭史」に
いったい何をどれだけ求めているのか?
たしかにいっぱい注目されて
大きな劇場にもどんどん進出しているかもしれないけど
まだ33歳で。
それが若いのかそうじゃないのかも分からないけど
けど未だに「最年少」という言葉はよく聞くし
やはり早くはあるんだろう。
けどそんな祭り上げられて浮かれてる風には見えず
自分でも「このままじゃダメだ」て言ってるし。
そのことについて「そんなレベルじゃない」みたいに言ってる人って
なんなのかなって思う。
そんなの本人が一番考えてると思う。

厳しい目で見られることは大事だと思うけど…
完璧じゃなくてもいいじゃないか、とも思うのです。

まだまだこれから。
どんどん変化して、試行錯誤して
焦らずいろんな作品を創っていって欲しいな、と思います。

なんか言い訳みたいになってきてしまった…
まぁようは、自分がおもしろいと思えたかどうかで
自分がつまらなかったからと言って
良くない作品とは限らないし
多くの人が面白いと言ったからと言って
素晴らしい作品とも言い切れないんじゃないかってこと。
賞取ったからって面白いとも限らないし。

とにかく
この作品は、私にとって「素晴らしい作品」でした。
観に行けて、2回も観れて、本当に良かったと思います。