『かもめ』

作/アントン・チェーホフ
演出/栗山民也
翻訳/沼野充義
出演/藤原竜也 鹿賀丈史
   美波 小島聖
   中嶋しゅう 藤木孝
   藤田弓子 たかお鷹
   勝部演之
   麻実れい ほか

2008年8月2日(土)13:00開演
広島/広島厚生年金会館

19世紀末帝政社会崩壊前夜のロシア。

退屈で惰性的な時代に我慢がならず、
前衛的な劇の創作にその不満の発露を見出そうとしている
青年トレープレフ(藤原)は、
美しい湖のほとりにある母の兄ソーリン(勝部)の田舎屋敷に住んでいる。
そこへ、著名な作家トリゴーリン(鹿賀)を連れて、
モスクワから戻ってきた大舞台女優である母、アルカージナ(麻実)。

トレープレフは
湖の向うに住む女優を夢見る地主の娘ニーナ(美波)に恋をしている。
彼は自作の劇にニーナを主演させ、
アルカージナらの前で上演するのだが、
アルカージナは茶化すばかりで真剣に取り合わない。
怒ったトレープレフは劇を中止する。
医者のドールン(中嶋)はトレープレフの才能を評価し、励ます。
一方、ソーリン家の執事シャムラーエフ(藤木)と
ポリーナ(藤田)の娘マーシャ(小島)は
トレープレフを愛しているが、その想いは届かない。
さえない教師メドベジェンコ(たかお)は
マーシャを愛しているが、マーシャは無視している。
ニーナはトレープレフの想いに気づいているが、
女優として大きく成長しなくてはならないという野心に溢れている。
ニーナの気持ちを受け止めたのは、トリゴーリンであった。
そんな中、トレープレフは、自殺未遂をおこす。
女優としての名声と成功を夢みて、
アルカージナとともにモスクワへ帰るトリゴーリンを追ったニーナだったが…。

チェーホフ初体験。
昨年、井上ひさしさんの「ロマンス」という芝居を観て
チェーホフに興味を持ち、いつか観たいなと思っていました。
イメージ的には難しい感じ?
でもチェーホフは、喜劇、ヴォードビルとして書いたって言ってたし
いったいどんな感じなんだろうかと楽しみにしていました。
今回席が一列目ど真ん中だったので
もし寝ちゃったらどうしようって不安もありました(^_^;

で、実際観てみて、
すこし眠気と戦いはしましたが(笑)
全体的には面白かったです。
メドベジェンコ→マーシャ→トレープレフ→ニーナ→トリゴーリン
あとポリーナ→ドールン
とか、みんながみんな片想いって感じで
結局誰も報われないし
あの終わり方は
決して喜劇とは言えないと思うけど
途中は結構笑えるシーンもあって
「あ、やっぱり喜劇なんだ」と思いました。
アルカージナとトレープレフのシーンとか面白かったです。

藤原くんのトレープレフが主役かと思いきや
結局誰が主役ということもなく
観る人によって感想もかなり変わりそうだなと思いました。
私は結局誰にも感情移入はできなかったけれど(^_^;
みんなの気持ちは解るし切なかったです。

でもホントまったく初めてで
予習も何もしていなかったので
あの終わり方はホントビックリして
「え、これで終わり??」て思っちゃいました。
周りも結構そんな感じだったです(^_^;
たしかに「このあとどーすんの???」
って思ったところだったんですけど(笑)
最後のドールン台詞の言い方がもうちょっと違うとか
暗転あってもちょっと間があると良かったかなと思います。

藤原竜也くん。
悩める若き作家がとても似合ってました。
ちょっと台詞の言い方が舞台的というか大袈裟というか
気になりましたがまぁ良かったです。
もっと色んな人の作品(現代劇とか)出て欲しいです。
宣伝のビジュアルではヒゲ生えてて
あんまり似合って無いなぁと思ってたのですが(^_^;
さっぱりして髪も短くて良かったです。
舞台と客席の間に階段とか設置されてなかったから
客席登場なんて演出は無いだろうと思ってたら
いきなり降りてきてウロウロしながらの芝居があり
目の前に来られてビックリしました(笑)

鹿賀丈史さん。
生で観るのは初めて?
ナチュラルで余裕がある感じが良かったです。
けど30代ってのには無理があるのんじゃ…(笑)

美波ちゃん。
すごく可愛らしかったです。
ニーナのイメージピッタリかも。
声とか台詞の言い方とかが
ちょっと宮沢りえさんに似てるなと思いました。
ニーナってちょっと小悪魔的wで
トレープレフは可哀想でした。

小島聖さん。
報われない女性、マーシャ。
トレープレフもそこまで冷たくしなくてもいいじゃん
って思いつつ
マーシャもメドベジェンコに同じ様な態度取ってて
うまく行かないもんだねーって思いました(笑)
ニーナの白い衣装とマーシャの黒い衣装
この対比がとても良かったです。
カーテンコールでも役から抜けてないのか
笑顔が観られなかったのがちょい残念でした。

麻実れいさん。
すごく素敵でしたvv
アルカージナにピッタリって感じでした。
おちゃめな感じも良かったです。

今回の衣装を担当されたのが、
「ロマンス」と同じ前田文子さんという方なのですが
またまたとっても素敵でした。
特に女性陣の衣装。
布もたっぷり使ってあってゆったりしたラインが綺麗だし
レースやボタンがたくさん使ってあるのも素敵でしたvv

今回、各地大きな劇場で上演されたため
2階席とかの人からは「声が聞き取りづらかった」て声が
たくさん出ているようです。
私は幸い目の前だったのでそれは無かったのですが
話も全然大きな話ではないし
派手な演出があるわけでも無いので
できれば小さな劇場で観た方が良かったのかもしれません。

「全然面白くない」「意味が分からない」て声も多くて
それはビックリでした。
まぁ声が聞こえなきゃ話は分からないかもしれないけど
ストーリーはいたってシンプルだったと思うので。
最初、開演前物販がとても混んでいて
もうパンフは買わなくていいか、と思ったのですが
途中の休憩でやっぱ買いに行こう、と思えたので(笑)
私には面白かったんだと思います。

機会があれば
他のチェーホフ作品も観てみたいなぁと思います。