連載:私の初めての海外旅行・ソ連  My First Overseas Trip、 USSR

Ver.3.1 2003/09/01
第10回:MOCKBA(モスクワ)の地下鉄

 モスクワの地下鉄は世界一深く、世界一豪華であると聞いていた。従って、ロシア旅行で是非見たいものの一つであった。(前にも述べたようにC=S、B=WだからMOCKBA=MOSKWAと読める)。地下鉄の入口にはMという文字が丸で囲まれた印があり、これがМЭТРО(メトロ)の入口である。

 切符は定額料金制で、全線5カペーカ(18円)である。日本の10円玉位の5カペーカ・コイン1つで乗れる。市内の地下鉄全線どこへでも行けるのだから安い。そういえば、東京の山手線も一周10円だった。地下に下りるエスカレータは3本あり、客の多い方向に2本、逆方向の空いている方に1本が動いている。当時としては誠に合理的である。
そして、長いエスカレータが2本を乗り継ぎ、地下100Mの深さまで下りる。エスカレータはその上高速で、日本のエスカレータの約倍のの早さで走る。だから乗るときには、飛び乗るようにしないと足をすくわれる。降りるときも飛び降りるように小走りにしなければならない。その上、急ぐ人のために左側を空けなければないない。我々日本人はこのルールを知らないのでかたまって立っているといつも注意された。
最近の東京駅などは、やっとそのルールが出来つつある。

 ようやく、底につくときに見た風景は、それは大変な驚きであった。なんとホームにはいくつものシャンデリアが吊り下げられており、まるで宮殿である。モスクワの地下鉄は宮殿のようだという噂はうそではなかった。その上、そのドーム(地下室)は日本の地下鉄と違い、往復の線路とホーム全体が一つのトンネルになっているので柱もなく、実にすっきりしている。その上、商業主義ではないので、壁には一切広告はない。線路の部分に床を張れば、それはそれは広い高級レストランになってしまう程なのだ。

 もう一つ、モスクワの地下鉄で驚いたのは、各駅毎に駅の壁が異なることだ。だから、いつも通勤している人にとっては、壁の模様を覚えておけば、駅名を読まなくても駅が分かるのだ。この工夫には私は大変感心したものだ。
日本でも昭和50年以降(?)にモスクワの地下鉄を視察して、新規の路線にはこの工夫が加えられたと聞いた。しかし、今の日本の地下鉄の比ではない。プラットホームの壁がユニークであるので間違えることがない。この工夫はレニングラードでもキエフの地下鉄でも同じであった。地下鉄の車輌は日本のものと殆ど同じであったが、照明器具が蛍光灯でなく、全て飾りガラスの中に入っている白熱灯であるので、かえって豪華に見える。
確かに、モスクワの地下鉄は世界一であった。

次回は「モスクワでの観劇」です。


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