夏になりましたので「蝉の知恵」をお話ししましょう。
「蝉の知恵」とはどういう事と思いますか。
1、疑問
蝉は地中で7年過ごし、夏のある日に成虫になると交尾して卵を産み死ぬまで1週間とか皆さんもご存知の通りです。では何故、世に出て短時間に命を亡くしてしまうのだろうか。
2、推論
私の推論では蝉は外敵に弱く地下が安全。しかし、雄と雌がめぐり合うには地上が一番。しかも、めぐり合うチャンスを多くするためにはある短期間に大勢出て来ること、そして多ければ外敵が来ても食べ尽す事が出来ない。多少食べられても「種」(シュ)が残せる。
要は、外敵に弱い蝉が「種」を守るための知恵なのです。当然ですが、「知恵」といっても蝉の脳で考えたわけでなく自然の摂理で「習性」になったのです。
3、17年で大発生する蝉
アメリカ・コロラド州では今年(2004)蝉が大発生したそうです。この蝉は「17年で大発生する蝉」なのだそうで、何故、「17年で大発生するか?」というと、先ほどの蝉を思い出して下さい。その考えを一層高めた蝉なのです。出てくる時期を同じにして、同じ季節の短期間に世に出ればどんなに外敵がいても蝉を食べ尽くせないので「種」が守られるというものです。
4、同じ習性の「種の保存法」
1)サバの大群
サバに限らず魚には群れをなす魚が沢山います。群れをなすのは全て「種」を守るためなのです。群れていれば外敵から襲われても群れの中のものは生き残れるからです。
2)羊の群れ
羊のように外敵に弱い動物は上記と同じように群る事で犠牲を減らし、生き延びるための「種」を残す知恵なのです。
3)オーストラリアのフェアリーペンギン(2001/08/05観察)
オーストラリアPhillip Islandペンギンセンターに上陸してくるペンギンは「フェアリーペンギン」といって体長30cm程で極めて小さい。そのため外敵に狙われやすく、昼間は姿を現さない。夕方暗くなると、波打ち際に1羽また1羽と段々増えてくる。それもすぐには上陸せずに群をなすまで(30羽以上)1ヵ所に集まり仲間を待っている。ある程度まとまると上陸し群がる。リーダーらしいペンギンが歩き出し、次々とその後に続き1列になって砂丘に向かって可愛いよちよち歩きで登ってくる。
これも、「極めて外敵に弱いフェアリーペンギン」が種を守るために行っている行動なのです。
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日が沈みあたりが暗くなるとペンギンは群になるまで仲間を待つそして上陸 ( 撮影禁止故、QUANTAS航空のパンフレットから転載 ) |
さあ、これらの「種を守るための知恵」素晴らしいと思いませんか。
蝉の話で暑かったので、ペンギンの写真で涼んで頂きました。