PARCO PRODUCE
『ツインズ』(1回目/東京)

作・演出/長塚圭史
出演/古田新太
   多部未華子
   りょう
   石橋けい
   葉山奨之
   中山祐一朗
   吉田鋼太郎

20151212日(土)14:00開演
東京/PARCO劇場

美しい海辺の大きな家に暮らす家族。
海水浴を楽しみ、海産物に恵まれた穏やかな生活を送っている、ようにみえる。
視界に広がるこの美しい海の景色ははたして本当の現実なのか。
追憶のなかを漂う家族が幼い双子に見たものとは−。

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待望の長塚さんパルコ劇場新作です。
古田さんが「嫌な家族物なら出てもいい」と言って実現した作品w
私は昔のようなショッキングな事件ものみたいな作品も
最近のような抽象的で色々考えられる作品もどちらも好きで
どんな感じのでも楽しみだったのですが
やっぱ前のみたいなのを求めてる人が多いんですかね(^_^;)
「わかりにくい」「もやもやする」という意見をチラ見して
そーなのかなーと思いながら挑みました()

が、結果、「めちゃおもしろいじゃんっっ」
てなりました()

4
か月前。何か大きなことが起きた。
そのあとの世界。
東北の震災を想像させられるけど
もっと大きな、地球規模の何か。
大気も水も汚染され人々は残った保存食を食べて凌いでいる。
そんな世界で
ある家族は今までどおり
近くの海や山や庭で採れた食材で料理をし
水道から出る水を飲んで生活している。
そこに、ほとんど連絡も取っていなかった次男ハルキ(古田)と
その娘イラ(多部)がやってくる。
3
日後の敬老の日に、家長である父親から話があると言われて。
しかし当の父親は寝たきりで意識不明。
いつのまにか居着いたローラと呼ばれる女(りょう)は
時折起きて話もするというが信じられない。
長男リュウゾウ(吉田)は海に消えた(という)妹エリコを探しに
いつか海に出ようと、海水(ということになっている酒)を
毎日飲んでいる。
エリコの息子タクト(葉山)は年上の妻ユキ(石橋)と
双子の子供を抱えてこの家に住んでいるが
ひとり抵抗して食事を取ろうとはしない。
遠い親戚だというトム(中山)はローラとともに
日毎海に出ては海産物を採り料理を作る。
人当たりがよく穏やかだか元兵士?らしい

物語は一見静かに、ある家族の姿を描いているけれど
背景には荒廃した世界があって
そこでニコニコ普通の生活をしている彼らはやはり異常で
でも狂っているのかただ諦めて受け入れているのか
どちらにも取れる感じでした。
タクトが双子を拒む理由はなんだったんだろう
最初は見た目が異形とかなのかなと思ったけど
途中そんなことなさそうだったし
てかあの赤ちゃん、動いてたんだよねっっ
それがなんか凄いって思ったw
「ツインズ」てタイトルだし
絶対この子達が核になってるとは思うんだけど。
ラストはゾクゾクしましたね
あれ絶対あのあとわれるでしょwみたいなw

古田さんと鋼太郎さんの対決()はやはり見ごたえありました。
できれば鋼太郎さんももっと強い役でガンガン行くと良かったけど
ハルキはずっと家族をほったらかしにしていて
奥さんには逃げられて世界が大変なことになって
やっと娘を自分で守らなきゃって思ったけど空回りして
実際は何も出来ないから途中からは流されちゃって
結局受け入れちゃう人なんだけど
キャラがコロコロ変わるので色んな古田さんを見られて贅沢でした
正直新感線より台詞いっぱいだしw
新感線の役者さんってじゅんさんとか粟根さんもだけど
客演時の方が堪能できますよね()

リュウゾウも「泳げないから海水を飲んで魚になる」とか言ってるけど
本気で信じてるわけでもなさそうな?いやでも信じてるの?
て曖昧な感じで不思議な人でした。
たぶんお酒飲んでる認識はあるんだと思うのだけど
双子の口にそれを塗ったりする意図は不明。
でもやっぱ長ゼリフを淀みなくスラスラ唱え上げる鋼太郎さんは
カッコよかったです
でもやっぱ、もっともっとトリッキーな鋼太郎さんも見たいなぁw

