青 木 湖 の 概 要
所在地 長野県大町市青木
      北緯36度37分, 東経137度51分,
      海抜822m, 面積1.86平方キロ,
      最大深度62.0m.
     
  青木湖は本州を南北に二分する大断層
(糸魚川・静岡地溝帯)の陥没部分に滞水
してできた湖水である。
  青木湖の珪藻類については Hustedt
(1927)がBrehm-Egerの採集品を研究し、
143種160分類群を明らかにした。
  小林他(1971)は湖岸の付着珪藻を調べ
152分類群を記録し、多数の種を図示して
いる。
  平野(1978)は宮地傳三郎が1927年頃採
取した、青木湖の水深56m地点の底泥を
観察し56分類群を報告し、図示している。
  窪田(1986)は湖底泥から64分類群を報
告している。これらの合計は39属316分類
群となる。
  筆者は1986年8月6日、小林弘博士と共
に採取した試料から珪藻類41属242分類群
を記録した。

青木湖深度図 (1930:田中より)
青木湖の珪藻
試料と方法
  試料は湖岸から湖心に向かって深度を異にする4地点(地図 1)の湖底堆積物を
採泥器で採取した。これら4地点の底質には多少の差が見られるが包含されて
いた珪藻群落に大きな差異は認められなかった。試料は酸処理の後、Pleurax で
封入し光学顕微鏡で観察した。

 結果と考察
 試料から242分類群の珪藻を記録した。このうち、117分類群は青木湖から始め
て報告されるものである。
 今回出現した珪藻は浮遊性の中心類の一部を除いて、大方は付着生種及び底
生種で、湖岸に生息したものが湖心に運ばれて堆積したものと考えられる。検出さ
れた分類群中4地点のすべてから1%以上出現したのは、Achnanthes conspicua,
Asterionella formosa, Aulacoseira alpigena, A. distans, A. valida, Cyclotella
bodanica var. affinis, C. radiosa, Fragilaria lapponica, Navicula hasta, Stephano-
discus alpinus, Tabellaria fenestrata. の11分類群で、これらは貧腐水〜中腐水の
水域に普遍的に存在するものである。なお出現個体数の高位のものを優占種と定
めれば青木湖はCyclotella radiosa - Asterionella formosa群落と位置づけられる。
  出現種はアルハベット順に一覧表にまとめている。容量の関係からここでは提示
していない。

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