私達は子供の頃、電車はよく「デデン・デデン」といって電車をイメージしたものです。これに対し、汽車の「キシャ キシャ シュポ シュポ」と対比してよく区別したものです。
Q.それではなぜ電車は「デデン・デデン」と音を立てるのでしょうか?
A.子供の頃、電車に乗ると感じた音ですが、電車は汽車と違い機関車のような大きな音がしないので、レールのつなぎ目を車輪が通る音だけが際立って大きく聞こえるので、この「デデン・デデン」が電車のイメージになったのだと思います。丁度、「デ電、デ電」と言っているようで面白い。
Q.何故、レールのつなぎ目を通過するとそんな音が出るのでしょうか?
A.今の電車は全部と言っていい程、ボキー台車の上に乗っています。
ボキー台車とは、発明者ボキーの名前を付けたのものですが、2軸4輪が1つの台の上についているのでこういいます。
2本の軸ということは、横から見ると2つの並んだ車輪が見えます。だから、この台車がレールのつなぎ目を通過すると「デデン」と音がしますが、すぐ近くに隣の車輌の台車がついています。ですから、連続して「デデン・デデン」というのです。
これが回答です。
Q.しかし、今の電車である区間は、この音がしないところがります。それは何故でしょうか?
A.それは技術の進歩でレールが長くなり、その上、つなぎ目がうまく出来ていて、音を立てないためです。ですから本当に静かで、この音が全くしません。気がつきましたか?
Q.つなぎ目がないレールでレールの伸縮は大丈夫なの?
A.ご存知の通り、昔はだめでした。レール1本の長さは普通25mありますが、冬と夏では3mm以上も伸び縮みします。だから、最も高い温度(地域によって異なる)の時に、レール間隔がほぼゼロになるように設定されています。ですから、寒い時はレールの継ぎ目の間隔が広くなります。
Q.では何故、今は長いレールでもOKなの?
A.この長いレールは1.2kmもあって、ロングレールといいます。普通のレール48本分の長さです。これは日本の新幹線を開発するときに、電車の揺れを極力押さえることと、レールの騒音を防ぐために開発されました。もともとは1本25mのレールを特殊な溶接機で48本分つなげてから敷設します。
しかし、長いレールではこの伸縮の差が15〜20cmにもなり、レールが枕木から外れてしまいます。この伸びた部分を上手く退避していまう工夫をしたのです。この構造を説明するのは難しいので、下の写真をご覧下さい。これは、JR有楽町駅山手線内廻りのものを撮影したものです。
ボギー台車(山の手線) | ロングレールのつなぎ目 | つなぎ目のアップ写真 |
新幹線では、この「デデンデデン」の音がしないでしょ!
しかし、この開発でもう一つ重要なものがあります。1.2kmものレールが伸びると外に逃げようとする力が働き、枕木から外れてしまうのです。そこで、この枕木(レールの枕になっている木という意味)をコンクリート製にして、大きなネジで止めることにしました。これで完璧です。
因みに、昔は枕木に犬釘という大きな釘でレールを止めていました。このため、設計値以上に暑い夏の日にはレールが伸びすぎて、枕木からはずれて「ぐにゃぐにゃ」に曲がってしまうことがしばしばありました。
Q.他への応用は?
A.この技術は最初、地下鉄の新線に応用されました。地下鉄ではこのレールのつなぎ目の音は非常に大きく、特に冷房のなかった頃は窓を開けていたので、この騒音に悩まされたものでした。
最近では、JRの在来線(長距離列車線、山の手線、京浜東北線、中央線、等々)でも部分的にかなり活用されるようになりました。
今度電車に乗ったら、このレールのつなぎ目を通過する音をよく聞いてみて下さい。
「デデン・デデン」と音がしなかったら、それはロングレールです。
では、またお会いしましょう。