【四方山話】  Talking about all sorts of things

【私が見た世界の地下鉄】
My Experienced Subways in the world
<40 年前、モスクワの地下鉄に驚き>
Ver.1.1 2009/01/29
1、モスクワの地下鉄 1968/12
 何んと言っても私が40年前に見たソ連(現ロシア)モスクワの地下鉄は世界一だ。
 それは地下の宮殿といわれているだけあって、ホームと往復の線路が一体でドーム状になっており、天井にはシャンデリアがホームの上を一列に並んでいるのだから驚く。しかも、駅毎に壁の煉瓦の装飾が異なるので、その壁の模様を覚えておけば駅名をいちいち確認しなくても目的の駅を知ることが出来る。(割合新しい日本の地下鉄もこれを真似て駅ごとにホームの特徴を変えているものもある)
 第二はその深さである。核戦争を想定したシェルターになっており平均100mといわれ、エスカレータも2〜3度乗り換える。しかも、3列あるエスカレータは同一トンネル内にあり広い空間が楽しめる。利用者の多い方向のエスカレータは2列で時間帯によって変更されるという合理的なものである。もた、動く速度が日本のエスカレータの倍くらいに感じる速さなのでピョンと飛び乗らないと足をすくわれるようであった。
 車両は日本のものとほぼ同じ程度の綺麗さであり、明かりが全て飾りガラスの中に入っている白熱灯であるので、かなり豪華に見えた。
 レニングラードもキエフの地下鉄も同じようであったが、キエフ駅のホ−ムの壁はその地の特産である装飾された皿がはめ込まれており実に芸術的で、美術館で陶器の展示会を見ているようであった。因みに、ロシアでは地下鉄を「フランスからの外来語」でそのまま「メトロ」という。○の中にMが地下鉄の印だった。

2、ロンドンの地下鉄 1994/10
 ロンドンの地下鉄は世界で最も早く作られたもので、最初の頃の建設は道路を掘って鉄道を敷き蓋をして元の道路に戻すやり方だったらしい。そんなことから地下鉄をアンダーグランドと呼ぶ。しかも、当時は蒸気機関車だったので所々に煙を外に排出する穴があいていて、今でもその痕跡が残っているところも見受けられる。
 その後、市内に地下鉄網が発達して、新規の地下鉄が建設できなくなり、それ以上に深い地下鉄を作り始めた。その方法は、モグラのように穴を掘っていくやり方で地下にチューブを敷設したような形態となり、その名称は「チューブ」と呼ばれるようになった。従って、ロンドンの地下鉄は「アンダーグランド」と「チューブ」がある。
 チューブは建設費用を出来るだけ少なくするためにトンネルを小さくしたため車両もやや小型である。(註:東京の大江戸線は将にチューブであり、車両も小型である)

3、パリの地下鉄 1985/10 & 1994/10
 パリの地下鉄はメトロと呼び、綺麗さは日本と変らない。街の人も噂ほど意地悪でなく、結構親切に行き先などを教えてくれた。
 1985/10に初めて訪問した際には黒人などの無法者が日本とほぼ同じ構造の改札機を飛び越えて無賃乗車をしていた。それが、1994/10に訪問したときには、その改札を飛び越えられないように天井まで届く改札自動開閉扉がついているのには驚いた。まるで鉄の檻に自動開閉器が付いている様な異様な雰囲気であった。
 ホームや通路では大道芸人が芸をしたりライブ演奏したり結構楽しい。殆どの駅に素人芸人がいるのでホームはこの生演奏で華やかな雰囲気を作っていた。車両は日本と同じ程度のものであったが、路線により鉄の車輪の外側に自動車用に似たゴムタイヤが付いているものがあったがどのような目的のものか判断できなかった。
 パリの街はスリが多いが、特に地下鉄はスリの稼ぎ場らしく、私は目の前で2度スリの現場を目撃した。しかも、座席に座っている人(眠っていない)から直接抜き取るのだらか凄い。ドアー付近は特に危険で、気付いた時にはドアは閉まり、スリはホームを悠々と歩いているのである。

