連載:私の初めての海外旅行・ソ連  My First Overseas Trip、 USSR

Ver.3.1 2003/09/01
第5回「いよいよ、 ソ連の地を踏む」

 いよいよソ連の地を踏む。何となく緊張する。シベリア鉄道の一部をナホトカからハバロフスクまで夜行列車で走る。ソ連では乗り物に乗るたびに注意が入る。

 列車では次の2点について写真撮影禁止である。

     1) 鉄橋
     2) 鉄道の分岐点

 その他は撮影自由である。

 話によるとソ連には民兵というのがいて、外国人を常に監視しているという。もし、その禁止事項を破ると「牢獄入り」で日本に帰れなくなるという。実際に前年行った同一のツアーで日本人の一人がナホトカで全フィルムを没収され、その場で出国禁止になったという。理由はスパイ容疑。それも、途中で一切注意されなかったというから恐ろしい。いわゆる「泳がせておく」ことのようだ。従って、同行の旅行者とは一緒に帰れず、一週間後に帰国したという。この話を聞いて「身の毛が弥立つ」気がした。日本人の常識では、「そうは言っても、まあまあ少し位は!」と思ってしまうが、絶対許されないという。確かに、日本人は認識が甘いような気がする。

 そうそう、入国審査の厳しさには驚いた。日本国内で旅行社から聞いた通り持金の申請と現金とのチェックをする。そして、スーツケースの中は全てオープンされて、荷物の一つ一つをチェックする。本は間に何か挿まれていないかまで、全ページをめくりチェックする。ある人は友人から預った封書を開けるように命ぜられ、他人のものだから開封出来ないというと、「それでは、入国させない」という。何度かやりとりしたが許されず、やむなく開封させられた。またある人は、コンドームを1箱持っていたら、何だと聞かれ、ロシア語が話せないので日本語で説明するが相手には分らない。実は分らない振りをしているのかも知れない。そして、その後、どうしたのかは覚えていないが、没収されたような気がする。ロシアではそれは高級品だから税関員が欲しかったに違いない。彼らは日本製品の品質が良いことをよく知っていて、自分で着服してしまったのではないかなどと、後日皆で話した。

 ま、兎に角、大変なもので、まるで、小間物屋でも開いているように、そこら中スーツケースを開いている。女性など下着類までオープンされ大変な騒ぎだ。でも一応、税関員は皆堅い顔をしてまじめにやっているのだから滑稽だ。

 大きなトラブルもなく、始めての列車に乗る。車内はコンバートメントになっていて、二段ベッドで4人1室、入口にはそれぞれドアをついているので、小部屋のようで落ち着く。ただ、列車は思ったより狭く、あの大柄なロシア人には狭すぎるのでははないかと 思ったりした。日本の三等寝台(今の普通寝台)のものよりベッド幅が狭く、落下防止のベルトがない。だから停車、又は、発車するたびにベッドから落ちるのではないか不安であったが、何とか落ちる人はいなかった。

 客車は赤茶色に塗られていて、外装は頑丈そうに見える。内装は日本のものとほぼ同じだが、やや落ち着くデザインである。

 一夜明ければ、ハバロフスクだ。

次回は「厳寒の地、ハバロフスク到着」です。


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