ハチ的コミケ68従軍記
〜真夏の夏風邪野郎と生首と〜

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8月12日


 はひぃ…すっかり暗くなった夏の空の下、ぐ〜〜〜〜ったりと、うなだれるハチ。数日前から、このコミケ直前って時に、夏風邪を引いてしまい、ずーっとそれを引っ張って、体力衰退もいい所である。

 Kに電話。コミケ初日はどうよ?って話の後、正直言って夏風邪が酷くてコミケ行けるかどうかわからない〜って、今の状況を正直にKに話したら「馬鹿言うな這ってでも来やがれ」と、優しいお見舞いの言葉を頂いた。やはり郵政民営化は必要である

 荷物の準備をしつつ、明日以降の予定を簡潔に。明日、仕事が終わり次第、空港へ直行。2100時の飛行機に乗り、東京に。適当に電車に揺られ、品川プリンスホテルに投宿。翌日はコミケ三昧、終わりにImperarorの星鈴さんと飲み行って、2025時の飛行機に乗って福岡に帰る。そんな感じ。

 さっき準備と言ったが、そのまえに在庫追加のコピー本の製本がまだ残ってて、それを先にする。そんなワケなんで、結局、準備が全部終わったのは翌0400時ごろ。こんなんで、明日は大丈夫だろうか…いや、マジで


8月13日


 朝、携帯で天気予報をチェックする。明日の東京地方は晴れとの事。そこには携帯を片手に、ガッツポーズを取るハチがいた。

 1日目が雨で、今日の2日目の天気が芳しくなく、Kも雨に悩まされたと聞く。そこに来て、我が本番である所の3日目に天気が持ち直す。……フッ、これも日ごろの行いって奴か?フハハハハ…と、Kに話したら、「バカかお前は」の一言で片付けられた。郵政民営化は必要なようだ。

 1630時。今までが嘘なように、仕事が珍しく早く終わったので、予定を変更。一旦家に帰る。着替えて風呂入って、出発。空港に着いたのは、2020時。このまま2100時発の飛行機に乗れば、無事東京に辿り着ける。

 2100時、JAL1738便は予定通りに出発。しばらくして、ベルトのランプが消えたので、遅い夕飯をば。まずはスーパードライ500ml缶を開け、グビグビグビグビと飲み……ぶはぁ!

 目の前の衝撃的光景に、飲んでたビールを危うく噴出しそうになったハチ。飛行機に乗った人は分かると思うんだけど、客室にあるモニターで、フライト中はよくNHKニュースなんかを流すじゃない?それで丁度さぁ、今夜はタイミングよく、昨日のJAL機エンジン炎上のニュースが流れてたですよ!!(笑)そりゃぁもぉ、エンジンが見事に火を噴く映像もバッチリ映ってたさ。

 素晴らしい!!「チーム★アメリカ/ワールドポリス」も顔負けの、このブラックユーモアはどうよ?!感動モノだね!以後も、JAL機ファイヤーの光景は、しばらく繰り返し映し出され、ハチにとって最良のツマミとなった。

 上機嫌ついでに、機内販売のスパークリングワインを頼む。で、出てきたのは、コルドンネグロのベビー・ボトルとツマミの小袋。早速封を切ると…あれ?スパークリングワインって、針金と金属のフタでコルクを押さえ込む形になってるのだが、このボトルは、コルクを模したスクリューキャップになってる。簡略化する為の機内限定なのか、それともベビーボトルだけ初めからそうなってるのか、判別は不能。ちなみに、FA(スッチー)のおねいさんは、ビンとコップを持ってきただけで、お酌とは特にしないようだ。ちなみに小袋の中身は、ミックスナッツ&おかき各種也。