多部ちゃん演じるイラ
彼女も一見普通のよい娘なんだけど
裏にはかなり、もしくは一番の闇を抱えてそう。
ファーストシーン
暗転が明けると1人舞台に立っていて
マイムでピアノを弾く
美しい、でも時折不協和音で
どんどん不穏な気持ちになっていく
あれ緊張するだろうなぁ(^_^;)
マイムがそんなに上手くなくてbb
本当にピアノの音と合ってるのかわからないけど
あれもしマイム上手かったら
もっと迫力あったかなぁとも思ったり
でもあの舞うような感じが良かったのかな
とも思ったり
イラは音楽が好きだったんだろうなぁ
歌を歌いながら切符切りをするって話してたとき
楽しそうだったもんね。
あとお母さんのことも
まだまだ色々考えられそうな役。
古田さんや鋼太郎さん相手に堂々とした演技で
とても良いなと思いました。

りょうさん演じるローラ。
謎の飯炊き女()
とても透明感があって柔らかい感じが素敵でした
ローラは本当に人魚なんじゃないかと思っているw
目的は解らないけど
ダイシチの死は本当に自然のものだったのか
色々謎が残ります。

石橋けいさんは初めてでした。
でもとても上手い役者さんだなぁと思いました。
ユキはタクトとの間に子供を作ったこと後悔してるのかな
心の中では双子がいなくなることを願っていたのかも。。

葉山くんは舞台2回目てことでしたが
やはり周りが上手い人ばかりなので
若干浮いてる感じがしました(^_^;)
でも、役がそういう役だからそもそもの狙いなのかも。
自分のことを「僕」て言ってすぐ「俺」に言い換えたり
子供扱いされるのを嫌がりながら
でもまだまだ子供だなーって感じ。
さっきも書いたけど、タクトはなぜあそこまで双子を拒絶したんだろう。
あと、ずっと頑なに料理を食べないようにしていたのに
最後、パエリアを食べるきっかけが分かりませんでした。
何か見落とした?
次は注意してみたいと思います。
ちょっと雰囲気が岡田将生くんぽかったから
岡田くんで演ったらどんな感じかなとか想像してしまいました(^_^;)

中山さんはやはりとても良かったです。
ホント、長塚さんの世界に一番自然にいられる人な気がします。
長塚さんは中山さんに
「もう二度と一緒に芝居作んない!って殺意さえ抱いた」
こともあるみたいだけど(^_^;)
不自然だけど自然。ホント不思議な存在感のある方です。
今回劇中に料理を作ったりもしなくちゃいけなくて
なかなか大変そうだなぁと思いますが
中山さんて普段でも料理上手そうだからいいなぁと思います。
実際とてもいい香りがしてきてお腹鳴りそうでしたw
でも役者さんは何度も食べなくちゃいけないから大変ですよね(^_^;)
昼夜2回の時もあるし
密かに味付け変わったりするのかなw

そうそう、劇中ではボンゴレスパゲティとかパエリアとか食べてるのだけど
観劇後1階下のレストラン街へ階段降りて行ったら
すぐ近くのお店がパエリアとかの看板出してて笑えましたw
1
人じゃなかったら入ってそれ食べながら
この作品の感想とか話したかったな

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とにかく、やっぱり私は長塚さんの書く台詞のリズムとか大好きです。
ずーっとワクワクしながら観ていました。
ラストもぞわぁっとはしたけどなんかワクワクして
全然おいてけぼりにされたとか無くって
まだまだ観たいって思いました
今回上演時間2時間で、予想よりかなり短くて(^_^;)
もっと長くていいからもっとそれぞれの中に迫るような感じ
だとなお良かったのになとは思います。
昔の感じ戻ってたって言う人もいるけど、
そういう意味では全然ライトだし
最近の中ではかなり解りやすかったと思うから
どっちつかずにはなっちゃってるかも?

とはいえまだあと3回観られるし
大阪と北九州は来年で1ヶ月くらい先だから
まだまだ変化や気づくところがあるかと思うと
楽しみで仕方ありませんw

十一ぴきのネコとは全然違うw
荻野さんの美しいピアノの調べも素敵だったし
回り舞台で静かに転換する二村さんの美術も美しかったです。