連載:私の初めての海外旅行・ソ連  My First Overseas Trip、 USSR

Ver.3.1 2003/09/01
第9回ロシア人とホテル

 ロシア(РОССИЯ)の治安はいい。夜一人で街を歩いていても心配ない。夜、公園に行くと暗い公園の中を子供連れの家族が散歩をしている。子供は厚いサンタクロースのようなコートを着て歩いていてとても可愛い。街の中でもロシア人は気軽に声を掛けてくれる。しかし、最初は「キタエツ(中国人)?」又は、「ビェトナム?」と聞いてくる。
ソ連の国交のある国は中国やベトナムなので当然なのだろうが、我々日本人は変にプライドを傷つけられたようで、つい、強い口調で「ニエット、ヤア、ヤポニッツ」(いいえ、私は日本人です)と言ってしまう。すると、またロシア人は嬉しそうに「ヤポニッツ?」と言って近づいてくる。そして、こちらが「ニ、ポユマーユ(わかりません)」と言っても、ロシア語でどんどん話しかけてくる。本当に良い人達だ!

 前にもお話ししたように、ロシアでは税関とホテルののインフォメーション以外は英語が殆ど通じないので、買物も大変である。「スコーリカ、ストイト?」(How much is this?)と言うと、○○ルーブルと答えるが、最初は聞き取れないのでメモ用紙に書いてもらって支払う。それを1週間もしているうちに耳で聞いて、支払うことができるようになった。チャイコフスキーのくるみ割り人形のレコードを買う時は、「チャイコフスキー、くるみ、コチン」と言って手振りで通じた。まぁ、なんとひどい買物風景か。しかし、その時感じた事は兎に角話せば、何とかなるということだった。それ以来、ずーずしくなり、積極的に話しかけた。

 日本では中学から大学まで9年間も英語を勉強して、英会話が出来ないのは異常だと思った。そして、日本に帰ったら、英会話を基礎から勉強し直そうと思った。

 ロシアのホテルで驚いたことの一つが、「トイレットペーパー代わりに古新聞紙を使うこと」である。日本で聞いていたので、トイレットペーパー持参で旅行したが、普通のロシアのシティーホテルでの話だから驚く。私達子供の頃は、トイレットペーパー代わりにに新聞紙を使用した経験はあったが、ホテルで新聞紙とは「びっくり」である。しかも水洗トイレなのになぜ詰らないのか不思議でならなかった。ロシアは全て大まかだ。

 前回お話ししたように飲料水は貴重であり、ホテルの洗面所の水は飲めない。ヨーロッパでは常識に近いらしいが、我々日本人は「水と安全は只」と思っていた時代なので洗面所の水が飲めないのは納得できなかった。

 でも、客室の暖房は素晴らしい。日本のような空調ではなく、朝鮮のオンドルのように壁全体が暖かいので、部屋はとても暖かい。これは最高の贅沢である。最初、部屋に暖房機器がないので、不思議に思ったが、壁から来る輻射熱ですぐにそれと分かった。だから部屋はすっきりしていて、日本のホテルでは経験できない「カンファタブルさ」を満喫した。


PLEASE RELOAD
ホテルの窓から見た街並 土産に買ったサモアール

(余録)[日本人の水の贅沢さ]

 ロシアのホテルでは飲料水は水差しのものだけ、洗面用の水は澄んでいるが飲めない、そしてトイレやバスタブの水は茶色く濁っているのを見ると、「日本って、何でこんなに水を粗末にしているのか?」と思った。日本ではトイレの洗浄用の水は飲料水そのものだし、出しっぱなしのガソリンスタンドの洗車用の水も飲料水そのものであることを思い出し、「日本の贅沢さ」をひしひしと感じた。今では「そのばち(罰)が当った」のか、東京や大阪の水道水は臭くて飲めないこともある。お陰で「ミネラルウォータ」なるものがよく売れるようになった。

(写真解説)[サモアール]

 サモアールとはロシアの湯沸かしで、上の写真のような形をしています。
ロシアのホテルや喫茶店ではこのようなサモアールからコーヒーや紅茶を入れてくれます。
 実用品でもあり土産物にもなっているので、部屋の飾り物として土産に買ってきました。かなり大きいので持ってくるのに苦労をしました。
 電圧は200Vなので日本では使えませんが、今も部屋の飾りにしています。
因みに、Made in USSR と英語で刻印してあり、仕様書はロシア語のみでした。電圧はロシア語表記で200B(Bは英語のV、即ちボルト)と刻印してありました。

次回は「モスクワの地下鉄」です。

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