ハチ的コミケット64従軍記
〜雨に煙る生首〜

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8月15日


 とっとと仕事を切り上げ、帰宅。その深夜、荷造り完了。疲れた。

 さて、ここで、ハチの荷物を紹介。まずは、段ボール2箱。この中にはメインの本及び、小道具類多数を搭載。そして、B4大のカットシートを袋に入れて。ハチのサークルでは、頒布物の陳列に棚を使うのだが、これが先述の箱に入らないので、別袋に搭載、同じ袋に、にしじまさんから預かった、クイズ地獄ファミリーの関東メンバーへのお土産各種を入れた。これらの荷物の中で、箱2つとカットシートをカートに載せる。

 明日の予定としては、まずは仕事に行き、終業後、そのまま東京行きとなる。ちなみに関東地方は相変わらず、雨との報。ちなみに福岡も似たり寄ったり。ま、バスにさえ乗ってしまえば、後は屋根のある所ばっかりなんで、何とかなるんだがね。考えても仕方ない。寝よう。


8月16日


 朝。雨は…降ってなかった。

 これは非常に助かるのだが、正直言って拍子抜けのハチ。雨を覚悟して、荷物は徹底的に防水処理を施しただけに、無駄になりそうで萎える。

 バス停で待ちつつ、ふと手に握られた、75センチ長傘に目が入った。…ハッ、そうだ!傘だ!いやね、ハチは雨が降るかどうか際どい時に傘持って外出すると、何故か雨が降らないってジンクスがあるんよ。これはイケるかも?!今回の夏コミはツキが味方してる。そう勝手に解釈したハチ。さて、どうなる事やら。

 荷物を途中の駅ロッカーに預け、仕事に向かう。仕事中は一時的に大雨になったりしたが、行き帰りには、何故か雨は降らず。しかも、仕事の方も早く終了。これはマジで、ツキが味方してくれてるかな?

 いつも東京に行く時は、21時台の最後の便で飛ぶんだが、流石に現地に着いてからがキツいんで、今回は1時間早く、2030時発のJAL機で出発となる。Uターンラッシュとは逆方向とはいえ、それなりに混み合うだろうし、空港到着は1930時頃にしておきたい。試算すると、終業後から出発まで、意外と時間が無い。早々と支度を済ませる。

 1900時頃、福岡空港に到着。今のハチは、片手にカート、もう片手にお土産等が入った袋を持ち、傘をリュックに引っ掛けた状態で、ガラガラガラ…とカートを鳴らしつつ、移動中ナリ。まずは、チェックイン。機内でサークルチェックし易い様に、窓際とか極力目立たない場所が好ましいんだが、流石に満席便だけあって、残った席は通路側のど真ん中しかなかった。

 2030時、とりあえず飛んだ。さて、サークルチェックでもするかな…と、ふと目の前を見てみると、何故か座席にモニターがあるじゃないかい。座席は間違ってないよな?便も合ってるよな?!

 ――今回のハチは、確かにツイてるようだ。今回、たまたまポケットビジョン搭載のJAS機に乗る事が出来たナリ。この物件、座席にモニターが標準装備されてて、テレビやビデオ、フライト状況等を見る事が出来、さらにリモコンを使ってゲームも出来るスグレモノ。と言っても、サークルチェックが未完成だったんで、折角のサービスもそこそこに、カタログとにらめっこを続けるハチ。エロのページを隠すのが辛い…

 2215時頃、定刻より少し遅れて羽田到着。外は小雨。急ぎ受け取り口に向かい、荷物を回収。さて、ここからが大変だ。荷物を再びカートに載せるんだが、これがやたらと時間がかかるんだわ。で、ハチ一人だけポツン…と取り残される。その様は、昼休みに一人泣きながら給食食べてるかの如し。

 晴天でも大変なのに、今回のような悪天候の際には、防水処理が要る。具体的には、荷物を福岡市指定可燃ゴミ袋に2重に包むのだが、この惨状を見かねたのか、或いはさっさと立ち退いて欲しいのか、JALの職員氏が、大きなビニール袋を提供してくださった。ラッキー♪この袋、割りと厚手で、結構使い勝手良し。

 ――イケる!強固な防水加工を施した荷物を目にし、ハチは決意を固めた。このままホテルまで強行突破してやる!と。

 先日から話しなきゃいけないかな。みんなも知ってる通り、関東地方は前から雨の予報で、コミケ1日目は雨。そして今日2日目も終日雨。それで、投宿先のホテル浦島までの移動はタクシーを使え、とKから勧められていた。が、当日の弾銭がかなり少ないハチとしては、ここでの出費は痛い。マジで痛い。そこでハチは、よっぽど大雨でもない限り、都営勝どき駅から走って行こう!と腹をくくっていた。

 そんなこんなで、羽田から東京モノレールで浜松町まで乗り、都営地下鉄に乗りかえた。ところで、今年もまた、モノレール浜松町駅から都営浜松町駅までは、カートをを担いで、階段を根性で下りきったんだが、都営に乗るには、本当にあの階段しかないの?情報プリーズ。

 一旦外に出て、都営地下鉄の駅入り口まで移動。この時点では、傘不要な小雨。これはイけるか?

