『ファウストの悲劇』

原作/クリストファ・マーロウ
演出/蜷川幸雄
出演/野村萬斎 勝村政信
   長塚圭史 木場勝己 白井晃
   たかお鷹 横田栄司 斎藤洋介
   大門伍朗 マメ山田 日野利彦
   大川ヒロキ 二反田雅澄 清家栄一
   星智也 市川夏江 大林素子
   時田光洋 中野富吉 大橋一輝
   手打隆盛 鈴木彰紀 川崎誠司
   浦野真介 堀源起

2010718日(日)14:00開演
東京/Bunkamuraシアターコクーン

ドイツ・ヴィッテンベルグの大学教授・
ファウスト博士(野村)は
神学の最高権威として尊敬されていた。
しかし、神学にも哲学にも医学にも法学にも飽き足らず、
ついに魔術にふけるようになる。
善天使の忠告にも耳を貸さない。
大魔王ベルゼバブこそ、我が主、地獄落ちなど恐れないと宣言し、
ベルゼバブの手下、悪魔メフィストフェレス(勝村)を呼び出し、
恐ろしい契約を結んでしまう。
その契約とは、己の魂を悪魔に渡すかわりに、
生きているうちはやりたい放題をすること。
メフィストフェレスはそれを全て叶え、
ファウストに忠実に仕えること。
絶大な力を手にしたファウストは、
竜の引く車で天空をかけ、宇宙の真理を探り、
古代の詩人を訪ね、ヨーロッパ中を見物し、冒険を重ねる。
ギリシャ一の美女、
トロイ戦争の原因ともなったヘレナさえ恋人にする。
しかし、時が迫り、命が尽きようとする時、
ファウストは、心から後悔し始めて・・・。



という話を上演する、歌舞伎風旅一座の話

というような二重構造になっていました。
あとメフィストが仕えてるのはルシファーとなっていました。

当初、チケットは取ったものの交通費が厳しくて
東京行きは諦めようかと思っていたのですが
思いのほか良い席が取れて(B列中央ブロック)
長塚さんの役者姿も久しぶりだし
やっぱ行っちゃえってことで思い切って行ってきました(^_^;

でも、結論から言うと、行って本当に良かったです♪
すごく面白くて、3時間弱の上演時間があっという間でした。
正直言って、
今まで、蜷川さんの演出作品はどうも苦手で(^_^;
シェイクスピアとかはまだそうでもないのですが
井上ひさしさん作品の時は全然ダメで、、、
今回は洋モノだし大丈夫かなと思いつつ
やっぱり心配だったのですけど
もう全然ダメなトコありませんでした()
最初から最後までワクワク楽しく観ることができました♪
・・・なんなんでしょうね(^_^;

豪華でチープで綺麗で猥雑で耽美で・・・
いろんなものがごちゃ混ぜになってて
やっぱ凄いや、と思いました。

特に今回は、ファウスト博士のお話と
それを演じている一座の楽屋裏
という二重構造で
舞台後ろの壁がマジックミラーみたくなっているのですが
それが時々透けて
さっきまで悪魔とかで出てきた人が
着替えながらうろうろしてたり
奈落が見えるようになっていて
そこで着替えたりスタッフさん(役)がお弁当食べてたり
そおいうのも見せる演出が面白いなと思いました。
あっちもこっちも見なくちゃいけなくて
めちゃ忙しいんですけど(^_^;

その舞台美術がめちゃめちゃ美しくて
最初にババーンと照明がついて
舞台中央に萬斎さん演じるファウストが椅子にゆったり座り
周りには悪魔が飛び交い
後ろには赤い照明の中楽屋の様子が現れ
たときは、うわぁ~て感じで鳥肌モノでした。

わたし的には
あの美しい美術が見られただけでも
行った甲斐あるなって感じですw


野村萬斎さん。ファウスト博士
たぶん生でお姿見るのは初めてだと思うんですが
なんなんでしょうあの色気はw
て感じですね()
勝村さん演じるメフィストとの
いきなりタンゴ踊ったりとか
なんともいえない際どいやりとりとか
絶対「腐」意識してるでしょっって感じなのですが(^_^;
それでもやはり美しかったです。
黒いマントを翻して歩く姿とかたまりません()
全然汗を掛かれてないのも凄いなと思いました。
あと、今回席が通路際で
私のすぐ隣に萬斎さんが来られて演技されて
もうかなりドキドキでした
声がいいんですよね、これまた

