Cucumber+三鷹市芸術文化センターPresents
土田英生セレクション vol.2
『燕のいる駅』

作・演出/土田英生 
出演/酒井美紀 内田滋
   千葉雅子 土屋裕一(*pnish*
   尾方宣久(MONO
   中島ひろ子 久ヶ沢徹 

2012614()1830開演
大阪/サンケイホールブリーゼ

春、燕が巣をつくる頃─
昔なつかしい日本の風景を模してつくられた「日本村四番」。
そこにある駅も一昔前のローカル線の駅舎を思わせる。
いつもと変わらない穏やかな時間。
しかし遠くの空にはパンダの形をした雲。
突然、人は消えた。理由は分からない。
駅に残った人々は穏やかな景色の中でただただ待つ。
これが世界の終わりなのか?
見上げる空にはパンダ雲が不気味なうねりとなって
ゆっくりと広がっている......

公式サイトより

舞台上には駅ナカの職員休憩所のセット
天井には大きなパイプが客席にはみ出すように張っている。
赤茶色に錆びたそのパイプの存在感が凄かったです。
なんか威圧的な感じ、、、
劇中では↑の雲の形は「たぬきみたい」になってました。
会話のテンポがとてもよくてほのぼのしつつ、
すぐそこに迫った終末を感じてどんどん怖くなっていきました。
終末感とかもっとぼかすかと思ったけど結構直接的で(^_^;
胸がぎゅーってなる感じというかドキドキする感じというか
観終わった後もしばらく気持ちがざわざわしてました。
せかいのおわり、ということの他にも
「日本村」というのが外国人を排除して作られた村で
外国人(ハーフ?)はずっとそれと判るように
バッチを付けないといけないとか
差別的要素もあってモヤモヤしました。
とてものんびりした雰囲気の裏に
こういう要素をピリッと入れてくるのが
土田さんの作風なのかなぁと思いました。

全然救いの無い話なので好きか嫌いかと言われれば
あんまり好きじゃないですが(^_^;
観れて良かったなぁとは思います。
苦しくなるので何度も観るのはキツいですけど…
それとも何度か観たらまた感想が変わる部分もあるかも?
あ、途中途中は笑えるシーンいっぱいで楽しいです。
その分切なさも増すといいますか…。。

劇中で流れるハンバートハンバートさんの曲も
歌詞が物語にとても合っていて歌声も切なくて良かったです。


酒井美紀さん。有本比呂美(売店定員)
爽やかでした。笑顔がキラキラしてました

すごくけなげで良い娘なのに悲しい。。
最後は高島さん(久ヶ沢)と一緒にいさせてあげたかったな。

内田滋さん。ローレンコ次郎(日本村四番駅員)
最初高島さんと兄弟なのかと思ったら違ってた。
日本人として駅員も務めているけど外国人。
そのことでのコンプレックスもありつつ
今までは表に出さないでやってきた。
最後高島さんに気持ちをぶつけるトコロが悲しかったです。
長めの髪の毛はいいと思いますw

千葉雅子さん。水口陽子(葬儀屋)
相変わらず可愛らしかったです()
部下にめちゃめちゃ言われても怒らない。
仕事も失敗ばっかででものんびりしていて
何考えてるのかなーて感じもしなくも無かったけど
最後はピリッとしてカッコ良かったです。
真田くんと最後一緒にいられて良かった。
でもやっぱ悲しい。。

土屋裕一さん(*pnish*)真田貴志(葬儀屋)
ものすごくテンションの高い役。
早口で誰よりもたくさんの台詞をまくしたてないといけないし
常に怒っている感じなので大変そう(^_^;
でもよどみなくて素晴らしかったです♪
実は誰よりもこの状況に怯えているのが分かって
水口さんに甘えるところもなんか切なかった。

この千葉さんと土屋さんの役は今回の公演のために
書き下ろされた役だそうです。

尾方宣久さん(MONO)。祭大介(人見知りの男)
物語のキーを握っているのかと思いきや
通りすがりの男だった(^_^;
マッシュルームカットが新鮮でした()
ひとり場の雰囲気と違う感じで
異常を知らせる役にはピッタリだと思いました。

中島ひろ子さん。下河部友紀(戸村の知り合い)
初舞台ていうのがすごく意外でした。
でも全然自然で良かったです。
政府?に連れて行かれた弟を待っている。
でもなんかちょっとミステリアスでした。

久ヶ沢徹さん。高島啓治(日本村四番駅員)
素敵でした。
素敵でしたけど、イライラしました(^_^;
優しいけど自分の気持ちや現状をごまかして
はっきり結論出そうとしない。
意識的かと思ったら無意識?
気づいたときはもう遅すぎる…。
素敵だけどダメ男です。。
久ヶ沢さんは「普段自分に振られないような役」
と言われていたけど、ピッタリな感じがしました()
以前の公演では相葉くんが演じたのかな?
それも似合いそうな気がしますw

前日の公演ではアフタートークもあったようで。
土田さんのお話も色々聞いてみたいなと思いました。
もともとは15年前?に書かれた作品だそうで。
近未来の空想物語で良かったものが
今では現実に起こりうる状況になっている
怖いなと思います。
もし明日世界が滅びるとしたら
自分だったらどうするだろう…
そんなことをずっと考えていました。

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