ミュージカル
『ファントム』

原作/ガストン・ルルー「オペラ座の怪人」
上演台本・演出/鈴木勝秀
作詞/アーサー・コピット
作曲/モーリー・イェストン
翻訳/伊藤美代子
出演/大沢たかお 徳永えり
   ルカス・ペルマン/HISATO
   中村まこと 永島克
   コング桑田 大西ユカリ
   伊藤ヨタロウ 姿月あさと 他

2008年1月14日(月・祝)18:00開演
大阪/梅田芸術劇場〈メインホール〉

『ファントムは、怪人ではありません。人間です。』

19世紀後半のパリ。

通りで新曲の楽譜を売る、
オペラ座に憧れる少女クリスティーヌ・ダエー(徳永)の
歌声を耳にしたシャンドン伯爵(ルカス)は、クリスティーヌに、
自らがパトロンを務めているオペラ座で歌のレッスンを受けるように取り計らう。
シャンドン伯爵の紹介を受けてクリスティーヌはオペラ座へと赴くが、
紹介人であるオペラ座の支配人キャリエール(伊藤)は既に解任されていた。

オペラ座の新支配人ショレ(HISATO)は
妻カルロッタ(大西)をプリマドンナとして迎え、
カルロッタはオペラ座で権勢を振るおうと意気込む。
そこに現れたクリスティーヌをカルロッタは追い返そうとしたが、
有力なパトロンの紹介があるため無下にできず
クリスティーヌを衣裳係にしてしまう。

キャリエールは一人オペラ座の地下深くへと降りていく。
そこには「オペラ座の怪人(ファントム)」
と呼ばれる男(大沢)が住んでいた。

衣裳係として働くことになったクリスティーヌ。
歌のレッスンはなくても、
憧れであったオペラ座にいるというだけで彼女は幸せだった。

ある日、クリスティーヌの歌を偶然耳にしたファントムは、
彼女の歌声に亡き母の面影を見出し、
彼女を一流の歌い手へと導くことを決める。
ファントムは彼女の前にその姿を見せないまま、
夜な夜なクリスティーヌに歌のレッスンを施す。
クリスティーヌはファントムの導きのまま、
その歌の才能を開花させていった。

歌い手としてクリスティーヌはもう遜色はないと判断したファントムは、
クリスティーヌにオペラ座の前にある
ビストロで行われるコンテストに出場するよう勧める。
クリスティーヌはそのコンテストにて、
キャリエールやシャンドン伯爵、
ショレ、カルロッタ他の劇団員の前で見事歌い上げた。
シャンドン伯爵とショレはクリスティーヌの歌を絶賛、
彼女を歌手として改めてオペラ座に迎え入れることにした。
嫉妬に駆られたカルロッタは、
クリスティーヌを「フェアリー・クィーン」の
タイターニア役にと、ショレに進言する。

「フェアリー・クィーン」初日。
クリスティーヌの楽屋を訪れたカルロッタは、
クリスティーヌに喉を潤す薬を勧める。
幕が開き、出番を迎えたクリスティーヌの歌声は散々たるものになった。
これがカルロッタの罠だと知ったファントムは激怒。
クリスティーヌを攫い、オペラ座の地下にある自らの住処へと逃れる……。

なんか、良かったです。
なんだかよく解らないけど、
見終わった後も、ずっと心に残っている感じがします。

当初、まったく行く気が無くて
チラシも全然まともに見ていませんでした。
それが今年になって観に行った別のミュージカルでもらったチラシを
たまたまなんとなく見ていると
なんと!猫のホテルの中村まことさんが出演されるというではないですかっっ
それも順番から言ったら結構重要な役どころみたい?!
まことさん大好きな私。
これは行かねばならぬ(笑)と、急遽チケットを取りました。
とは言っても苦手なミュージカル。
また合わなくてもいけないし、大沢さんも別にファンじゃないし
S席は高いし…ということで、3階席のB席を取りました(^_^;

で、見終わっての感想は
なんか、良かったです。

まず、3時間以上(その前にも3時間越えの芝居を観ている)にも関わらず
まったく眠くなりませんでした。これ、結構重要だと思います(笑)