 2240時ごろ東京着。宿は品川駅前なんで、殆ど苦も無く到着。敢えて苦を言うなら、宿でヨースルの人と相部屋になったぐらい。いや、微妙に深刻か。


8月14日


 0530時。携帯のタイマーで目を覚まし、風邪の熱が残る肢を、強引にベッドからひっ剥がす。相部屋のヨースルの人は、新刊の製本の為、夜半から都内どっかのキンコーズに行ったきり。直に戻ってくるだろう、と気にせずにシャワーで寝汗を流し、着替えて準備を急ぐ。

 0610時、準備完了。何故に急ぐかってーと、Kがレストランの朝食バイキング券をとってくれてて、そいつが開始0630時と、何とかサークル参加に間に合う時間。コミケ当日には文明的な食事は諦めているハチだけに、食器で朝食を食らえるのは、実に嬉しい事♪

 さて、そろそろ行こうか…って時に、キンコーズから戻ってきたヨースルの人がヘロヘロで、身動きできない状態。そうやってズルズルと過ごしてる間に、何とか出発できるようになったのは、0700時。サークル入場時間始めが0730時ってのを考えると、もう時間は無い。ホテルでの朝食は断念し、タクシーで会場に直行。

 途中、大きな橋を通る。なぁK、これってもしかして…「ん?レインボーブリッジだが」おおぉぉ…これがレインボーブリッジか!で、あそこに見えるのが、お台場か?!ぬぉ、フジテレビだ、玉だ玉だ!…などと田舎モノ丸出しで舞い上がってたら、Kに「おのぼりさんか、お前は!」とツッコまれてしまった。我が国には、郵政民営化は必要なようだ。あ、そういえば、あの時のタクシー代払ってないな。まぁいいか♪

 0800時。あっさりとビッグサイトに着く。車から出るや、早速、太陽がギラギラとハチらを照りつける。空きっ腹に堪える日差し也。自身のブースに行く前に、会場内のコンビニで糧食の買出しに行きたいが、生憎コンビニは2階。2階にはエレベーターで上がるのだが、カート使用禁止ときたもんだ。確か以前はKに荷物を見てもらって買いに行っ……

 「じゃ、自分のブースに行くからな」ハチの内心を悟ってか、Kは早々と、西館にあるヨースルの人のブースに行ってしまった。改革の為には郵政民営化は欠かせないらしい。

 さて、東館に取り残されたハチ。仕方ないので、まずはブースに行く。例によって例の如く、大量に散布されているチラシの山――否、サークルの目からすれば不法投棄された産業廃棄物といっても過言じゃない――作業から取りかかる。

 はぁ…腹減ったぁ……空きっ腹をかかえ、無限とも思える数のチラシの山を折り折りし、サイズ別にまとめていく。この作業は40分ぐらいは余裕で過ぎる。その後で、ようやく設営に入れる。

 敷き布を敷いて、本をどんな順番で置こうかと考えてる内に、時計は0845時を指していた。ヤバ…0900時になると、一旦、各館のシャッターが閉鎖され、各館ごとに参加者が隔離される。当然、コンビニにも行けなくなる。

 今のうちからコンビニに行くべきか?設営に専念すべきか?決断を迫られるところだが、万が一コンビニ店内が込んでたりしたら、そのまま自分のブースに帰れなくなる恐れがある。仕方なく、コンビニでの買出しは断念。その代わり、入り口側の売店で飲み物を調達しておいたので、最低限の生命維持は可能であろう。

 1000時、開会の挨拶と共に、コミックマーケット68の3日目が始まった。――始まったって言っても、ハチらの如き弱小サークルにとって今の時間は、なぁ〜んにもすることなんて無い。することが無い上に、腹が減って仕方が無い。ここは、こんな事もあろうかと思って昨日買っておいた糧食で飢えをしのぐ事にする。

 ま、糧食と言ってもバランスアップ(アサヒフード)のブルーベリークリームとメープル玄米ブランの2個のみだけどな。で、結局はコミケの間中それだけしか食せず、後は塩分補充にと買っておいた天然しお飴(健康体力研究所)を、口に入れて我慢する羽目になったとさ。