 都営に乗り換え、ホテル浦島に一番近い勝どき駅に到着。ここからはタクシーは拾えない。って言うか、逆に轢かれそうだ。もう自前の足で突破するしかないのだが…おおっ!

 幸いにも、傘は要るかどうかって具合の小雨。フフフ…これなら大丈夫だな。勝利の確信を胸に秘めつつ、カートの柄をしっかりと握り締め、遥かに望む勝どき橋に向かって突撃を敢行セリ!

 ぬをををををををを!!!………カートを転がしつつ、勝どき橋を全力疾走するハチ。気分はロディ橋を疾走する若きナポレオンの如し!って言うのは大ゲサかな。そんなこんなで、勝どき橋を渡り終え、浦島ホテルにチェックイン。当然、荷物は無事だった。

 部屋の中で一息ついたところで、Kらの待つ先行者装甲集団司令部に移動。まずは、到着を報告。続いて、委託についての簡単な打ち合わせを…って、肝心の匿奈木のぞむ氏本人がいないじゃないか?!

 「ああ、あいつなら夕方に別行動してから消息不明」部屋にいたぽこもけさんが、溜息混じりに言った。まぁ、いつもの事ではあるんで、今更突っ込むのは止めにしておこう。「で、俺は1時になったら、奴ほっといて鍵閉めて寝ようかと思ってるんだが」無条件で賛成させて頂きます。荷物はハチのスペースに既に置いているそうなので、以後は簡単な打ち合わせ等を済ませて、早々と部屋に戻った。

 シャワーを浴び、汗を流す。前回よりも1時間早く出発したので、今夜は少しはマシに寝れるハズ…と思ったら、ついついBSの映画に見入ってしまい、結局は前回同様、三時間弱しか寝れなかったりする(汗)こんなんで大丈夫か?


8月15日


 0600時、目を覚ます。ここから会場までの送迎バス最終が0710時頃と聞くので、そろそろ支度しないと間に合わない。早々とシャワーを浴び直し、服を着替え、荷物を積み直す。

 0650時、支度完了。外を見ると、雨は降ってない。これはマジでイケるかな?内心期待を胸に秘め、部屋を出てチェックアウト。外では、バスが次から次へと着いては丸々と肥えたオタクを飲み込んで発って、また着いてはオタクを飲み込んでまた発って、を延々と繰り返していた。前回の豪華バスとは違い、年季入ったマイクロバスなのにちょっと躊躇したものの、ハチもさっさとバスに乗り込む。

 車窓を眺めつつ、しばし穏やかに過ごす。やがて、視界に我等が集いし戦場(いくさば)巨大なる逆三角形が見えてきた。アドレナリンが徐々に全身に浸透していく。いよいよ…か。

 バスから降り、周りを見まわすと、一面サークル参加者の群。流石に、ドームの選手用駐車場とはケタが違う。雲行きも怪しいので、さっさと入場する。さて、今朝はコンビニに行きそびれ、糧食の補給が無いのだが、心配無用。今年の夏は(前からか?)会場内にampmがあったりする。早速入ると、そりゃもぉ大入りナリ。が、意外にも無秩序に大混雑ってワケではなく、それなりの秩序が維持されていて、店通路を外回りするようにレジへの列が形成され、客の流れが速やかに回転するシステムが確立していたのには驚き。

 レジを見てみると、本土中国からの留学生らしきバイト君が、『信じられないモノを見てしまった!』という眼をしつつレジを打っていた。彼は奇しくも、日本サブカルチャーのもっとも濃い部分を見てしまった事になる。この奇異な経験が、彼の今後の人生において善い方向に活かされる事を祈りつつ、店を出た。

 時計は0750時を回り、ハチのサークルがある、西館前まで到着。ところで、毎度毎度の事なのだが、今の時間、会場内には、これからサークル設営に勤しむサークル参加者しかいないハズだよね?でも回りを見まわすと、何故かサークルチェックに血眼な人々を多数見かけるんだわ。これって、どういう事だろ?ねぇ、K…チッ、もう居ねぇや(汗)
 
