阿佐ヶ谷スパイダースPRESENTS
『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』

作・演出/長塚圭史
出演/池田鉄洋 内田亜希子
   加納幸和 小島聖
   伊達暁 中山祐一朗
   馬渕英俚可 光石研
   村岡希美 山内圭哉

201036日(土)18時開演
名古屋/愛知県勤労会館

5回目。
大千秋楽。
いよいよ最後の公演です。



会場の愛知県勤労会館は、この3月末で閉館だそうで。。
結構立派なホールなのに勿体無いなと思いました。

余裕で時間あったはずなのに
地下鉄が意外と来なくて(^_^;
結構ギリギリになってしまいました。。
間に合ったので良かったのですが。
入場の列がわりと長くできていて
会場の雰囲気といい、何かの音楽ライブのようでした()

今回の席は13列目。
今公演では一番後ろですが
通路際なので、途中あのシーンはいいかもw
と思っていました。

開演時間が近づいて、ふと、前の方の通路に男性が
「本日はご来場いただき・・・」
みたいなことを話し始められたので
てっきり普通の携帯切ってアナウンスだと思ったら
「この劇場には1点だけ欠点がありまして、、、」
と言われる。
「といってもたいしたことじゃないんですが(^_^;)
「前のお客様の頭で、一部舞台が見えないところがあるんですね」
「どういう感じかというと・・・深く姿勢良く腰掛けてみてください」
で、いっせいに姿勢を正す客席。なんか笑える()
「こんな感じです。なので、みなさんもう少しだけお尻を前に出して
 ゆったりとした感じで座ってください」
で、またしたがう我々。
ようは、前の方のブロックは傾斜がゆるくて
普通に座ったんじゃ舞台が見えづらいと。
演者がずっと立ってたら問題ないんでしょうけど
地べたに座っての演技があるからそれででしょうね。
でも、たいてい劇場では「背もたれに背を付けて姿勢良く」
て感じで言われるので、珍しいなと思いました。
あと、結局私の席からは、前の人の頭で下手側がすっぽり隠れ
そっちで演技されるともう全く見えなかったんですけど(^_^;
まぁ何度も見てるんで何をしてるかは分るんですが・・・


そして本編。
前々回でちょっと解かった気がして
前回またよく解らなくなってしまっていましたが
今回、また「そうかも」と思ったことが。
みんな人形説()はやっぱそうだと思うんですけど
梨池もまた、人形なのかなと思いました。
「あの人(梨池)さえも見られているんじゃないか」
という台詞と
そして、新しいストーリーを思いついた梨池に梶原と悦世が
「きっと喜ばれると思いますよ」
ていう台詞。
最初は読者は「喜ぶ」てことだと思ったのですけど
すぐに続きを書き始めない梨池を
ちょっとじれったそうに見ている梶原を見てると
「喜ぶ」のは「本当の作者」なのかな、と思いました。
どこかから「見ている」のも「本当の作者」で
彼らは全員、その本当の作者によって書かれた作品の登場人物
なのかもしれない。
というか、本当の作者の夢?
なのかもしれない。
でも、伊達さんと馬渕さんの役はやっぱ別世界の人な気がします。
他の人たちが次回作の登場人物で
彼ら2人だけは前作の登場人物。
次回作について考えている夢の中に
酷評されて作者にそれを確かめたくなった
前作の登場人物が「入り込」んできたのかなって。
だから、本当なら関わることが無いはずの世界なのに
それを飛び越えて関わってしまったから
歪みができてあんなことになったのかなぁ。。。
最後に梨池が「死なせないでくれ」って叫ぶ相手も本当の作者なのかな
なんて。
考えてると楽しくなってきます♪

私たちの記憶が、本当に正しいかなんて誰にもわからない。
これまでの記憶全てを、この瞬間に誰かに与えられていたとしても
それに気付くことはできないだろうし
今、目の前の扉を開ける瞬間に、その先の世界は作られている
のかもしれない。
そおいうことかなーなんて。

舞台上の見た目的にも本当に好きな場面ばかりで
・最初の、梨池が投げた新聞が飛んでいくとこ
・スライドする柱からスーっと現れる2人の人物
・梨池と電話で話しながら
「お邪魔してもいいですか」と目の前に現れる野口
・胎児方の春巻きを囲んだ食卓
・すべの登場人物が梨池の作品の酷評を読み上げながら
 梨池の周りに集まってくる場面
・酔っ払って「(車なんて)置いてっちゃえよー」という梨池()
・部屋で話していたはずなのに
いつの間にか長い階段の上に来ている梨池と真智子
・階段から突き落とされた真智子と会話をする野口
↑この場面がやっぱり一番好きです。
『夢色の脳みそ』という表現が最高に素敵vv
・夜の公園
・バスルームで血まみれで座っている希緒
・古い病院
・新作の話で盛り上がる梨池・真智子・加納・悦世

すべてが夢のようでとても美しくて妖しくて
うっとりするばかりでした。
やっぱり、様々な時間と空間が交錯しながら
その交わり方がとても滑らかで
異なる空間が1つの場面にあっても全然違和感が無いところが
すばらしいなと思いました。
SISTERS」でも同じような手法をとられてましたけど
長塚さん、こおいうの本当に上手いなと思います。

先程も書きましたが
今回はやや後の席だったので
途中の中山さんと山内さんの客席芝居が
よく観れたのは良かったです。
今まで後を振り返るのが難しくて
ほとんど声しか聞けてなかったので(^_^;
特に中山さんはすぐ横に来られてドキドキしました。
仙台公演では、たまたま次の日同じ劇場で公演する予定だった
AGAPE store
の面々も観に来られていて
ちょうどキッチュさんにもスポットが当たってたらしいですw
この夜は長塚さんと中山さんとキッチュさんたち
お寿司屋さんで合流したらしく
いいなぁと思いました。

大千秋楽だけど、カーテンコールはわりとあっさりしていて(^_^;
2
回目くらいで長塚さんも登壇されたのですが
端っこの方をたたたーって走ってこられて
舞台の隅から上がられたので
一瞬スタッフさんかと思いました(^_^;
そのまま簡単に挨拶されたけど
よく分かってないお客さんもいたんじゃないでしょうか(^_^;
「これに懲りずにまた来てください」て言われてましたが
そんなことないですよーっっ
て言いたいです()
みなさん笑顔で嬉しかったです。

最後は皆さん柱とともに消えていかれました。


客席のこと。
ホール内乾燥してたのか結構咳き込む人が多くて、、、
あと、バサバサって物を落とす人も多くて、、、
それはかなり残念だったです。。
そのたびに「集中!」て思いながら耐えてました(^_^;
とてもとても静かな芝居なので余計目立つんでしょうけど
もちょっと頑張って欲しかったです()
AGAPE store
の開演前の注意事項アナウンスで
キッチュさんが
「コンビに袋のカサカサいう音や飴を剥くパリパリいう音も
意外と目立ちますので気をつけましょう」
的なことを言われていたのを思い出しました()
全作品であれ、言うべきですね()

私なんか最初の場面なんて息も止めてるのになぁ()



でもこれで本当に終演です。
いろんな意見はあると思うけど
私はこの作品が大好きです。
まだまだ何度でも観たいなと思います。
全然まとまってない感想ですけど、、、
答えが出ないことが面白い作品なのかな、て思います。
こうなのかも?て色々考えて
誰かと語り合えたら楽しいだろうなー
と思える作品でした。

そして、次回作にもめちゃ期待しちゃいます。
今度はどんな作品を見せてくれるのか。
とても楽しみです♪