「ヘール・ボップ彗星観測の感動」


1997年4月

 3月にヘール・ボップ彗星のことを新聞で知り、楽しみにしておりました。見頃が4月7日の週であるとのことで手帳にメモしておきましたが、4月第一週は雨ばかりで2週から晴れたものの、見る機会を失っておりました。

 しかし、思わぬチャンスが到来しました。それは、4月16日(水)の夜、突然遭遇したのです。

 19:30福岡発 JAL372便 東京行きの飛行機に乗り、その窓から見たのです。それも、10,000m上空のコックピットからなので至上の感動です。

 それはそれは、この世のものと思えぬ素晴らしさでした。私が子供の頃見たあの大空の満天の星、北西方向を見るとNHK大河ドラマで紹介されたあの「毛利家の家紋となった三ツ星」もこの肉眼でハッキリ見えました。

 その中で、「ヘール・ボップ彗星」は核の後に明るい細い尾を引き、その明るい細い尾を包むように今度は薄い大きく広がる尾がくっきりと見えるのです。特に核の部分が尾とは分離して輝くように見えるのです。写真で見るようなあんなボーとしたものではありません。
 核が天女の頭とするなら、細い尾は天女の肢体、そして、大きな薄い尾は、天衣が風に舞っているようでした。しかも、その天衣が単衣の部分や重なった部分といったように斑があり、まるで天女の羽衣のようでした。

 私がフライト・アテンダント(旧:ステュアーデス)に招かれキャビン(操縦席)に入るとパイロットとコ・パイ(副操縦士)が二人揃って後ろを向き「今晩は」と丁寧に挨拶された。コックピットを去るときも同じように丁寧な挨拶をされ大変恐縮してしまいました。パイロットの後ろに私が座り、すぐ隣にフライトアテンダントが腰掛けて待っていて下さいました。勿論、あとで機長宛の「御礼と感想」のメモを書き降りるときにフライト・アテンダントに渡しました。

 その後、前から考えていた穂高での彗星観測を実行すべく、4月19日(土)〜20日(日)の予定で「彗星観測ドライビング」を実行しました。
 19日は雨でがっかりしていましたが、宿泊のカイザーベルグ穂高も予約していましたので気持ちは乗らないまま出発しました。

 処が、又奇跡が起こりました。笹子トンネル前の表示では「勝沼:雨注意」だったのが、長い県境の笹子トンネルを抜けるとそこは晴天でした。何というラッキー。ドライブが進むに従い雲が少なくなり、安曇野に到着する頃にはもう雲はなくなってしまいました。

 カイザーベルグ穂高の露天風呂にゆっくり浸り、フランス料理を楽しんだ後、見時の19:00〜20:00に車で出かけて山の合間の「ヘール・ボップ彗星」を見ることが出来ました。

 しかし、空気の綺麗な穂高でも、あの10,000m上空の空のようには見えませんでした。ここから双眼鏡で見る星空よりも、コックピットからの裸眼で見る星空の方が素晴らしく、全く比較にならない程のものでした。ですから、私はがっかりでしたが、初めて彗星を見た同行の家内はそれなりに感激していました。

 ま、ハッピーでした。

それでは又。

前のページに戻る