ミュージカル初挑戦の大沢たかおさん。
正直、正直歌は…うーん。。頑張ってるのは伝わりました(^_^;
ミュージカルっぽい歌い方をしようとされてるのは分かるのですが
そんな急に歌えるようになるわけもないのだし
役者さんなんだから、役者さんの歌い方で良かったのではと思いました。
まぁオリジナルならともかく、既存の洋ものですから
それも難しいのかもしれませんが。
でも、さすがに演技は素晴らしかったです。
このエリック(ファントム)は本当に人間らしく可愛らしく切なくて
クリスティーヌに顔を見られて去られた後、泣き崩れるシーンとか
ラストとか、胸にギュッときて泣きそうになりました。
すごくファントムに感情移入して観れたのが良かったです。
お顔が殆どマスクに隠れていたのが残念です。
片面とかなら良かったと思います。

舞台自体初めての徳永えりさん。
うーーーーん。。。微妙でした…(^_^;
声が、なんていうんでしょう、世界名作劇場みたいといいますか、、
なんか、クリスティーヌのイメージとはちょっと違ったかな
歌もそんなに上手いわけでは無かったし。
がんばれーって思いながら観てました(笑)
最後の方の、がむしゃらな、芯のあるクリスティーヌは新鮮でしたけど。

警部役の中村まことさん。
先にも書いたとおり、この方のために行ったわけで…
他の人とまったく違うところで双眼鏡を取り出す私(笑)
もう、まことさんが出てくる度に双眼鏡でガン見してました(^_^;
ミュージカルのまことさんなんてどんな感じなんだろうと思ってましたが
ソロの歌はありませんでした。
けど、制服姿もピッとしてカッコ良かったし
クリスティーヌの歌に魅了されていくところとか
スポットは当たってないけどウキウキした演技とかされてたり
まことさんらしいところもいっぱいで
すごく楽しかったです。
カーテンコールの時もニコニコされてて嬉しかったです。
観に行って良かったと思いました。

残念だったのはコング桑田さん。
この方の歌もカッコ良くて大好きなのですが
全然目立ったところが無く、勿体ないなぁ〜と思いました。

カルロッタ役の大西ゆかりさんは
前にPiperの舞台で拝見してカッコ良いなと思っていましたが
ミュージカル初というのは意外でした。
ゆかりさんらしい歌い方で、
悪役だけどやっぱりカッコ良かったです。

全体的に
いわゆるミュージカル俳優さんというのはあまり出てなかったと思うので
(ロックな伊藤ヨタロウさんとかもメインで出てたし)
やっぱり、いろんな畑の人が集まってるって感じの
新しい「ファントム」だったらもっと良かったのにな、とも思います。

そうそう
開演前に、役者さんが、というかパリの住民達が
客席にちらほら現れ歩き回る、という演出も面白かったです。
ただ、すごく静かに登場して去っていくので
結構みんな「何?何?」状態で(^_^;
もっと分かりやすく出てきたら良かったのにと思いました。

そしてそして
この日は一ヶ月前の「バレンタインスペシャルイベントデー」(笑)
として、『大沢たかおスペシャルカーテンコール』
というののある日で、
入場時に大沢さんのメッセージ入りポストカードと
劇中で歌われる歌の歌詞カードをもらいました。
で、何回かのカーテンコール後、大沢さんが一人でステージに登場
「せっかくなので…」
ということで、みんなでファントムとクリスティーヌの
歌のレッスンシーンの歌を歌いました。
大沢さんは人前で歌を歌うのも今回が初めてだし
こういうイベント的なものもほとんど経験無かったらしく
結構緊張?してた感じでした。
会場の反応にもかなり動揺したりして
ちょっと可愛かったです(笑)
マスクを取って顔を出して歌うことは稽古含めこの時しか無い
ということで、得した気分でした。
大沢さんの人柄もとても良さそうな感じで好印象だったです。
帰るの遅くなるし、そんなイベントどっちでもいいよ〜
とか思っていた私でしたが
かなり楽しんだし和みました(笑)

ちなみにこの「ファントム」という作品、
何年か前、宝塚版を観に行った(初宝塚)のですけれど
まるっきり覚えていませんでした(^_^;
なので、やはり今回のは自分の中で
かなり良かったんだと思います。

あと劇団四季版「オペラ座の怪人」も何回か観に行きましたが
曲や演出はたしかにあっちの方が派手だしカッコ良いし
印象にも残っているのだけど
より人間ドラマとなっているこちらの作品は
ストーリーものの好きな私にとっては合ってたのかなと思います。

もっかいくらい観たいかも…
思い切って観に行って、本当に良かったです。