<二輪車ツーリングのすすめ>

第五回:私の健康づくり


 この記事はNEC健康保険組合がNECグループ企業の社員19万人に向けて発行している「NECけんぽ」平成7年1月号(No.328)に掲載されたものです。

『風を切る音は心地よい音楽。「人車一体」で楽しむスピード』

 バイクで走っているときは、走ることだけに集中。
ストレスになる余計なことを考える余裕がないので発散できます。人車一体となって重心を左右に移動させながらカーブを曲がれば腕、腰、脚の筋肉が鍛えられます。まだまだありますよ。バイクに乗る健康づくりの効用は。

「人車一体」。バランスよく鍛えられる腕、腰、脚の筋肉

――ズバリバイクの魅力は?
福島:やっぱり、スピード感ですね。高速道路を走るときの風を切る音は、バイカーにとって心地よい音楽なのです。

――ストレス吹っ飛んでしまいますか?
福島:スピードを出すからストレスが解消されるのではなくて、走ることだけに集中しますから、ストレスになる余計なことを考える余裕がないのです。なにしろ転倒したら即、命にかかわりますからね。常に、風の影響や前方を走っている車の動きを予測しながら、しかも瞬時の判断も求められます。

――予測と適確な判断力を必要とする、考えるスポーツですね。
福島:脳の活性化にも役立つと思いますよ。
 それにバイクは、右手で前ブレーキ、左手でクラッチ、右足で後ろブレーキ、左足でギアチェンジと、常に両手両足を使います。
人馬一体という言葉がありますが、人車一体となって重心を左右に移動させながらカーブを曲がりますから、しらずしらずのうちに腕、腰、脚の筋肉がバランスよく鍛えられるというのが私の実感です。

日頃から体力をつけて、ニーグリップもまかしとけ

――日頃のトレーニングはされているのですか?
福島:安全にスピード感を楽しみたいという一心から、毎日、朝起きたときに屈伸運動と腕立て伏せをそれぞれ10回ずつやることを日課にしております。それと、自宅から駅までの通勤時の道を15分間、速足で脈拍が120/分くらいになるように往復歩いています。
 体力を十分つけておかないと、もっとも基本であるニーグリップ(両膝でバイクのボディーをはさむ)がしっかりできませんし、さまざまな動きに体が臨機応変に対応できませんからね。

――バイクを始めたきっかけは?
福島:スピード感のあるスポーツが大好きで、スキーを30年近く楽しんできました。バイクもやりたいなと思ってはいたのです。6年前にたまたま、娘が二輪の免許をとったときに、じゃあ、バイクを買ってあげるから、私にも乗らせろということにしたのですが、娘よりも私のほうが夢中になってしまいました。(笑)
 最初の3年間は250cc、そして750ccに2年間、いまはBMWの1100ccに乗っています。

ただの「走るオジサン」ではない、さまざまな楽しみ乗せて

――どんなときにバイクを楽しまれるのですか?
福島:天候さえよければ休日はひとりでも走りますし、月に1回は仲間と共にツーリングを楽しんでいます。
 社内のバイク愛好家達で「ST(スーパーツーリング)−21」という会を結成しているんです。メンバーは関東を中心に、東北、名古屋、関西、岡山などの支部のメンバーも合わせて20人ほどですが、30代後半から40、50代の世代です。

――お仲間とのツーリングは、想像しただけでも楽しそうですね。
福島:走るだけで十分楽しいんですが、それだけでは、ただの「走るオジサン」ですから(笑)、各地の美術館や神社仏閣を訪ねたり、土地のワインや温泉を楽しむなど、毎回目的を決めてでかけるようにしています。おかげさまで、歴史や地理、美術などの知識も豊富になりましたし、楽しさ倍増といったところです。
 目的と行き先が決まったら、周辺の地理や見どころなどの下調べをして綿密なプランを立てますし、帰ってきたら必ずレポートを作るんですが、こうしたことも結構楽しいんです。
 おまけは、それだけではありません。

――さらに?
福島:神社仏閣にお参りするには階段の昇り降りがつきものですし、景色を眺める展望台への昇り降りなどで足腰の筋肉がずいぶん強化されました。

――お嬢様とバイクを楽しまれることも?
福島:2回ほどツーリングを楽しみましたが、走りは私のほうが上でしょうね。バイクを楽しむことのできるゆとり世代ですからね。

(後記)
 この記事を作るに当たり、NEC健康保険組合の事務局の女性とインタビュー記者(女性)それに男性のカメラマンが私の勤務地であったNEC関西ビル(大阪市城見)に見えて、インタビューされました。

 なぜ、私の「健康づくり」が採用されたかというと、今までに掲載された「健康づくり」は「ジョギングをしている」とか、「スイミングクラブに通っている」等のように「健康になるための涙ぐましい努力?をしている」というものがほとんどで、「悲壮感が漂っている」というのです。ところが、「私(福島)の健康づくり」では、「楽しんでいると自然に健康になる」という点が画期的であるということで「インタビューが決まった」との説明がありました。

 インタビューを終えて、3人は新幹線で東京に帰ったそうですが、私の話を聞いてバイクに大変興味を持ち東京に着くまで「今回のインタビューで聞いたバイクの話でもちっきりだった」との報告がその後にありました。

(反響)
 このインタビューの件はバイク仲間にさえも話をしなかったのですが、これが発行されると大きな反響がありました。
 私を良く知っている方からはすぐに電話が来ましたし、新年会などでお会いしたときに「NECけんぽ」で見ましたとか声を掛けられました。それ以上に驚いたのは、顔は知っていても名前が分からないような方々からも声を掛けられたということです。それに、今ではもう3年にもなるのに、出張などで懐かしい人達にお会いすると「私の健康づくり」の話が出るので、この様な刊行物の広報効果を再認識しました。

 「NECけんぽ」19万部発行の効果と「愛読者」の多いことに改めて驚いております。

平成10年4月1日

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