連載:私の初めての海外旅行・ソ連  My First Overseas Trip、 USSR

Ver.3.1 2003/09/01
第15回「ソ連の保養地、СОЧИ(ソチ)」

 СОЧИ(ソチ)はヤルタと並ぶソ連最大の保養地である。モスクワから約2000km汽車で30時間、飛行機で2時間30分のところにあり、チェルキッシュ語でサナトリウムという意味とのことで、ソチ川に因んでソチという町の名前になった。
 ここはカスピ海に面した都市で、信じられない位温暖である。それは、市の北にカフカス山脈がそびえて寒風を遮っているために、気候が温暖であるようだ。
 冬のロシアはマイナス気温が当たり前。しかしここはプラス20度Cもあるのだから驚く。日本の春のように陽気なのだ。
 厳寒のロシアを廻って来た我々にとって、急に常春の国に迷い込んだ様な錯覚を覚える。一言でソ連といっても、こんなに気候も人も違うのかと驚いたものだ。
 街の人々も大変人なつっこくて、人柄のよい、日本の「東北の人」のようだ。
心優しく、親切である。我々は殆どロシア語が出来ないので、我々を見かけると、キタエッツ?(中国人か?)ビェトナム?(ベトナム人か?)と聞いてくる。我々日本人は何かプライドを傷付けれれた様な気持で、ヤー・ヤポニッツ(私は日本人です)と答える。
しかしよく考えれば、共産圏のソ連に来ているアジア人は中国人かベトナム人であり、彼らがそう見るのは当然のことであった。しかし、我々日本人観光客は皆、不機嫌にヤー・ヤポニッツと答えるのであった。
 そうすると人の良さそうな老夫婦は目を輝かして、ビー・ヤポニッツ?(あなたは日本人?)とうれしそうに近づいてきて、ロシア語でいろいろ話しかけてくる。しかし私達はロシア語が分からないのでニ・ポニマーユ(分かりません)というのだが、それにかまわずにロシア語で親しげに話しかけてくる。いろいろ聞いているうちに、その雰囲気で、何が言いたいのかが分かってくる。そして、お互いに親しくなった。そこで、ロシアで喜ばれるという「チュウインガム」を2枚(残り少ないので)を老夫婦に差し上げると、本当にうれしそうに受け取り、匂いをかぎ、手に持っている。「甘いから噛んでみてください」と言ったが、大事そうにポケットにしまった。
 もっとたくさん持っていれば、2枚でなく2包みをあげたかった。でもあの嬉しそうな二人の顔は今でも強く私の脳裏について離れない。
 ありがとう。心優しいロシアの人々よ!!
 よき昔の日本人の心に触れたような壮快な気分になった。

次回は「子供の世界はワールドワイド」です。


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