「バナナは何故緑色のままで輸入するの?」
殆どの皆様は黄色のバナナを輸入すると、途中で熟れ過ぎて中には腐ってしまうものも出るから、緑色のままで輸入すれば、日本に到着した時に丁度よく熟れると思うでしょう。
しかし、これは正解ではありません。
A.それは日本の防疫システム(制度)にあるのです。日本では外国から色々な害虫が日本に入り込まれないように、防疫について厳しい管理をしています。「植物防疫法」と言います。
そこで、何故緑色のバナナを輸入するのかというと、緑色のバナナには害虫がついていません。これは、色々検査や実験をして実証済なのです。
Q.それでは、なぜ緑色のバナナには害虫がついていないの?
A.緑色のバナナは中味が殆どデンプン質であり、糖分が全くありません。
味は渋柿のような渋い味です。
そのため、おいしくないデンプン質には害虫がつかないのです。
Q.それでは、おいしくない緑色のバナナがなぜおいしくなるの?。
A.バナナは黄色に変色すると中味のデンプンが糖分に変化します。
そして、熟れるほど甘みが増大します。
糖度 1.0 → 1.2 → 1.5
状態 綺麗な黄色 黒くなってべとべとした状態
(有効成分は同じ)
黒くなった部分を「シュガースポット」と言うくらいで甘い。
Q.それでは、輸入してからどの位で食べ頃になるの?
A.輸入されたバナナは恒温に保った倉庫に入れて、エチレンガスを充満させます。
そこで4〜5日で熟成し、食べ頃になるのです。
Q.それではなぜ、エチレンガスを充満させるの?
A.エチレンガスには、果物を熟成させる力があります。熟成させることを促進する代わりに、早く、傷める(腐らせる)効果もあります。果物も野菜も自らエチレンガスを出しますので、自らを熟成させ、熟成しすぎて自らを腐らせてしまいます。だからビニール袋などに入れたままですと早く熟成し、早く腐ります。リンゴは特にエチレンガスを沢山出しますので、他に早く熟成させたい果物があったら、リンゴと一緒にビニール袋に入れておくと早く食べ頃になります。
これ本当です。
という訳で、バナナを緑色の状態で輸入するのは、「害虫の日本への侵入」を防ぐ、防疫のためなのです。
<余録>
(1)バナナ雑学
・・ バナナの抗癌効果
バナナは抗癌剤「OK432」に匹敵する抗癌効果があるそうです。
(ミラクルフルーツバナナ)
しかも、野菜、フルーツの中ではNO.1です。
サバというバナナは大腸ガンに効く。
・・ バナナの栄養素
カルシウム、リン、鉄、等。
カロリーがないのでダイエットに良い。
・・ バナナの保存法
常温で吊すのがよい。
ただ置いておくと下の部分から傷み出す。
・・ バナナは何処の国から?
日本の輸入バナナの77%はフィリピンです。
・・ バナナの断面はどんな形?
5角形をしています。
・・ バナナは木か草か?
草です。寿命は1年です。(種から芽が出て枯れるまで)
・・ バナナの種類は?
約400種類です。
煮て食べるもの(クッキング・バナナ)もあります。
(2)「防疫」を失敗した例
昨年でしたか、日本に天敵のいない蜂が、何かに混入して「入国」し、その繁殖力が旺盛なことから大騒ぎになったことがありましたね。
過去、日本に米国から持ち込まれて、天敵のない動植物に2つ有名なものがあります。それは2つとも、日本の敗戦後の混乱の中で、米軍が持ち込んだものです。
そのひとつが、「アメリカザリガニ」(別名エビガニ)です。これは日本に天敵がいないので日本中に拡がってしまい、当時稲を喰い荒らされるので問題になりました。
もうひとつは植物で、「セイダカアワダチソウ」です。この雑草は、皆さんがどこでも見ることが出来ます。黄色の小さな花を筆の毛のように沢山つけて、背の高いやつです。港や河原のあまり栄養のない土壌でも育ちます。もちろん、養分の多い土壌では先に生えていた草を駆逐してしまいます。ですから、最近は野山にまで生えて、他の植物の領土をどんどん侵していきます。
このように、天敵のない動植物が日本に入ることを厳しく管理する必要があるのです。