 昼前になってからぼちぼち、本を手に取る方々が出てきて、昼回ってからお買い上げの方が出始める。数年前の生首ブレイク程では無いものの、地元ではありえないペースで本が売れていくのは、本当に感謝至極也。当日お買い上げ頂いた皆様には、この場を借りてお礼申し上げます。

 1230時ぐらいだったかな。ふと妙な気を感じたので、手元でサークルチェックしている手を止めて前を向くと、見慣れた米軍作業帽が…おお、宮原さんですか。しかし、このお人も律儀なものだ。コミケ毎にいつも顔を出してくれるもんなぁ。流石は、九州屈指の同人死神部隊を束ねる長だけの事はある。あと、いつも差し入れを下さる猛者さんから、今年も差し入れを頂く。もぉ感謝の言葉も無いですわ。

 ――よしっ!1300時。サークルチェック表、俗に言う宝の地図を手に、自身のブースを立つハチ。ようやくサークル回りの時間である。去年まではKがいたので、2時間近くは回れたのだが、今回はKがヨースルの人のブースに行ってしまったので、時間が余り捻出できず、制限時間は1時間也。

 もうこうなりゃ、マトモに見て回る事なんて出来やしねぇ。まずは、西館は完全に放棄。その上で、予め決めておいた優先サークルの、上位のみ回らざるを得ないのは残念。即ち、今のハチに出来ることは、ハチの十八番(?)ソフトバンク大道の如くバットを短く持つ作戦を徹底するのみ。

 は…はひぃ……1400時、ヨレヨレになって戻ってきたハチ。いやいや、1時間で両東館を回るのは、流石にしんどい。サークル周りも、本の中身を確認するってよりも、どちらかといえばサークルブースだけを眺めて本の内容を念視する感じ。時間が少なかった分、本の数も使ったお金も、去年の半分程度。それでも、そこそこ満足できる結果で、まぁ一安心。

 1515時頃、今更売れる見込みがなさそうな本を、逐次箱に放り込み始める。ってのも、コミケ終わってからImperarorの星鈴さんと打ち上げの約束があるので、今日は早めにお片付け。閉会の拍手の時には、既に荷造り完了。黒猫の送り状も既に貼ってるし、後は然るべき場所に荷物を持っていけば、晴れて身軽の身。重いカートを気にする事無く、打ち上げに参加することが出来るというもの。他の荷物はとりあえず、顔出しに来たKの知人氏に見てもらって、猫の場所に出発。

 ……はて、黒猫こと宅急便の場所はどこだったかの?かれこれ10分ほど、東館周囲をさまよってるハチ。去年は人の後を付いて行って、テキトーにたどり着いた。今年もそれで大丈夫だろうと思って、ロクに場所の確認もせずに来てしまったが、正直な所、その考えは甘かった

 いやいや、何処見てもクロネコの集荷場が見つからんのよ。で、散々彷徨った途中、張り出されていた周辺地図を見てみると、どうやらハチはクロネコの集荷場と全く逆方向をウロウロしているらしい。一番近い集荷場まではホール外周を半周ぐらいの距離。今からそこまで行くのも面倒なので、送り状を剥がして近くのペリカン便集荷場へと向かう。

 しかしまぁ、ここからが大変でね。5列縦隊で並ばされ、集荷場のテントに達するまで、15分ぐらい待たされたかな。これが暑いのなんのって。いや、日中の室内の方が確かに気温上は暑いんだろうが、屋外の、それも西日がジリジリと照りつける下に晒されるのは大変。それにハチは、仕事場が倉庫内にあり、直射日光をあまり浴びない生活をしているんで、尚更の事也。

