連載 【うちの野良猫】
The stray cats in my home.
< 猫の死は知らぬ所で >
Ver.1.1 2011/09/11
「猫の死は知らぬ所で」とよく言われる。家のブチがこの冬2011年1〜2月以前からの持病の喘息が悪化して 苦しそう
に咳をしていた。私の車の上が好きなのでボンネットや屋根の上で休んでいるときが多い。しかし、体調が悪く、時々、
食べたものを車の上に吐いてしまう。その処置がまた大変なのだが、年取ったブチを叱り付け 追い払うわけにも行かな
い。今まで長い間、我々家族の心を癒してくれたのだから。
それにしても強烈だ。苦しそうに咳をして垂れた唾液は車の屋根に落ちて洗車してもワックスを掛けても落ちない。
それ以上のことをすると塗料が削られるのでやっていないが、今は目立たないほどにはなった。
ま、そのような状況を見ていると残り少ない命と推定できた。しかし、家の周りで死んだら死体はどうしよう。
出来れば近くの公園に安らかに眠らせて上げたいが、公園に勝手に埋葬するわけにも行かない。やはり、市役所に
連絡して処分してもらうほかないか、などと考えをめぐらし、まだ現れない現実に苦慮していた。
今年(2011)の2月末、突然、ブチが我家に来なくなった。ミイが我家でかくまったのかと玄関を開けると家の中を
覗き 込む。「ミイちゃん、お母さんは家でかくまっていないよ」「お母さんは何処へ行ったの?」と言ったものの、
勿論言葉はわからない。
母親は自分の死を予見して子供にも知らさずどこかで静かに死を迎えたのだと思った。 やはり「猫の死は知らぬ所で」
は本当だった。
ブチが、今まで長い間、ミイ、チビを育て、我々に多くのことを教えてくれたし、我々の心を癒してくれた事を感謝
してブチの冥福を祈った。
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