阿佐ヶ谷スパイダースPRESENTS
『荒野に立つ』

作・演出/長塚圭史
出演/安藤聖 中村ゆり
   黒木華 初音映莉子
   中村まこと 福田転球 横田栄司
   中山祐一朗 伊達暁 長塚圭史
   平栗あつみ 水野小論
   川村紗也 斎藤めぐみ 佐藤みゆき

2011717日(日) 1300開演
東京/シアタートラム

訳あって実家に戻った朝緒(安藤)は地元のスーパーで働いている。
ある日高校時代の同級生、田端(黒木)と再会するが
彼女のことをよく覚えていない。
田端は友人の玲音(中村ゆり)の死を告げるが
玲音のこともよく分からない朝緒。
その他いろんな記憶が曖昧になっている気がする。
(中村まこと)からも母(平栗)からも当たり前のように言われ
告別式にやってくるが、その席で見知らぬ女(初音)に声を掛けられ
訳の分からない不安感から逃げ出してしまう。
ふと気がつくと、そこは高校の教室。
そこには田端も玲音もいていつもと変わらぬ風景。
しかし隣には先ほどの女。
「あなた、目玉をなくしてしまったよ」
そう言われ、目玉探偵の元を訪れることにする。

「目玉をなくしたのは君か」
と目玉の探偵は聞く。
「いえ、こうしてあるにはあるのですが」
と答えると、目玉の探偵はにやにや笑って、
「ほら、やっぱり目玉をなくしている」
と言った。

朝緒は女に「美雲」という名前を付け、
朝緒は「メクライ」と呼ばれることになる。
朝緒と美雲の目玉を巡る冒険が始まる。




約一年半ぶりの阿佐ヶ谷スパイダース公演。
前作「アンチ・クロックワイズ・ワンダーランド」も大好きだったので
今回もどんな作品なのかかなり楽しみにしていました。
会場は東京・三軒茶屋はシアタートラム。
私はたしか行くの2回目です。
入口前の休憩所?みたいなところが閉鎖されてて
最初入口どこだっけ?て思っちゃいました(^_^;
丸いエントランスがなんか好きです
劇場内はなんとなく狭いイメージだったのですが
今回ステージ上にはほぼ何もなく、とても広く感じました。
客席はステージを3方向から囲む形になっていて
私は正面1列目のど真ん中の席で、とてもステージが近くドキドキしました。


シーンとした中、それぞれ違った種類の椅子を持って
全出演者がステージ上に出てきます。
そして各々思い思いの場所に腰を下ろします。

「荒野に立つ」

後ろのステージにタイトル文字が映し出され
「そして教師は語りはじめる」
というような文字が続けて映し出されると
教師役の横田さんが立ち上がり、おもむろに語り始めます。

台詞を語っているような
客席の私たちに話しかけているような。
その間も他の人たちは椅子に腰掛けたまま。
時折教師の方に目を向けたりしながら・・・

いったい何が始まるんだろう
こちらも台詞ひとつひとつを聞き逃さないようにしようと
集中していきます。

続いて話し始めたのは安藤さん。
台詞と言うよりは詩のような・・・
そしてだんだんとストーリーの中に入り込んでいきます。

本当に、不思議な世界でした。
自分も朝緒の夢の中に迷い込んだような不思議な感覚。
舞台上に大きなセットは無く
舞台奥に吊されたスクリーンと
だだっぴろい空間に1本の樹があるだけ。
椅子やテーブルなど必要最低限の小道具のみで
あるときは教室、あるときは朝緒の実家、
目玉探偵の事務所、海岸・・・
朝緒の記憶かと思っていたら教師の記憶に入ったり
時間も空間もスルスルと飛び越えて行きます。
登場人物も、時に他の人の「代行」だったりして
いったい今ここにいるこの人は誰だっけ?と戸惑ったり。

なんとなくこおいうことかな、と思いながら観ているのだけど
うーんやっぱり違うかもと思ったり。
「あのこと以来」て言われるけど「あのこと」がどんなことなのか
また玲音は酷い死に方をしたようだったけどいったい何があったのか
朝緒の「目玉」は見つかったのか、
そもそも「目玉」とは何なのか、
結局明かされないままのことも多くあって頭ぐるぐるしちゃいました(^_^;

でも、それが全然嫌じゃ無く、むしろ好きな感じでワクワクしました()
ラストも腑に落ちたような落ちてないような
ただ今回は途中結構笑わされるシーンもあったりして楽しかったですw
特に探偵たちはめちゃ可愛くてカッコ良かったですvv
あと「夏カレー」とか「ナポリタン」とか「おしんこ」とか食べ物が色々出てきて
お腹空いちゃいました()
それでなくてもシーンとした中、何度もお腹鳴って恥ずかしかったです(^_^;
でも他からも聞こえてたので大丈夫かなと思います()

セットが無いことの他に、音楽もほとんど無くて
ドアが開く音やレジを通す音なども役者さんが口でやっていて
そおいうのもおもしろいなと思いました。


安藤聖さん。朝緒。
「浮標」に引き続きの出演。
朝緒の不安定さが、大変そうだなと思いました。
「今」が朝緒にとっての「いつ」なのか
「あんなこと」とはどんなことなのか
分からないことだらけでしたけど
最後、なんとなく目玉を見つけられたような気がしたので
一応希望は見えたかな、と今は思っています。