 結局何だかんだで、ブースを出て40分後に、元の場所に戻ってきた。すると、何故かそこにいたKが開口一番「何をしていた?もう撤収は始まっている」いや、荷物を運送屋に持って行ったんだけど…「バカかお前は!閉会から持って行っても遅いだろう。そういうのは閉会前に済ませておくものだ!」と、Kから、ハチの今日一日の労をねぎらう心温まるお言葉を頂いた。我が国の未来のために郵政民営化は必須であろう。

 ここでKらとは、一旦出来ればずっとお別れ。Imperarorの打ち上げ飲み会に合流する。電話で待ち合わせ場所を聞き、待つこと5分程…で、現われたるは、ヤンキースの帽子にレプリカユニフォーム着用の星鈴さん。

 で、たどり着いたのは屋外庭園の売店。席には、Imperarorの関東メンバーも来ていて、今日の結果や新刊原稿戦線の事など、話に花が咲く。ハチは、ビールを飲みながら話を聞いている。同好の志によるコミケ後の飲みなんてのは、今回が初めてなんで、実に上機嫌也。会話を肴のビールが美味い♪売店のカウンターと席を何度も往復し、ビールをドコドコと飲み進める。結局、紙カップ4本だか5本だかを飲む。ん?終始話の聞きが中心で、大人しく飲んでましたよ?八兵衛なんてとんでもない。

 一行と別れ、ゆりかもめ→東京モノレールで羽田に赴く。この後は、2025時発のJAL機にって福岡に帰ることになる。さて、モノレールはガタゴトと羽田空港へと向かう。知ってると思うんだけど、この羽田空港、第2ターミナルの完成で、使う航空会社によって、行くターミナルが異なる。ハチの乗るJALの場合は、第1ターミナル。東京モノレールも、第1第2とターミナルごとに駅が分かれてる。で、ターミナル間は地下通路で連絡されている。で、何故にこんな話をするかというとだねぇ…

 ほろ酔い気分で、東京モノレールの車窓を眺めつつ、羽田への岐路に着くハチ。やがて、羽田空港第1ターミナル駅到着のアナウンスと共に、ドアが開いた。さて出ようかね、と電車から出ようとしたら…はぅぅああぁぁぁ!!

 しまった!キップを窓際に置きっぱなしだったぁぁぁ!!過ちに気付いたハチが、慌てて車内に戻り、切符を取って、ドアに戻るも既に遅し。ドアは無情にもプシュー…と音を立て、閉まってしまったのであった。ぬぁあああ……しかもその瞬間、降ります降ります降りますぅぅぅぅ!!などと絶叫。この後第2ターミナルからANAに乗るであろう、乗客数名に笑われてしまったではないか。ぬぉおおおお……

 仕方ないので、終点の第2ターミナル駅まで乗る。さて、どうしたものか?第1ターミナルまで乗るもの考えたが、電車賃が勿体無いので、地下連絡通路を通ることにした。どれだけ歩けばいいのやら…と思っていたが、動く歩道があったので、1分足らずで、楽々と到着。

 以後は、特に山場も無く、飛行機に乗って福岡に戻り、空港から地下鉄の駅で、Kらと解散となった。で、すっかりヘロヘロになりながら、地下鉄に乗り込むハチ。意識モウロウとなりながら、電車を降り改札に。切符を入れ……無い!

 何たることか!どっかで切符を落としたらしい。普段、バスも電車も定期で済ませてしまうハチは、切符を買う機会は年に数えるほどしかなく…って言い訳も空しい。幸い、駅員様のご厚意にてその場は無難に切り抜けた。やれやれ…最後の最後にこんなオチが待ってるとはねぇ。

 今回の遠征での最大の収穫は、と聞かれたら、以下の一言を挙げたい。いや、最後にあんなオチを持ってこられたら、挙げないとイカンだろう。

 ――我がネタまみれの珍生とは、どうあっても一生付き合わねばならぬらしい

 疲れた……帰宅後は風呂に入り、ビールも飲まずに、可及的速やかに寝たそうだ。
 


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