連載「一期一会」


 人生には色々な出会いがある。私が今迄に出会った数々の方々のうち今でも心に残り、楽しい人生の1ページとさせて頂いた方々を思い出しながら綴ってみたいと思う。

<第6話> ロシア人との出会い

Ver.1.01 2002/03/28
Ver.2.01 2002/04/07

 1997年3月8日(土)、私のホームページ・メニューの一つ「私の雑学」の記事に添付する写真の撮影を目的に、オフロードバイクSUZUKI DJEBEL XC-250 でソロツーリングを計画・実施したときの話である。

(1)狛犬の写真撮影
 目的地は静岡県・御殿場の仏舎利塔である。ここにはマレーシア、ミャンマー、韓国、香港、沖縄、タイ、インド等の狛犬があり、これらの狛犬をの撮影するのが目的である。。
 またここから眺望する富士山は本当に絶景である。

(2)新たな出会い
 狛犬の写真を撮り終えて参道を歩いていくと子連れの二人の男性とすれ違ったのだが、この人たちの言葉がロシア語のような気がした。その後に二人の女性が近づいてきてやはりロシア語のようだったので、片言のロシア語で「ビィ・ルースカヤ?」(ロシアのご婦人ですか)と問うと、ご婦人が「そうです」と日本語で答えた。「日本語が話せるのですか」と日本語で問うと「少しだけ」と言うので日本語で続けると殆ど日本語は出来ず。そのご婦人は「アナタノロシア語ワカリマス、私ノ日本語ヨリ上手デスネ」と嬉しい言葉が返ってきた。
 そして英語で「英語は話せますか? 」と聞くと若い方の女性が「少しだけ話せます」という。それからは英語で簡単なお話をした。そして、母娘の記念撮影をしてあげたら、私にもジェウシカ(お嬢さん)と一緒に記念撮影してくれた。
しばらくお待ち下さい
しばらくお待ち下さい
ジェウシカ(娘さん)と私 ロシア人の家族

 その後ご婦人から写真送付のための住所を聞き、結局ご主人から名刺を頂き急に親しくなった。その方は、ロシア大使館に勤務の方で今日は一家5人でのドライブの途中であったらしい。

 私が皆さんを一緒にこの公園の周囲を案内し家族全員の記念写真も撮った。今度は先方のカメラで主人が私の腕を組んで家族全員で記念撮影をしてくれた。スパシーバ(露語:ありがとう)。

 私がバイクで来ていることにも大変興味を持ち色々質問する。最後に私のバイクのそばで坊やの写真を撮った。

 最後にご主人が「フクシマサン、アリガトウ、サヨナラ」と日本語で言い、例の「青地に【外】の字」の書いた外交官ナンバーの付いたベンツから家族みんなで手を振って見送ってくれた。

 思いがけない機会で、30年振りの片言ロシア語も手伝って大変楽しい出会いがまた一つ出来た。



 ロシア人との出会い(その2)

Ver.1.01 2002/04/01
Ver.2.01 2002/04/07

 1998年 冬季オリンピック(長野)の時、三女がロンドンの大学に戻る日で、妻と成田空港まで見送りに行ったときの話である。

 この日は、オリンピック選手が帰国する日であったらしく大勢のロシア人がチェックインカウンターに集まっていた。娘のフライトはJALであったが、ロシアの選手はАЭРО ФЛОТ(アエロ・フロート:ロシア国営航空)で、アエロフロートは便数が少ないのでJALのカウンターを借りていた。従って、我々の隣のカウンター群に集まっていたのだ。

 こちらは、出発までの時間があったので暇つぶし中。選手を見ているとテレビで見たことのあるフィギュアスケートのメダリストも混ざっていた。

 ロシア選手団の近くに行って、「ビー・ルースキー?」(ロシア人ですか?)と聞くと「ダー」(そうです)という。今度は英語で「Do you speak English? 」と聞くと「Yes, a little.」と返ってきた。
 私はロシア語では挨拶程度しか出来ないので、あとは拙い英語で会話した。選手が数人集まってきて少し話していると、その中の一人が「この選手のロングコート」を買わないかという。「私は体も小さいのでロシアの皆様のような大きなコートは着れない」というと、「あなたの背の高い友人にプレゼントすればよい」といって売ろうとする。買うつもりはなかったが値段を聞くと、「3万円」だという。マニアならともかく、そうでないものには高すぎる。「高すぎる」といって断ったが、彼らはそれ以上値を下げては来なかった。
 ロシア人も金が欲しいらしく、自分の選手用のコートまで売ろうとするロシアの貧困さを感じた。その時は、ロシアの貨幣「ルーブル」が私が1967年冬のロシアに行った35年前の1000分の1に価値が減少していた頃の話だから理解できる。

 今回は、御殿場の仏舎利塔での出会いと同様に、「ロシア人ですか?」だけで話のきっかけが出来たという小さな話です。でも、面白いと思いませんか?


 次回は「ブラジル人との出会い」です。

 お楽しみに。

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