川口デニム探検隊特別編
恐怖!ブリガンデス城に謎の全裸男を見た?!
フィダック城占拠より1月後、フィダック城
デニム「いや、駄目だ。うかつに手は出せないんだ」
幹部 「しかし…」
兵士 「大変です!ブリガンデス城の守備兵が、人質を取り立て篭もりました!奴等は、バクラムへの降伏を要求しておりますっ!」
幹部 「何だと?!愚かな、今までの戦いを何とする!」
デニム「…フィラーハ教団のテコ入れだろう。クソ姉…、王女の出現は戦乱に疲れた人々にとっては、救世主の再臨と同じ事。ましてや亡きドルガルア王は、熱心なフィラーハ教信者だったからね。王のように『民族融和』をスローガンに、戦争放棄を訴えることは当然だ」
幹部 「では、いかがなされますか?」
デニム「……」
考え込むデニム
デニム「……よし、教団の指導者に会いに行く」
幹部 「お、お待ち下さいっ!閣下に万が一のことがあっては…」
デニム「力で対抗したのでは、司祭と同じだよ。大丈夫、僕一人で行けばきっと話を聞いてくれるよ」
ブリガンデス城
教団兵士A「止まれっ!何の用だ?信徒以外の立ち入りは、禁止されている」
デニム 「僕の顔を忘れたか?僕は教団の指導者に会いに来た」
教団兵士A「何ィ?怪しいヤツめ!」
教団兵士B「ま、待て!この方はゴリアテのデニム様だ」
教団兵士A「何だとォ?!」
デニム 「このとおり丸腰だ。君達に危害を加えるつもりはない」
教団兵士A「我々を騙すつもりだな?その手には乗らないぞ!」
教団兵士B「止めないか!デニム様はウソをつくようなお方では無い!」
教団兵士A「何を言ってる?見てみろ、奴は厚着じゃないか。きっとあのコートの中に武器を隠し持ってるんだぜ!」
デニム 「そ、それは雪降ってるし、寒いし…」
教団兵士B「ふむ…言われてみればありえる話だ」
デニム 「仕方ない…」
コートを脱ぎ捨てるデニム
デニム 「どうだ、何も隠し持ってないだろ?」
教団兵士A「いいや、オレは騙されないぞ!コートはきっと囮だ。その上着に何か隠し持ってるに違いない!」
教団兵士B「ふむふむ、なるほどなぁ…」
デニム 「………」
無言で上半身裸になるデニム
デニム 「こ、これで気が済んだろ?!僕は何も隠し持ってやしないんだ!さ、寒い……」
教団兵士A「そうやって丸腰に見せかけても、オレは騙されないぜ!」
デニム 「ま、まだ何かあるの〜〜」
教団兵士A「そのブカブカのズボンだ!その中には武器でも何でも隠し持てるぞ!」
教団兵士B「なるほど。お前、頭いいなぁ」
デニム 「(こ、こいつら…)畜生!こうなったらヤケだぁぁぁ!!!」
ブリガンデスの大雪原にて、ついに全裸となったデニム
デニム 「こ、これでわかっ…クシュン!…たろ?僕は危害を加える意…ハックション!…志はな…ハ〜クション!」
教団兵士AB「こんな寒い中に素っ裸だぜ。こいつ変態じゃん」
デニム 「こ、この野郎〜〜!!!」
城の中から若い女性が登場
若い女性「おやめなさ……あっ」
デニム 「あ、あの…そ、そ、その……(動揺)」
若い女性「あ、あの…(赤面)ま、まず『剣』を…おさめてください」
デニム 「あ、あ…う、うん……」
服を着るデニム
若い女性「失礼いたしました。私は教団の僧侶で、オリビアと申します。わが教団の指導者、プランシー様が貴方様にお会いするそうです」
デニム 「オリビア?!君、オリビア・フォリナーかい?」
オリビア「は、はい…」
デニム 「僕だよ、デニム。昔、君とよく遊んでたデニム、覚えてる?」
オリビア「え、ええ…」
デニム 「懐かしいなぁ…あの時はよく君と遊んだよなぁ」
オリビア「……(ぽっ)」
デニム 「こんな事があったっけ。ある日、水辺で遊んでて、オリビアが僕を蹴飛ばして、水の中に落としたよね」
オリビア「……」
デニム 「溺れた僕を助けるどころか、苦しんでる僕をニヤニヤして見てたよね。そうしてる内に、姉さんと君の姉さん達がやって来て、みんなで僕を嬉しそうに眺めてたよね。そうそう、何とか這いあがってきた僕の手を、君はカチュア姉さんと一緒に、踏みつけてたなぁ…確か、君が右手で姉さんが左手。そういえば姉さんが、保険金が何とかって言ってたんだけど、何だったんだろ?」
オリビア「……人違いです」
デニム 「えっ?!で、でも…」
オリビア「人違いです!」
デニム 「あ、でも、父さんが何とかって…」
オリビア「この城の中には、教団の僧侶と信者しかおりません。貴方様に危害を加えるような者はいないのです。どうか、このままお引とりください」
かくして、昔の幼馴染のオリビアと再開したデニムであった。教団を味方につけ、内戦は新たな局面を迎えようとしていた。果たしてデニム率いる解放軍の運命や如何に?!次回、川口デニム探検隊特別編は「恐怖!バンハムーバ神殿に謎の魔道師を見た?!」をお送りします。お楽しみに。