野尻湖の珪藻と湖の概要 原口和夫 |
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野尻湖は 所在地 長野県上水内郡信濃町野尻 あ し JR信越線黒姫駅下車バス10分 や ど 野尻湖ホテルほか民宿多数 野尻湖は長野県北部の斑尾火山の溶岩流による堰止湖で、 面積4平方Km、最大水深38m、湖面の海抜が654mの湖である。 |
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野尻湖の珪藻 野尻湖の珪藻については、古くは中野(1912)の報告があり、ここではMeisterに送った試料の観察結果が知 らされてきたとして、24属49種(変種を含む)を記録している。この中には、その後正当に記載されないまま消失 した分類群(Cymatopleura vulgari Meister)もある。Meister(1913,1914)は中野が送った試料をもとに野尻湖産 の珪藻を記載している。窪田(1985,1995)は湖岸の湖底泥から23属64分類群を記録している。その中では Navicula seminulum, N. jaernefeltii, Cymbella tumida, C. turgidula, Cyclotella radiosa 及び Fragilaria brevistriata がいずれも高い頻度で出現したと報告している。落合ら(1992)はプランクトンとして7属8種 を記録しAulacoseira italica, Asterionella formosa,Fragilaria crotonensis が冬季に優占し、ときには Attheya zachariasi が観られると報告している。これらの報告の種類を合計すると107分類群に達するが、筆者 の観察からは更に多数の珪藻類が識別できたので報告する。 出現珪藻について 試料は1997年5月19日に採取した。採取に当たっては、水深を異にする4地点から湖底泥を採取し、酸処理 ・漂白及び水洗の後Pleuraxで封入してプレパラ−トとした。その結果として42属245分類群(種名不詳を含む) が記録できた。当水域で出現頻度が高かったのはFragilaria fasciculata, Asterionella formosa, Cyclotella radiosa, C. stelligera, Fragilaria crotonensis, Aulacoseira itarica. で、いずれも止水性の浮遊性種 である。 検出した種類のすべてを同定、文献を付してアルファベット順に記述した。容量の関係から当ホ−ムペ−ジに は載せてないが必要な方は連絡されたい。出現種の中で普遍的でない種類については、図を付した。 中野(1912)、Meister(1913,1914)、窪田(1985,1995)及び落合ら(1992)が野尻湖産として記録した分類群は合 計107種で、そのうち今回の調査において検出されたものは77分類群であった。残る30分類群が未検出であっ たことについては、これらが希産種であることによるものと思われるが、更に検討の余地がある。今回の調査で の各分類群ごとの出現頻度を採取地点別に%で示した。ただし、1%に満たない分類群については(rr)と記した。 |