 開場時間まで残り2時間を切った。余り時間も無いんで、早々とサークル設営開始。例によって例の如く、大量のチラシとの格闘から始まる。大量のチラシをサイズ別に選り分け、恒例のCN福岡ドームチラシ兼紙袋に入れ……えっ?CNドームの紙袋?!確かCNドームって、開催まであと2週間では?Y田氏は、この期に及んで、まだサークルを呼ぶつもりなんだろうか…ま、細かい事は気にしないでおこう。

 順風満帆に進行しつつある夏会戦なんだけど、思わぬ障碍がハチを襲ったのが、その直後だった。チラシの山を整理してる最中、『秋の通常国会でメディア規制法案が再び跋扈し、再び同人文化が脅威に晒される云々』という内容のチラシを発見。それを目にし、ハチの士気が瞬間的に一気に落ち込んだ。――そう、そうなんだよな。すっかり忘れていたよ。我等の敵との戦いは永遠に終わらない。ちょっと鬱ナリ、はふぅ…と溜息をつく。

 問題はその後。脳の奥の方から突如、妙な雑音らしきものを感じる。これは時々経験あって、これが起きると激しい頭痛に襲われるんだが、今回は違った。突然、視界が急に真っ暗になり、意識が急速に薄れていくじゃないですかい?!ヤバっ、これはヤバすぎるって!って言うか、自分が不愉快になって倒れるって、ハチはフォーク准将かよ?!それって、ムチャクチャ嫌なんだが、そう言ってる間にも、意識はズンズンと闇の中に飲み込ま…

 幸い、寸での所で意識を取り戻したハチ。いやいや、怖かった。意識が飛ぶ直前の、もう二度と目を覚まさないんじゃないか?!って思う恐怖は、体験しないと分からないわな。実は開場後に、あと2回程この現象を体験してたりするんだわな。本当、大丈夫かね?ハチの体。

 敷き布を敷き、その上にホイホイと本その他を並べ、途中来たスタッフ氏に見本誌渡し、頒布物の値札書いてたりしたら、気付いた時には井上陽水が歌ってた。ああ、もうそんな時間か。会場を見まわすと、例によって『貴方がた、自分のサークルはどうしたね?』な人々が、西館各所で列作ってるし。

 時計は間もなく、1000時を指そうとしている。椅子に深く腰掛け、瞑目の後、大きく深呼吸。今この場所に居られる運に感謝し、ここに至るまでの、原稿との血みどろの格闘その他モロモロの思い出を胸に秘め、この夏、最も熱い一日の始まりを、静かに迎えた――

 開場を告げる、代表夫人のアナウンス。会場全体から一斉に轟く歓声。そして、大手目指し疾走する(走るな!)人々の地響き。かくして、コミックマーケット64三日目は、つつがなく(?)幕を開けた。

 始まったのはいいけど、ハチの如き小規模サークルは、今の時間、ハッキリ言ってヒマなのよねん。今の時間を利用し、朝食の残りを食らう事にする。さて、ハチの周囲はマイナー系ギャルゲー中心で、どのサークルさんも熱意こもった本を用意され、創意工夫をこらした設営を施しておられたんだが、今の時間、目の前を疾走する(だから走らない!)彼等には、只の障害物にしか見えてない事だろう。いずれは、彼等がネコまっしぐらな大手になりたいものだな。

 1045時頃、宮原さんが、かなり分かりやすい様相で登場。「これ(米軍作業帽)以外は普通だけどなぁ…」いやいや、宮原さんって、独特のオーラ漂ってますし。で、宮原さんが最初のお買い上げ♪

 そして、1100時を回り始めた頃から、ぼちぼちハチのスペースを見てくれる方々が。正直、今どき生首でどうかな?とは思ってたんだが、フタを開けてみたらビックリ仰天。ハチの本を、お買い上げ下さる方々がコンスタントに続出。あっという間に合計冊数が2ケタ突破し、感謝感激で涙モノ。

 そうしてる内に、知り合い知人縁者も、ハチのところに駆けつけてくれた。最初に来てくれたのは、クイズ地獄ファミリー関東組の面々。クロねこさんに始まり、沙奈川さん、ハチの留守の間にHDXXさんも来てくれてたようだ。

 続いて、/Si/さんの登場。「ハチさんおみやげー」と、取り出したるは、ガッツ缶。なんとまぁ、予想通りの展開。「ゑっ、バレバレだったとか?」うん、非常に分かりやすかった。――さて、次に会う時は、一体何を持ってきてくれるのだろうか?

