『MIDSUMMER CAROL〜ガマ王子vsザリガニ魔人』

作/後藤ひろひと
演出/G2
出演/吉田鋼太郎 志村玲那
   笠原浩夫 新妻聖子
   山内圭哉 中山祐一朗
   戸次重幸 月船さらら
   楠見薫 春風亭昇太
   岡田浩暉

2008年4月17日(木)18:30開演
広島/広島厚生年金会館

「ごめんよみんな。どうしてなのかは知らないけれど、
 涙がいっぱい出てくるよ。
 けれども何度も立ち上がる不思議な力がそうさせる。
 心のかたすみに急に生まれたこの気持ち
 ……ごめんよみんな」

少女パコが手にした絵本《ガマ王子対ザリガニ魔人》は、
いじわるで金持ちの老人・大貫の人生を大きく変えてしまい……。
ダメ人間だけど愉快な入院患者ばかりの古びた病院で、
サマークリスマスにもたらされた一夏の奇跡。

両親がいきなり郊外の広大な家に引っ越してしまい、
都内のマンションで一人暮らしを始めることになった浩二(戸次)。
せっかく念願の一人暮らしとなったのだが、
浩二を悩ませているものが一つ。
なぜか引越しのトラックに乗せたと思っていた仏壇がいつの間にか、
自分の部屋に置いてあるのだ。
引き取ってもらうために業者を呼ぶと、一人の老人(春風亭)が現れた。
てっきり引き取り業者と思い、応対する浩二。
だが、その老人は仏壇に向かうと奇妙なことを言い出した。
「おお! むかむかする!」
そして仏壇に置かれた一冊の絵本に手を伸ばした。
その絵本のタイトルは…『ガマ王子vsザリガニ魔人』

この妙なタイトルの絵本が触媒となってある病院で起こる奇跡。
それは、パコ(志村)という名の一人の少女と大貫(吉田)という偏屈頑固親父、
この二人を取り巻く曲者揃いの入院患者たち…
俳優としての自分に限界を感じて自殺未遂を繰り返す室町(笠原)、
軽い自動車事故の賠償金を吊り上げるためだけに入院を続ける主婦・木之元(楠見)、
消火作業中に消防車に轢かれた消防士・滝田(中山)、
被弾して入院中のヤクザ・龍門寺(山内)、
嫌われ者・大貫をからかう事が日課の変人・堀米(春風亭)、
病院の変人医師・浅野(岡田)、
看護士の光岡(新妻)、そして大貫の甥浩一(戸次)とその妻雅美(月船)
…… という様々な人間関係にある人々が、
一丸となって立ち上がったときに初めて目の辺りにすることが出来る奇跡なのである…!

待望の(?)ガマザリ再演です。
初演の時はもうボロボロに泣きましたから
今度はどうかなと思っていたのですが…
結果泣きませんでした(^_^;
うるうるっとくる場面は多々あったんですけど。
何ででしょう。
一歩引いて観てしまってた気がします。

今回初演とは演出も変えるということで
セットも変わっていました。
前回は2階建てで、上と下を使って場面転換するという形でしたが
今回は1階のみ使用で、回り舞台になっていました。
視点が固定されるので楽は楽かなと思いましたが
私は前回のも好きでした。

「人間風車」とか「ダブリン」の再演の時にも感じたのですが
再演版は、キャストも地味な分実力も安定していて
安心して観られるのだけど
なんか、こうストンと纏まりすぎてる感じがあって
サラ〜っと観れちゃう気がします。
もちろんストーリーを知ってるからというのもあるかもですが
初演版のDVDなどは何度観ても泣けるし
それだけでは無い気もします。

あと、今回友達と一緒に観に行っていて
隣同士でなんとなく意識しちゃってたというか
感情のままに入り込めなかった気もしたり(^_^;
なんかこう、構えちゃってるというか。
DVD、買おうかどうしようか考え中なのですけど
一人で観たらまた違うかもです(笑)

吉田鋼太郎さん。
初演の木場さんに負けず劣らず
大貫にはピッタリだと思いました。
大貫がパコの病気のことを知って泣く場面は
かなり胸がギュっとしました。
声がちょっと辛そうでしたけど。
カーテンコールで胸に手を当てて
感無量な表情をされてる鋼太郎さんを見るのは
とてもホッとします。

