イキウメ
『表と裏と、その向こう』

作・演出/前川知大
出演/浜田信也 盛隆二
   岩本幸子 森下創
   緒方健児 西牟田恵
   内田 慈 安井順平

2008年7月20日(日)13:00開演
大阪/HEP HALL

その街では、すべてがIDで管理され
誰が何処で何をしたか、全て履歴が残るようになっていた。
そのIDはDNA情報を元に作られているという。
山根雄二(浜田)は家を飛び出し、ネットカフェで生活している。
特に不自由のない生活を送っていたが
ある日、自分のIDがエラーになっていることに気付く。
そんな中彼の元に父親の再婚相手という女性、保住奈々子(西牟田)が現れ
父親が亡くなったと告げる。
そして一緒に暮らさないかと言い出す。
さらにしばらく別人のIDを使って別人として生きないか
と提案される。
気乗りはしないがIDが無ければこの街では生きられない。
仕方なく同意する雄二。

一方、大学生の黒沢真理(内田)は
高校生の頃に出会ってしまった死に神「モイライの関係者(森下)」の影に怯え
自分死期が近いと思い込んでいる。
そしていつか来る「それ」の為にボクシングを習い
戦う準備をしていた。

雄二の知り合いのライター、桜井哲彦(盛)は
この街のID制についての取材をしていたが
ひょんなことで、寿命を売り買いする妖しい組織の存在を知る。
そこに登録すると
人生のうちの何時間か死に、その時間に見合った金額が振り込まれる。
桜井は好奇心から自分の寿命を売ってしまい
毎日夜中の1分間だけ死んでしまう。
その登録業をおこなっているのが小松崎(安井)という男で
彼は普段はコンビニオーナーをやっていて
実は保住奈々子の弟だった。

小松崎の元に浅野雄大(緒方)という大学生がやってくる。
彼は病気の姉、房子(岩本)の治療代のために
4年分の寿命を売った。
そのお陰で房子は回復するが
雄大は4年間死んだままだ。
その、雄大のIDを受け継いで大学生活をすることになったのが
雄二であった。
房子は奈々子と同じ病院で働く看護師で
雄大はそこに入院?していた。
どうやらこの病院が、この寿命の売買に深く関わっているらしい。

大学生として生活することになった雄大は
そこで真理と出会い友達になる。
仲良くなるにつれ、
雄大は死の呪縛から逃れられない真理を救いたいと思うようになる。
しかし真理はその運命から逃れられると考えられない。
真理はボクシングでストリートファイとを重ね
その、真剣勝負の中で、一瞬は映画のコマ割りのように分けられ
その中に生きられれば一瞬をいくらでも延ばすことができる
という理論に取り憑かれる。

真理の考え方に納得できない雄大は
何とかして真理に生きる気持ちを取り戻させようと奔走する。

桜井は、自分が本当に毎晩1分死んでいるのかを確かめるために
その時間をVTRに収める。
するとたしかにその時間、動かなくなる桜井。
しかも、死んでいる間、身体が少し薄く透明になっている。
真理の論理を理解しようとする雄大は
桜井の撮ったビデオをコマ送りしてみる。
すると、死んでいないはずの瞬間にも、身体が透明になる一瞬があることに気付く。
それは桜井だけでなく、全ての人に言えることだった。

盗まれた一瞬。

ことの真相を聞き出そうと病院にやってくる雄二。
そこで彼は、奈々子から自分の出生についての恐るべき真実を聞かされる。

国の陰謀(?)を探る決意をする桜井と小松崎。
死の瞬間がまさにすぐそこまで来ている(と信じている)真理。
それを救いたい雄二。

はたして彼らの運命は…。

久しぶりにあらすじを長々書いてしまいました。
短く説明するのが難しくて(^_^;
とても不思議な話だったです。
SFといえばSF?
よくこんな話思いつくなって感じ。
前川さんのお話っていつも個性的で面白いです。

今回もかなり突拍子もない設定なのですが
それでも「へぇー」と思ってすんなり入り込めました。
寝ている間なんてどうなってるか分からないし
まったく起こり得ない話でも無いと思うので(笑)
すごく面白いな、と思います。

前回の「眠りのともだち」よりダークな展開でした。
最後ちょっと怖かったし。

最初頼りなかった男子たちが
最後はちょっとカッコ良くなってるのも面白かったです。
女子たちは切なかったですけど。。

ダークとはいえ笑いもあって辛いことは無いし
ホントに独特の雰囲気で
いつも観ているものとは違って面白いなぁと思うので
次回また大阪公演あれば観に行きたいなと思います。