連載:私の初めての海外旅行・ソ連  My First Overseas Trip、 USSR

Ver.3.1 2003/09/01
第13回「杜の都・КИЕВ(キエフ)」

 「杜の都」キエフ。この町は名前の通り森に囲まれた美しい町でドニエプル川右岸の台地の上にある。この川岸の高台にあるペチェルスカヤ寺院からドニエプル川を見下ろす景色は素晴らしく、仙台の青葉城から広瀬川を臨む景色に似たところがある。

 キエフはウクライナ共和国の首都で、ソ連の政治経済の主要な中心地であるとともにソ連における最も美しい都市の一つである。「森と公園の都」ともいわれ、緑地帯が市の60%を占めている。

 地下鉄はモスクワ、レニングラードと同様に発達していて、各駅はそれぞれがユニークに装飾されており本当に素晴らしい。ソ連の地下鉄を見たことのない人には信じられないだろうが、今の日本の地下鉄でも当時(30年前)のソ連の地下鉄にはかなわない。将 に、地下の宮殿といった趣なのだ。

 ここキエフは「森」が売りなので、森の中を散歩することがツアーの一つになってい て、静かな森の中をゆっくり散策するのも大変良いものだ。少なくとも日本ではこのような体験は出来ない。キエフの人たちは、この森の中をただ散歩するのだが、本当に森を楽しんでいる様子である。我々にも自然に森のこの静かな雰囲気を楽しむ気持ちにさせてくれる。皆がこの森を愛しているので、大声を出す人はいない。もちろん、森の中を走り回る若者や子供は皆無である。日本ではどうしてこのような落ち着いた気持ちにならないのだろうか。日本の子供は我が儘なのか兎に角やかましい。

 キエフはウクライナ特産の陶磁器で有名であり、マーケットの入り口の大きな石造りの門のアーチ型の天井、地下鉄駅ホームの壁、そして、ホテルのレストランの壁にまで陶磁器製のお皿が張り付けてあり、それが装飾となっている。

 もう、10年以上前になるが、チェルノブイリ原子力発電所の爆発事故で、キエフも安住の地でなくなってしまい、誠に残念に思う。こんな素晴らしい「杜の都」が放射能に蝕まれてしまっているかと思うと大変悲しい。

[キエフの位置]
  ・モスクワの西、約900km。
  ・鉄道で、11時間45分。飛行機で1時間10分。

次回は「魔法使いのお婆さんの街・ТБИЛИСИ(トビリシ)」です。


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