 一方で、Tomak側の方々も来てくださった。闇猫さんとこの掲示板の常連の方が(実際は代理の方)来てくれたし、そして遂に、闇猫さんご本人とも対面を果した。「いやいや、まさか本当に生首の同人誌があろうとは…」目の前に広がるTomak同人誌の数々に、少々驚き気味の闇猫さん。…ええ、貴方の目の前にある光景は、全て事実ですぞ。

 ご対面と言えば、度々正体を隠して来ていた焼肉魔王さんとも、念願のご対面。逆に留守中で、はるあきらさんとは結局会えず終い…ドームは来ますよね?

 買ってくださったのも嬉しかったんだが、今回、本に目を通された方々の反応が非常に良かったのが、一番嬉しかったね♪次も頑張るぞ!と闘志が涌いてくる。余談だが、生首始めて以来、女性が買ってくださったのは、今回が始めてだったりする。皆様、本当にありがとうございました♪

 1300時、ようやく戻ってきたKと交代。自分の買い物に出発。しかし、西から東まで全館回るのに、2時間は短いね。狙ったサークルのみを回るのが精一杯。しかしながら、そんなこんなで買ってきた本だけど、妙に当たりが多かったな。

 1500時。戻ってきたハチは、早々と片付けを始める。帰りの飛行機は、1830時とちょっと早め。1600時に帰ると仮定すると、空港内での所要時間を考えると、移動時間は1時間半程度しか残ってない。帰りは最短ルートの、りんかい線→東京モノレール→羽田空港って事になる。

 が、問題が一つ。国際展示場駅からの切符を入手しそこなったんだわ。Kに馬鹿者と罵られたが、会場内のどっかで切符売ってた?やっぱ、一度、国際展示場駅まで行かないといけないんだろうか。はてさて、大混雑の駅で、どれだけ並ぶのか?その時間が全く読めないだけに、内心かなり焦るハチ。とにかく今出来る事は、1600時ジャストには帰れる状態を作り出す事だけ。心配するよりは、まず手を動かす事にした。

 片付けると言っても、時間はあと1時間残ってるので、机には各部数冊づつ残して、サークル機能だけは維持しておいた。――残り30分。荷物の大部分を箱に収納、荷造りを始める。――残り15分。カート仕様準備完了、リュックの準備及びゴミ集めを始める。――残り5分。机に置いた本を、リュックの方に収納、片付け完了。そして、閉会の放送を聞きながら、西館を後にした。

 国際展示場駅。はぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜………………腹の底から溜息を搾り出すハチ。ハチの目の前には、真剣にウンザリする程の人の群、群、群群群群群群群群群群群群群群群群群群群群…――この中に並ぶのか?!そう思うだけで、気が重くなる。

 でも飛行機は待ってくれない。覚悟を決めて、並びに行く。切符を持ってないハチは、一度切符売り場に行き、改めて並びに行く事になる。が、いざ駅内に入ってみると、乗客の回転が異常に速い。行列もあんまり気にならず、かなり早い時間でホームまで到着できた。切符買う時間込みで15分程度だったかな?これは意外。GT日のモノレール小倉競馬場前駅の方が、よっぽどゴチャゴチャしてる。

 1700時頃、羽田に到着。出発ロビーに上がったのは1730時。まだ時間に余裕があるので、東京帰路のお楽しみ、まい泉カツサンドを愉しむ。何だかんだ言って疲れ果てたハチ、飛行機内ではグースカ寝てた。

 2000時頃、福岡空港に到着。家路の途中、酒類その他モロモロを買い込み、2300時過ぎに自宅到着。帰宅後、戦利品の同人誌を肴に大痛飲しまくったハチだった。


8月18日


 今日は休み。昼過ぎに目を覚ます。昼食を肴に飲んだ。夕方、風呂で汗を流した後、飲んだ。そして、夜、夕飯を肴に飲んだ。その後、デザート代わりにまた飲んだ

 原稿執筆中における禁欲的日々の憂さを晴らすべく、今日は終日、ダメ人間生活を満喫した。でも、こんな事が許されるのは今日まで。明日からは、夏コミレポート(つまり、今書いているコレ)に、レヴォ新刊の準備が待っている。今の時点では、当落は分からないけど、(オフセで出そうと思うなら)今から準備してないと間に合わない。

 さぁ、明日からが大変だ。でも、また読者の方々に喜んで欲しいんで、次もベストを尽くしたいね。