連載「大阪の文化と東京の文化」


<第四回> 「ボケと突っ込み」&「ジョーク」

 大阪の人達は言葉の遊びが上手だ。
 二人以上いると「ボケと突っ込み」が始まる。私は「ボケと突っ込み」がどういうものかはテレビの漫才等で知っていたが、それは漫才だけと思っていたし、何をくだらないことを言っているのだろうと思っていた。

 ところが、大阪生活4年間の後半2年間に、英会話のクラスメンバーと夕食や飲み会を一緒にしているうちに、毎日のように「ボケと突っ込み」を聞く機会に恵まれその面白さが分かった。
 暗黙のルールがあって、誰かが「ボケ」たら、誰かがすぐに「突っ込む」ことだそうだ。だから、二人の時には、相手が必ず突っ込まなければならないので大変だ。その上、頭の回転が良くないと面白味も薄れてしまう。

 私はこの面白味が分かったとき、大阪の「言葉の文化」の深さを知った。そして私もやってみようと思い、この「コツの指導」を乞うたら。回答は「NO」であった。その理由は「そんなに簡単に、しかも、にわかには出来ない」のだと云う。
 大阪の人達は子供の頃から、この訓練をさせられていて、良いものがあったらメモを取るなどして記憶し、別の機会に使うのだというのだ。これを聞いて納得した。私も少しトライしようと思ったが、やはり一度もできなかった。
 これは本当に楽しく、日頃の生活に潤いが出るような気がする。

 これに似た話として、欧米人のジョークがある。欧米人は日常生活の中で一寸したときにジョークを言って、その時の雰囲気を和らげる。米国の大統領や英国の首相なども公式の席で良くジョークを言うのをテレビなどで見かけることがよくある。日本の政治家がこのような形のジョークを言うのを聞いたことがない。

 5年ほど前に「八王子ESS」に出席していたことがあるが、このクラブでは「ジョークマスター」という人をその会合の度に決めて、そのジョークマスターが英語でジョークを言う訓練をしていた。このように「ボケと突っ込み」も毎日の訓練の中から育まれるのだと納得してしまうのでした。
 ここでも、大阪人と欧米人の共通点を発見した。

 それに比し、東京人の言葉の世界は何と味気ないものか!!

では、又、お会いしましょう

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