中村ゆりさん。玲音。
こちらも「浮標」に引き続き。
浮標の時はじめて知った方でしたが、なんか好きですw
見た目も声も可愛らしいしちょっと小悪魔ちっくなトコもいいです()
玲音がどうして死んでしまったのか気になります。
あと、なぜ朝緒のツライ記憶ばかり「代行」していたのかも

余談ですけど「具のソース」のCMが可愛くて好き()

黒木華さん。田端。
前回のNODAMAP「南へ」で初めて知りました。
まだよくお顔が認識できてません(^_^;
すぐに存在を忘れられる田端。
朝緒の父とともに朝緒を探しに出かける。
何か意味がありそうなのだけどまだよく分からない。。
「現実」とを繋ぐ役目をしているのかも、とちょっと思ったり。

初音映莉子さん。美雲。
これまた謎の女()
美雲は朝緒のことを知っているけど朝緒は知らない
というか憶えてない?
なぜ朝緒の目玉を探そうとするのか
朝緒がなくした目玉が美雲なのかな。。。

中村まことさん。父。
まことさんらしいw
一生懸命朝緒を探す姿が切ない。

平栗あつみさん。母。
落ち着く感じ。
母の暖かさを感じた。なんとなく。

最後の方、両親の朝緒を想う気持ちがとても伝わりました。
雰囲気は変わっても、やっぱり長塚作品は
「家族」を描いているのかな、と思いました。

伊達暁さん。佐藤。
大学時代、朝緒に酷いことした先輩?と
優しそうな旦那さんの佐藤は別人?同じ人?
金髪じゃ無かったのが残念()

横田栄司さん。担任教師。
長塚さんとは「ファウストの悲劇」繋がり?
横田さんてこおいう人なのかぁと改めてw
とても感じ良さそうな先生なのにこの人にも過去に暗い記憶あり。
この記憶が朝緒の記憶に混ざってくるのは何でだろう。。

長塚圭史さん。目玉探偵A
いやぁ、カッコ良過ぎましたw
ダークなスーツに帽子とか反則でしょう〜()
足長っって感じだし
その他おちゃめなところもあって可愛いしw
最前列だったので近くに来られるとドキドキしました()

福田転球さん。目玉探偵B
最初に探偵が出てくると聞いて、探偵役は転球さんかなと思いました。
探偵の衣装、似合ってました
探偵Aとの漫才みたいな会話が楽しかったです

中山祐一朗さん。目玉探偵C。アルイハ謎郎。
中山さんも探偵さん似合いますね
唯一名前のある探偵。
夏カレーのくだりが好きです。
にゃきゃやまさんの作る夏カレーも見てみたいですw

水野小論さん。緑秘書。
個性的。でも可愛いw
緑秘書も目玉を無くしたそうだけど
探すの諦めちゃったのかな。

川村紗也さん。カレー屋の店員/カビリア/ほか
斎藤めぐみさん。新聞配達人/受付嬢/ほか
佐藤みゆきさん。逃亡少女/紛れた女/音羽/ほか

正直、川村さんと佐藤さんと黒木さんの区別が付いてないシーンが
いくつかあったような…(^_^;
なんか雰囲気似てる気がしたのだけどそんなこと無い?
次回はもっとしっかり認識して見たいと思います()
斎藤さんはちょっとあの人っぽかった。
お笑いの、今名前ど忘れしたけど(^_^;

ここ3作くらいは、
スパイダース作品として、作風はたしかに昔とは全然違うのだけど
長塚さんの作り出す世界というか空気感はそんなに変わってないというか
変わらず好きだなと思いました。
むしろ最近(失われた時間を求めて以降)の方が好きかもしれないw
何回でも観たいと思ってしまうので。

観るたびに変わりそうな作品。
観る側の気持ちの状態によっても全然見え方というか
引っかかるところも変わりそうで、すぐにでもまた観たいです()
今回出演者が多くてみんなが出てるシーンとか
どこ見ていいのかって感じでした(^_^;
誰に注目するかでまた変わってくる気もしています。

大阪・博多公演にも行く予定なので
次回どんなことを感じるのかも楽しみです

今回は一番前の席でしたが、
帰りに一番後ろの席からステージを見てみて
全体を見られる位置から観るのもいいだろうなぁと思いました。

あと今回のパンフレットも読むとこタップリで良かったです。
パンフって、なかなか買うだけで全部読まないことが多いのですが(^_^;
今回は帰りの新幹線の中で全部読みました。
長塚さんとP.P.P.P.の倉持さんとの対談が興味深かったです。
長塚さんと倉持さんの共作、是非観てみたいです。
倉持作品に役者として参加する長塚さんもw
前に伊達さんは出たことありますもんね



今回のミツギモノ()は、地元の冷酒セットと、はっさくゼリーをお持ちしました。
夏っぽくていいかな、と思って
はっさくゼリーは一応15個にしたので、
出演者の皆さんで食べていただけてたらいいなぁと思っています。
あと、インターネットで見つけた
とてもすてきなポストカードにメッセージを添えて。
「目玉も生える 三日月の夜」というタイトルが付いていたのですが
今回の公演のイメージにピッタリだと思いました。