パルコプロデュース
『SISTERS』

作・演出/長塚圭史
出演/松たか子 鈴木杏
   田中哲司 中村まこと 梅沢昌代
   吉田鋼太郎

2008年7月19日(土)14:00開演
東京/PARCO劇場

父と娘、夫と妻、姉と妹・・・、女と女。
血のつながりをも超える愛の深さが、
封印されたはずの過去を呼び起こす。
決して消すことのできない過去の傷は誰もがある。
その「過去」をどのように受容れ完了し、生きていくのか、
あるいは拭い去ろうと一生もがき続けるのか・・・。
メ これは運命か、抗えない宿命か。モ
どんなに隠そうとも、どれほど取り繕おうとも、
どうしようもなく滲み出てくるシミのように、
今剥き出しにされた過去の前で対峙する女と女。
合わせ鏡のように、互いの内に己の狂気を映しだす
であってはいけない
けど・・・・、
であった・・・ふたり

舞台は・・・ある寂れたホテル。
このホテルの女主人でありレストランを切り盛りしていた操子が
数ヶ月前に亡くなった。
今は彼女の夫であり、このホテルのシェフである
三田村優治(中村)がホテルを経営している。
しかし、操子の死後、客は遠のき、優治の料理の評判もいまひとつ。
そこで優治と従業員の稔子(梅沢)は、
優治の従兄弟で、東京のビストロでシェフをしている尾崎信助(田中)に
レストランの新メニューを作ってもらうよう依頼した。
新婚である信助は、妻の馨(松)と共にこのホテルにやって来る。
このホテルの一室には10年ほど前から、
操子の兄であり小説家の神城礼二(吉田)が娘・美鳥(鈴木)と共に
ひっそりと暮らしていた。
美鳥が馨に近づいてくことにより、
馨の隠された過去がじわじわと忍び寄ってくる。

ついに観てしまいました。SISTERS。
パルコ劇場のために作られた作品を
パルコ劇場で観る、というのが
私にとって
どんなに贅沢なことか(笑)
長塚作品では初めてなので
もう本当に楽しみにしていました♪
今回大阪含めるとなんと4回も観ちゃうんですが(^_^;
初めて観る時はやはりワクワクします♪
今日の席は5列目ど真ん中。
舞台全体が良く見えて
初めて観るには最高の席だと思いました。

長塚さんの作品は
人間のダークな面を真正面から出しちゃうようなものも多くて
特にこのPARCOのシリーズは、「血縁」の話ばかりで
感情のドロドロとかもあったり
血が出たりとかも多いのですけど
今回はこれまたかなり「重い」作品でした。

親子や夫婦や恋人や誰かと一緒に来ていたら
きっと気まずい思い、しちゃうんじゃないでしょうか(^_^;

笑いもとことん少なくて。
ホント、どーしてこんな話書いちゃうんだろう。。
て思ってしまいます。

ただ、それでも観ちゃうのが不思議な所なのですよね。
「あぁー(>_<)」て思うんだけど
心から嫌じゃ無いっていうか。
悲しくて苦しくて痛くてノ
だけど、最後までどっぷり入り込んで観ていました。

いつもは感じられる一筋の光のようなものも
今回は感じられなくてとても悲しい気持ちになってしまったけど
それでもやっぱり好きなんです。
あと3回、観るのも楽しみになっています。

なんでなのかは分からないけれど。。

松たか子さん。
第一声で
「何でこんなに●読みなの???」
て思っちゃったんですが(^_^;
その後もどーも不自然で浮いた調子で
なんか違和感だったのですが
おそらくこの「馨」という役の
精神的なものとかあってのことだったんだろうと思います。
最後の方の迫力は物凄いモノがありました。
まさに体当たりな演技で
今まで見たこと無い、松さんが見られて良かったです。

鈴木杏ちゃん。
大人になったな〜て感じ(笑)
以前よりスッキリしましたね。
とても可愛くて、でも棘もあって
松さんとの「対決」シーンも良かったです。
杏ちゃんには、
いつか長塚作品に出て欲しいなと思っていたので
実現して嬉しかったです。
今度阿佐スパの方にも出て欲しいなぁとか思います。

田中哲司さん。
すっごくナチュラルな演技をされる方ですね。
今回のキャストの中で一番自然だったと思います。
役も一番壊れてない人なんですけど(^_^;
前回出演の長塚さん演出作品
「ビューティー・クイーン・オブ・リナーン」でも
いい人な役だったから
今度はまた違った役も見たいなと思います。

中村まことさん。
安心して見てられる感じ(笑)
けど今回若干出番が少なかった気がするのが残念でした。

梅沢昌代さん。
すごく役に入り込んでる感じがしました。
ちょっと怖かった。
この方だけあまり知らなかったんですけど
やっぱ凄い方なのかなと思います。

吉田鋼太郎さん。
やっぱ渋カッコ良いです。
声がちょっと掠れ気味な気がして心配。
最後まで枯れないと良いのですが。

舞台美術もとても美しく
紗幕の使い方も前回「失われた時間を求めて」同様良かったです。
ひとつのセットで異なる場所と時間を表現する演出も
とても自然で良いと思いました。
ラストの水と花も。
いつの間に??て感じで驚いたけれど
光が水に映ってキラキラして
緊迫してたり悲しいシーンだったりするのに
「綺麗だな」と思ってしまいました。

ちょこっと「失われた時間を求めて」と似てる雰囲気もあり
やはり、この後に作られた作品だな、という気はします。

うまく纏められないけれど
とにかく「凄い」作品で
心にずっしり残っていきそうです。

大阪公演までまだ一ヶ月もあるし
もっともっと良くなっていることに期待します。