4、ニューヨークの地下鉄 2007/04
 1980年代のニューヨークの地下鉄は治安が悪く観光客は乗らないように注意をされていたので、会社からの視察旅行では使用しなかった。2000/12に長女の嫁ぎ先にご挨拶に行ったときには車で送り迎えして頂いたので利用しなかった。そして、2007/04「ニューヨークの初孫に会いに行く旅」で初めてニューヨークの地下鉄に乗った。
 言うまでもなくニューヨークの地下鉄は古くからあり大変発達している。しかし、流石ニューヨークと思わせるスケールには驚いた。緩行と快速の往復の路線(2往復4線)が同じトンネル内を並行して走ってるのでその騒音も世界一だ。車両内は世界一汚く、座席は布ではなくスベスベのプラスチック製ベンチシートだ。従って、電車がブレーキを掛けるとベンチシートの端から反対側まで滑ってしまうという恐ろしさだ。スピードも出すので揺れがひどく立っている人は近くの握り棒を掴んでいないと危険である。
 ホームには駅員はいなく電車が来る旨の警告のアナウンスは全くない。しかし、騒音を撒き散らして走ってくるので直ぐにわかる。ホームに時刻表はないが5分毎に来るのでその必要もない。改札は磁気カードを自分で通す機械なので、慣れないと中々OKにならない。ま、機械化は極端に遅れていて、昔のまま改良されていない様に思える。通路側と改札内とは飛び越えられないように檻のような鉄製の格子があり異様だ。尚、今は治安が回復して地下鉄の一人利用でも恐怖感はない。
 因みに、アメリカの地下鉄はイギリスと異なりサブウエイ(SUBWAY)と呼ぶ。(註:東京の地下鉄はSUBWAYからMETROに代えて、会社名も「東京メトロ」と変更した)

5、ミュンヘンの地下鉄 2003/09
 ドイツは「乗客が正規の切符を買って乗る」というのが前提になっている。そのため、改札機(切符確認ゲート)が無い。乗客と鉄道会社との信頼で成り立っている社会なのだ。国鉄、地下鉄、市電、バス全ての公共の乗り物は同じである。切符は最初に乗るときに日付と時間を自動的にスタンプしてくれる機械に一旦かける。あとは何度乗っても乗り換えても切符を見せる必要もない。
 複数人で使える一日券でも、周遊券のように数日自由に乗れる切符でも同じである。いずれの切符でも乗車日時が空白の切符で乗車していると「不正乗車」として高額の罰金が科せられる。従って、日付を押印するか手書きしなければならない。
 改札機がないから出入り口での混雑がない。余計な費用が掛からないから鉄道経営コストが安価に出来る。従って、鉄道は極めて安い。複数人で乗ると3人以上5人迄は3人分の料金だ。
 車両はドイツらしく綺麗でデザインも最も良いものであった。

6、ソウル(韓国)の地下鉄 2003/12
 ソウルの地下鉄は「ソウルオリンピック」に合わせて建設されたので新しい。しかも、日本の地下鉄の自動改札なども参考にしたらしく、日本のSUICA、PASMO,IKOCAのようなマイコンカードを既に使っていた。車両の幅が日本のものより広いように思われた。 レール幅は当然世界の標準軌道で広く、電車の揺れが少ない。路線はまだ少なく今後発展するものと思われる。

7、ワシントンの地下鉄 2008/05
 ワシントンは首都ということもあり、地下シェルターの機能を持っており、その深さはモスクワと同様平均100mといわれている。
 ホームのある部分はコンクリートパネルを積み上げたような大きな一つのトンネル状になっており、高い天井には照明器具がないのでホームがものすごく暗い。新聞は勿論のこと地図等が暗くて読めない。トンネルの壁面とホーム手摺の間の下に間接照明があるだけなのだ。アメリカ人は一般的に間接照明で暗いのを好むが、兎に角、薄暗くて陰気だ。地下鉄内は撮影禁止とのことで、証拠写真は撮れなかった。
 車両はニューヨークのようではなく、普通の綺麗さで座席も布製である。殆どの路線が郊外に行くと地上に出て道路と並行して走っている。架線がないので郊外を走っている時にはすっきりした感じがする。

以上

MT=6

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