連載「一期一会」


 人生には色々な出会いがある。私が今迄に出会った数々の方々のうち今でも心に残り、楽しい人生の1ページとさせて頂いた方々を思い出しながら綴ってみたいと思う。

<第1話> 九州宮崎の旅(新婚旅行の1日に同行)

 昭和40年(1965年)3月、私は学生生活最後の一人旅に九州一周を試みた。今で言う卒業旅行である。

 当時は飛行機は高額であったので、全て列車の旅だ。だから博多まで行くのに丸一日以上かかる時代だ。博多、阿蘇、熊本、長崎、鹿児島、宮崎、大分と九州を一周したのだが、宮崎で大変な出会いがあった。

 私は貧乏旅行をしていたので、殆どユースホステルに宿泊し多くの学生達と友達になった。ところが宮崎では、社会人と知り合う機会があった。

(1) 出会い
 路線バス(乗合バス)に乗って宮崎の堀切峠に来て、写真を撮って楽しんだのだが、次帰るにも田舎故バスが一時間以上も来ない。そうこうしているうちに男性2人、女性1人の乗用車が来て、一人の男性がこの堀切峠の景観などについて説明している。写真を撮ろうとしていたので、私が撮って差し上げた。色々お話しして楽しいひとときとなった。

(2) 車に便乗
 その方は帰る時、「ここで待ってもバスは中々来ないので、よかったら乗りませんか?」と誘って下さった。こちらは学生のこともあり、遠慮なく乗せて頂いた。

 親切にも、鵜戸神宮の参拝や宮崎市内観光までさせて頂き、結局一日中4人で観光することになった。3人ともよく知った友達のようなので、私もその仲間に入れて頂いた形になった。お陰でこの日は充実した観光が出来た。

(3) 後でビックリ
 旅行から帰り、写真を現像、焼増して、この方々に郵便でお送りした。すぐお礼の返事が来て、その中に書いてあった内容に驚いた。
 なんと、あの時は新婚旅行中でもう一人の男性は彼の学生時代の同級生。その人は宮崎在住なので、彼が運転手兼ガイド役を買って出たというのだ。知らぬ事とはいえ、新婚旅行のカップルと一緒に一日中観光旅行をしてしまったのだ。あまり3人が親しげでしかも当時は新婚旅行といえばピンクのスーツに帽子をかぶる女性が多かった時代なので、新婚さんとは気付かなかった。

(4) その後も年賀状交換
 これを機に文通や年賀状のやりとりが続き、その後は毎年欠かさずお互いに年賀状の交換をしている。その男性は会社生活を昨年リタイヤーして、パソコンの学校に通い今年はパソコンで作成した電子年賀状を作り送ってこられた。

 私もあと1年で定年退職だが、この年賀状交換は互いに元気な内は続けたいと思っている。大変大切にしている友人関係の一つである。

 次回をお楽しみに。

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