連載「大阪の文化と東京の文化」


<第二回> 電車に乗る時、大阪人は割り込む。

 電車に乗る時、東京人はきちっとならんで順番に乗り込む。その上、下車しようとする人がいる間は乗り込まないのが東京の暗黙のルールである。だから、極めて短い停車時間(普通:30秒)でも、大量の人が昇降できるのだ。

 しかし、大阪では朝のラッシュ時に並んでいると、電車のドアが開くと同時に横から割り込む。自分が前から3番目位だから、空いた席に必ず座れると思っていると、大間違いである。面白いのは、逆に割り込んでも誰も文句を言わない。だから自分が必ず座りたいと思ったら遠慮せずに割り込めばよいのだ。実験してみたら、その通りだった。

 そこで、この件を一緒に居たアメリカ人の先生に質問したところ、私の期待する回答ではないことに驚いた。「入り込めるのなら、座りたい人が先に入って座れば良い」というのだ。「そういう考え方もあるのか」と驚くと同時に考え方を変えなくてはと思った。
「大阪は国際的」と聞いたことがあるが、この件に限っては認めざるを得ない結果であった。

 しかし、大阪人の割り込みは、電車だけでない。長い行列でも、チャンスがあれば割り込むので東京出身の者からすると、この無神経ぶりに驚く次第である。1995年10月に家族で欧州旅行をした時の出来事。ベルサイユ宮殿を見学するのに、日曜日ということもあり長蛇の列、そこに大阪の若い二人連れ(新婚さん)が来て、列に並ばず一気に入口まで行き、割り込もうとした。係員に注意され戻ってきたものの、我々の居る近くの列で少し間隔の空いたところに、またもや割り込もうとしたが、観光客に注意され、結局最後列についた。若い二人の日本人(大阪人)が割り込むのを見て、同じ日本人として大変恥ずかしい気がした。

 これは例外ではない。もう20年も前から大阪の割り込みの光景を見ているから言えることだが。八方尾根スキー場に行くと、東京からと大阪からのスキーヤーが半々位来ているのだが、リフト待ちしている列に堂々と大阪人は割り込むのである。その頃から「大阪人の割り込み」には定評があった。

次回をお楽しみに。

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