連載 【うちの野良猫】
The stray cats in my home.


< ミーの独立 >
Ver.1.1 2011/09/12

 ブチがいなくなってからもう半年になる。ミーは餌を乞いに来ても黙って待っていたが、ブチから伝授された 「ニャ〜ン」という甘え方を覚えた。それも遠慮がちに小さな声で訴えるのだ。この声を聴くと餌を与えない訳に 行かない。忙しくても「ミーちゃん来たの」と声を掛けて餌を出してやる。
 ミーは以前は母親のブチに守られていたが今はひとり(一匹)なので他の猫の来るのを大変気にしながら食べている。 他の猫が来るとさっさと逃げてしまうので食べ終わるまで見ていないといつの間にかよその猫に食べられてしまう。
 ミーとブチの縄張りは我家周辺だったが、ブチが居なくなってから時々「白と黒の大きなオス猫」または「近所で マーブルと呼んでいる大理石模様の猫」に縄張り(車の上、バイクの上、物置の屋根、出窓の屋根)を取られてしまうことがある。
 以前はブチが身体を張ってこれらの猫を追い払っていたので縄張りが保たれていた。最近は場所をとられ餌も貰い損ねて姿を消したこともあったが、やはり厳しい世間では生きて行けないと分かったのか我家に戻ってきた。
 そしてあるとき外敵と激しいけんかをして帰ってきた。右足が着けない重傷のようで足を引きずっている。二階に 上がるときには先ず私の車のトランクに飛び乗り、そこからブロック塀に乗り、ガレージの屋根に飛び移る。 そしてベランダその他の屋根を歩き回るのだが、果たして、ブロック塀からガレージ屋根まで1.5mを左後ろ足だけで 飛べるのだろうか?
 偶然そのチャンスに遭遇した。かなり慎重に距離感を確認して一気に飛んだ。そして、 ガレージの屋根に届いた。私は心の中で拍手喝采をした。
 ミーはこれで縄張りを守り独立できた瞬間だった。バンザーイ。


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