おちゃめな姿もたくさん見られて贅沢でした♪
最後の独白もすごいのですが、
ここはちょっと眠たくなってしまいました、、、(^_^;

勝村政信さん。メフィストフェレス
超―カッコよかったですっっっ()
黒のファウスト博士に対して
悪魔のメフィストフェレスが真っ白な衣装
それもやはり裾の広がった上着を翻して歩くし
私、マントとかああゆうヒラっとしたのに弱いみたいです()
それから舞台の上から下から客席から2階席まで
あらゆるところに出現し
ワイヤーにも吊られるし
本当に大忙しで・・・
汗いっぱいかかれてる姿も素敵でした。
(ここもファウストと対照的で/笑)
メフィストも客席に下りてきて通路に座ったりするのですが
舞台の際に来られるとちょうど目線が私と同じになり
もろに正面から目を見るようなシーンがあって
とても目をあわせられなくてドギマギしてしまいました(^_^;
実際は外されてるんでしょうけど()
メフィストもかなりおちゃめで
でも、最後、ファウストを地獄へ連れ去るときの
邪悪なニヤリとか、ぞくっとしました。
なんていうか、緩急のある芝居?
何でもできる方というか
前から好きな役者さんでしたが
今回かなり尊敬しました。

長塚圭史さん。騎士ヴェンヴォーリオ
長塚さんの役は表立っては二幕からしか出てこなくて
最初は淋しいのですが、
一幕の途中からちょこちょこ後ろの楽屋にいて
もうすぐ分かっちゃってずっと目で追っていました()
手前ではファウストのお芝居が続いているのに(^_^;
あれ、やっぱ一度しか観れないのは辛いですね。
あと、長塚さんも通路での芝居があってすぐ横を通られたし
後の方の席の人にはもろに話しかけたりしてて
こちらもドキドキものでしたw
そして羨ましかったです()
最初出てきたときは花柄の織物でできた上着を着ていて
それがとても素敵だったですvv
今回ホント衣装も素敵でした♪
あとは鹿の角頭についちゃったり
可愛かったですw
髪型が、若い頃の長塚さん本人みたいにちょい長めで
それもツボでしたw
メインキャストの5人に入っているわりには
出番が少なかったのは残念ですが
久しぶりの役者の長塚さんも、やっぱり好きだなと思いました。

木場勝己さん。
木場さんはいろいろ役をやられてたのですが
片目の役で、それが作者のマーロウと同じ目だから
作者を投影されてるのでは?と言われてました。
ずっとおどけた感じで、ファウストに犬にされたり
ただの名も無き役者って感じなのだけど
最後の最後、悪魔の羽根を付けて登場して
客に向かってアッカンベーをされたとき
この人が実は本物のルシファー、
あるいはベルゼバブだったのかな
と思ってこれまた鳥肌モノでした。
木場さんもやっぱ上手くて渋くてカッコよいです。

白井晃さん。
白井さんも色んな役をされてました。
後ろで長塚さんとあれこれやってたりするのも楽しかったです♪
でも、こちらもあんまり出てこられなかったので
ちょっと残念でした。
桜姫の時にも書いたけど
長塚さん作・演出の作品に出て欲しいなぁ
と思っています。

あと、ヴェンヴォーリオの友人の騎士などを演じていた方で
ちょっと寺島進さんに似てるなって思った方がいたのですが
この方好きだなって思いましたw
なんか素敵だったですvv


原作も全然知らなくていきなりだったので
ちゃんとしたストーリーは分からないし
あちこち見るのが忙しくて
たぶん内容的なことは理解できてないことが
いっぱいだと思うのですけど(^_^;
とにかく観ていて楽しかったし
みなさんカッコ良かったし
行って良かったと思えて良かったです。
できればあと3回くらい観たいけど()
てか、気がつけばこのお芝居のことを考えていて
どんだけ気に入ったんだって感じですw
NHK
のカメラが入っていた、という情報は聞いたのですが
BS
だったら観られないし
ぜひDVD出して欲しいなぁと思います。