志村玲那ちゃん。
キグルミだった(今も?)んですよね(笑)
なんとなく滑舌が悪い気がしました(^_^;
初演の加藤みづきちゃんと声がちょっと似てるなと思いました。
それは雅美役の月船さんでも思ったのですが
やはりイメージというか好みが出ちゃうのかなと思いました。
可愛かったけど
わりと大人っぽい感じなので
パコの無邪気さと最後の切なさは薄まった気がしました。

笠原浩夫さん。
背が高い&足が長いですね〜(笑)
そして若い役も大丈夫でした(笑)
室町に、合ってたと思います。
ザリガニ魔人も弾けてたしw
初演の伊藤くんのインパクトには敵いませんが
代役、お疲れさまでした。

新妻聖子さん。
とても良かったです。
光岡、似合ってたと思います。
私は前のハセキョーもそんなに悪いとは思ってないのですが(^_^;
やはり安心して観られました(笑)
劇中劇のシーンの声が可愛かったです。

山内圭哉さん。
唯一の続投。
まぁこの役は僧正以外の人がやったら駄目でしょう。
けど「じゅんぺい」絡みのシーン
笑いの要素が増えていて、私はちょっと残念でした。
あそこ、笑っちゃうんだけどめちゃ泣ける
とても好きなシーンだったので。
けどやっぱ大好きです。
カーテンコールではお約束の「しつこい!」発言もあったし♪

中山祐一朗さん。
そいえば中山さん、阿佐スパの稽古はどうなってるんだろうbb
地方続いてるから遅れちゃうよね
とかちょっと心配になりました(^_^;
まぁ今回少人数制だし大丈夫なんでしょうけど
お忙しいですね。。
今回の滝田はかなり大人しめかなと思いました。
あと彼女との電話のシーンも
前の片桐さんの方がより可哀想な感じだったような…
まぁでも変わらず優しい消防士、滝田は好きなキャラです。
「たきたてごはん」が無かったのは残念でしたが。

戸次重幸さん。
浩二と浩一の差がとってもあって良かったです。
浩一、可愛かったです(笑)
あめんぼの衣装は前のが好きですけど。

月船さららさん。
先程も書きましたが、前回の瀬戸カトリーヌさんに
ちょっと感じが似てるなと思いました。
元宝塚さんらしいですが
それを感じさせない(笑)弾けた演技は良かったです。

楠見薫さん。
最初、ちょっとおとなしいかなと思ったのですが
ガマ姫の場面とかはらしくて良かったです。

春風亭昇太さん。
大王がやられてた役、ということで
今回一番心配だったのは昇太さんです(^_^;
だってもう、大王そのものって役でしたから。
けど、昇太さんの堀米もとても良かったです。
途中、アドリブのシーンがあって
たぶん日替わりなのですが
今回は広島だからか
映画「仁義なき戦い」のシーンを一人で再現する
というものでした。
けど止めに入るはずの鋼太郎さんがなかなか来なかったということで
最長の長さになっちゃったみたいです(笑)
みんなこのシーンの時は休憩モードみたくなってて
時計みたりしてたのがおかしかったです。
あと、カーテンコール最後に帰る時
大王定番の挨拶(?)「アデュー」をやってくれたのが嬉しかったです♪

岡田浩暉さん。
この方の役も、前回山崎一さんという
とても達者な役者さんがされていて
岡田さんといえば歌手のイメージが未だにあって
演技といえば昔出てたドラマくらいしか知らなかったので
どーなるんだろうと不安だったのですが
とても良かったです。
最近はミュージカルのお仕事が多い?ようですが
とても良い役者さんになられたんだなぁ〜と思いました。
あ、けどこの方の声も若干聞き取りづらかったです。
音響の問題かもしれません。
元々コンサートが多い劇場なので
ストレートプレイには向いていないのかも?

というわけで
全体的にはホント良くて、周りも結構泣いてたのに
なんで泣けなかったのかなぁ〜て思います。
まぁ泣けるだけがいい芝居では無いですけど。
とても良い作品に変わりはないと思います。

今前回の感想を見直してみたのですが
前は広島公演のカーテンコール、挨拶無かったようです。
今回は昇太さんとか色々喋ってくれて良かったです。