シアターコクーン・オンレパートリー2013
  + 阿佐ヶ谷スパイダース
『あかいくらやみ ~天狗党幻譚~

作・演出/長塚圭史 
原作/山田風太郎「魔群の通過」
出演/小栗旬 小日向文世
    白石加代子 原田夏希
    小松和重 古舘寛治
    横田栄司 福田転球
    武田浩二 駒木根隆介
    斉藤直樹 六本木康弘
    木下あかり 後藤海春
    中山祐一朗 伊達暁
    長塚圭史 中村まこと
    大鷹明良 小野武彦

2013511日(土)13:00開演 
東京/Bunkamuraシアターコクーン

第二次世界大戦の敗戦直後。
大一郎(小栗)と奈生子(原田)は、
群馬のとある宿屋に辿り着く。
作家の葛河(古舘)も物語の匂いに導かれ、
編集者の野口(長塚)と共にこの宿を訪れていた。
葛河が追っているのは動乱の幕末期、
尊皇攘夷の志を掲げながらも賊軍とみなされ、
悲惨な末路を迎えた水戸天狗党の怨念だ。
漆黒の闇の中、何かがぞぞりとうごめき出す。
大一郎は天狗党の悪夢に呑み込まれていった。

パンフレットより





久しぶりのスパダース公演。
シアターコクーンでおぐり君主演とか
なんか違うんじゃなーいて感じもしてたけど(^_^;
やっぱりスパイダース作品だなと思える作品でした。
どこがというのは難しいのですが
演出だけとか他のプロデュース公演とは
空気というか雰囲気というか
違ってる感じはしました。
今回のは葛河氏が出てきたりすることもあってか
アンチクロックワイズワンダーランドが思い出されたし
悪魔の唄の雰囲気もあるかなって思いました。
長塚さんの「ぞぞり」て表現のしかたとか好きです

今回は一応原作物ということで
事前に読んでおこうと思っていたのですが
買ったもののなかなか読めず
当日行きの新幹線の中で半分くらいまで読みました(^_^;
でも、それでも登場人物やそこまでのストーリーが解るだけでも
あぁこれはあの時のとか思えて良かったです。
大阪公演も行くのでそれまでには
小説と戯曲、できれば三好十郎さんの「斬られの仙太」も
読みたいなぁと思っているのですが
せめて小説だけは(^_^;
でも、原作といってもこの小説のお話を
そのまま舞台にしたわけでは無くて
そこから新たに生まれた長塚さんの作品世界なので
小説はあくまで登場人物や概要を踏まえるために
さらっと読んでおくだけでもいいのかな
とも思います。今回の舞台に向けてなら。
でもまったく読まないと誰が誰やらだし
何がなにやらって感じにはなるかもなー
とは思いました。

舞台は真ん中に盆があって
大きなセットなどは無く、一瞬で時間も空間も
人格さえも飛び越えて
でもそれがとてもスムーズに切り替わっているので
どんどんと流れに乗ってお話に入っていけました。
長塚さんこおいうのとても上手いと思います。
でもまあ最後の方はよりコロコロ変わるので
1
人の人のことだと思って見てると
なんか変???ってなりそうですけど(^_^;
でも、最後、「命は繋がっていくんだ」て感じのことがわかる場面は
ぞわぞわってきて涙が溢れました。
とても悲しい話だけど最後に希望が見えた気がして。
長塚さんの作品て昔からそおいうのあって
そこが好きなのですよね。

本当にはそういう事実は無かったのかもだけど
この天狗党のお話は架空の物では無くて
本当に起こった出来事だし出てくる人たちも本当に生きていた人たちで
きっとその子孫にあたる人たちもいるんだろうと思うと
なんだか不思議だし
そういう人たちがこのお芝居を観たらどう思うのかな
水戸で公演があると良いのにね
と思ったりしました。

今回最前列の下手側端っこで
舞台の上の様子が全然見えなくて
生首とか落ちてくるのも(^_^;最初全然何かわかって無くて
途中ごろごろって客席に落ちたときはわーってなりました()
この回はWOWOWのカメラも入ってたし
休憩も暗転もあんまり無いしどうするのかなーと思ってたら
だいぶ経って劇場係員のお姉さんが取りに来てました。
でももろ生首だし(^_^;ちょっとかわいそうw
ちなみに小松さんのでした()
千秋楽は少し後ろから観るようになるので
舞台全体が見えると良いなと思っています。

役者さんは大好きな人たくさんなのだけど
たくさん過ぎてイマイチ個性が出てなかった気はして
もったいないかなーとは思いました。
中山さんの田中愿蔵さんは
小説でもとてもカッコイイ人に描かれているのだけど
(仲間からも破門にされるほど無茶した人でもあるけど)
お芝居の中でもとてもカッコ良かったです

あと葛河役の古舘さん。
最近よくCMとかドラマでお顔見て気になってたんですけど
なんか朴訥とした感じで
でもかなりイっちゃってて(^_^;
前の葛河とはもちろん違う感じで面白かったです。
長塚さんの野口くんも良かったなぁvv
長塚さんのああいうヘタレな役()結構好きですw

あとはやっぱり小日向さんが凄かったです。
最初判らなかったし。
あぁいうシリアスな怖い感じの小日向さんも素敵です

白石加代子さんがすごいのは、もう、ねぇ()

おぐりくんもとても良かったけど
最初の長台詞とかもっともっと自分の物になるといいな
と思ったりします。
結局無駄になる穴をずっと掘ってたってのの
むなしさとか苦しさとかもっと感じられると良いなとか。
それこそ三好十郎さんの「胎内」のあの人のように。

何はともあれ今回も好きな世界でした。
大阪公演も楽しみです

でもホントにこんなことがあったっていうのは
やっぱ怖い、、、
今大河ドラマも幕末で慶喜とか出てくるし
この物語にも思いを馳せてしまいます。



【配役】
 大一郎小栗旬
 奈生子(お登世/おうめ/篠島の妻原田夏希
 葛河梨池(市川三左衞門)古舘寛治
 野口長塚圭史
 老人、実ハ、武田金次郎小日向文世
 老婆、実ハ、おゆん白石加代子
 武田耕雲斎中村まこと
 山国兵部小野武彦
 田丸稲之衛門駒木根隆介
 藤田小四郎小松和重
 武田彦右衛門武田浩二
 全海入道福田転球
 野村丑之助木下あかり
 おゆんの土人形後藤海春
 田中愿蔵中山祐一朗
 田中平八横田栄司
 内藤弥三郎伊達暁
 篠島左太郎後田真欧
 田沼玄蕃頭大鷹明良
 天狗斉藤直樹、六本木康弘





今回の貢ぎものは
長塚さんのお誕生日のすぐ後ということもあり
ワインにしました。
なんか地元出身の人が作ったという
ちょっと変わったワインです。
私飲んでないのですが(^_^;
美味しく飲んでいただけてたら幸いです。

201305102214000





あとアンチクロックワイズワンダーランド観たくなってきちゃいましたw