「東京モーターショー1999」

「東京モーターショー」

< 第5回 ランフラットタイヤ >


Ver.1.01 2001/04/21

 ランフラットタイヤとは、パンクしても90km/hの速度で100km以上の距離を走れるタイヤのことです。いま、欧州と日本のタイヤメーカーが開発競争に鎬を削っているタイヤです。特に、フランスのミシュランと日本のブリジストンがトップ争いをしています。

 ブリジストンのタイヤは既にBMWのある車種に採用が決まっているとのこと。ミシュランも某社で採用が決まっていると説明者が言っていました。

 ここでは、カットモデルを展示していたミシュランの方式(中子方式:Paxシステム)をご紹介します。
 このやり方は特殊なホイールで、タイヤの内部に別のベルト上のゴムの輪「サポートリング」を装着しており、万一パンクしても、この「サポートリング」がタイヤ代わりになるので80km/hの速度で200kmを走行できるのです。重量はスペアタイヤを含め5本の従来方式に比べ10%減。さらに、タイヤとホイールは機械的に密着させる独自構造をとっているため、空気圧が減ってもホイールからタイヤが外れないのも特徴。反面、その独自構造がゆえに標準のホールが使えず、このままでは汎用製品として自動車メーカーに納めるのは難しい。  そこでミシュランはイタリヤのピレーリーと同システムの共同開発をすすめ、デファックとスタンダード(事実上の業界標準)を狙っている。

 ミシュラン方式(Paxシステム):ランフラットタイヤの構造
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ランフラットタイヤ(扁平) ランフラットタイヤ(通常)

 今回は展示されていませんでしたが、ブリジストンの方式(側面補強方式)はタイヤの横の部分のゴムの肉厚を厚くして、万一パンクしても、この側面の鋼性で車体重量を支えるという方式です。この方式はミシュラン方式の欠点を補っていて、市販のホイールがそのまま使用できるのが強みです。


【新聞記事・情報】

1999年11月11日(木)日刊工業新聞
「スペアタイヤ要りません」

 ランフラットタイヤは94年にアメリカGMが「コルベット」に採用したのを皮切りに高級車を中心に導入がスタート。ブリジストンは98年に米国で市販開始、99年にはドイツBMWからオープンカー「Z8」の標準装備として受注し初年度は7,000本の供給を計画した。

2001年4月16日(月)日刊工業新聞
「パンク後も走行可能なタイヤ

ブリジストンはパンクしても一定距離を走行可能な「ランフラットタイヤ」の生産規模を約5倍に拡大する。トヨタの新型ソアラが同製品をオプションとして採用することに対応する。ブリジストンは1999年から独BMWに供給しているが、国産の市販車向けに供給するのは初めて。今後、他メーカーにも採用を働きかける考えだ。
 佐賀県鳥栖工場で生産している「ランフラットタイヤ」POTENZA RE040RFT の生産規模を年産7、000本から同35、000本に拡大する。

2001年4月18日(水)日刊工業新聞
「ニューモデル・ソアラ」 「ゆったり走ってこそ魅力/セクシーな車を意識」

 <車の説明は省略し、タイヤの件を抜粋>
 ソアラではランフラットタイヤをオプション設定したが、殆どの車に装着することになるとみている。
 ランフラットタイヤ採用はスペアタイヤをなくしラゲージルームを確保するだけでなく、タイヤ総重量の軽減、さらには欧米などで見られるパンク交換時に暴漢に襲われることを警戒した。

以上

モーターショーはこれでおしまいです。

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