久石譲全曲解説PROJECT
 ENCORE

 
久石さんが自分の楽曲をセルフカバーしたピアノソロアルバム。
初心に返る目的で作られたこのアルバムには、久石さんの魅力が凝縮されている。
Written by やす
 
 S u m m e r

映画「菊次郎の夏」のメインテーマのピアノソロアレンジ。トヨタ・カローラで一躍脚光を浴びた曲でもあります。「ENCORE」の楽譜の冒頭に直筆譜があります。また、CDを買うと楽譜が付いてきます。駆け抜けるメロディー、軽やかな伴奏。実は「Silent Love」のメロディーが入っているのは秘密です(爆)。日本の夏、暑いときにはSummerを聞いて涼みましょう。

<演奏のポイント>
サビの左手のアルペジオはオクターブが多いが、スラーとスタッカートの複合が難しい。
CDを聞いてイメージでやるのが一番だろう。ペダルはこの部分はなしで。「C」から「D」のところがこの曲で難しいところだが、落ち着いて弾けば大丈夫。特に「D」の左手アルペジオ、和音は覚えてしまおう。「E」まで来ると疲れてきてしまうかもしてないが、スタッカートを忘れずに。「F」は勢いで最後まで行きましょう。


作曲 編曲 演奏 久石 譲
収録時間 2分34秒

Written by やす

 
 
  H a t s u k o i
田中麗奈主演の映画よりメインテーマです。ファンの中ではこの曲が一押しの人も少なくない名曲です。この曲は、クラシック色が濃い作品です。モーツアルトのような軽やかさをお楽しみください。

<演奏のポイント>
書いたとおり、クラシックの弾き方でいきましょう。決してジャズではだめです。「B」の部分が特に難しいと思いますが、これは慣れしかありません。「A」と「D」の転調部分は、特に力まず勢いで。。。「E」は不協和音を大切に。決して間違いではありません。手が交差しますが、特に気にするほどではないと思います。最後は消えるように。

作曲 編曲 演奏 久石 譲
収録時間 3分19秒

Written by やす

 
 
 One Summer's Day
アカデミー賞長編アニメ部門でグランプリを獲得した作品のメインテーマ。「あの夏へ」です。「千ちひ」の世界観をよく表している名曲です。原曲はイメージアルバムの「あの日の川へ」。木村弓さんの歌った「いのちの名前」も同じメロディーです。久石譲特有の和音の連続で始まるこの曲。この4つの和音は観客をひきつける魅力を秘めています。そして和音。。。そして静かにメロディーが流れます。編曲は「SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001」と同じ。中盤はハクが飛んでいくシーン、などで使われているものです。そして終盤。車で神様の国の入り口へと向かいます。4分半のドラマ、じっくりとお楽しみください。

<演奏のポイント>
最初の和音は丁寧に弾きましょう。テンポは序盤は「SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001」くらいで弾くとより味が出ると思います。「G」と「H」はむしろ「ENCORE」のCDよりも早く弾いてもいいと思います。手がついてくればですが。pからfまで表情豊かな曲です。最初は穏やかに、最後は激しく弾ければいいと思います。

作曲 編曲 演奏 久石 譲
収録時間 4分33秒

Written by やす

 
 
 The Sixth Station
アカデミー賞長編アニメ部門でグランプリを獲得した作品から「6番目の駅」です。この曲は千が銭婆のところへ向かう電車の中で流れていて、とても印象的です。原曲はイメージアルバムの「海」。宮崎監督が真っ先に気に入った曲であるのは説明するまでもないと思います。複雑なアルペジオ、そして神秘的なメロディー。ピアノだからこそ出せる魅力が満点です。

<演奏のポイント>
なんといっても左手アルペジオ。全編にわたり使われているこのアルペジオをどう弾くかでしょう。神秘的な雰囲気が出せれば最高です。それに加え「B」でみられる和音も丁寧に弾きましょう。「C」は決して強くなく、はっきりと。「E」の中盤。右手ソロ。劇中でも出てくるピアノソロです。ここは久石譲になりきってください。そして静かに終わりましょう。

作曲 編曲 演奏 久石 譲
収録時間 3分51秒

Written by やす

 
 
 Labyrinth of Eden
アルバム「地上の楽園」の11曲目。ボーナストラックを除くと実質最後に位置している曲です。半音ずつずれるコード、それにかぶさるメロディー。シンプルになっても薄れることのない存在感は、久石譲だからこそなせる業。さあ、楽園を探しに出かけましょう。

<演奏のポイント>
複雑な和音もところどころに散りばめられている、比較的難しめの曲だと思います。
ただ、半音のずれを感じて弾くと、案外気持ちよくいきます。
最後は書いてある通りIn Tempoで、さらっと終わってしまいましょう。
音量の変化に敏感になってください。

作曲 編曲 演奏 久石 譲
収録時間 3分36秒

Written by やす

 
 
 Ballade
北野武監督の映画より、クールで激しい大人な1曲です。ストリングス、クラシックの似合う作品の多い北野武監督のなかでも、一際JAZZの雰囲気を出している曲。アルペジオ、和音に始まる久石ミュージック。中盤メロディーが上がっていき下がってくるのも久石譲の特徴でもあります。終盤盛り上がっていくのですが、最後は静かに和音で締めくくられます。

<演奏のポイント>
弾き方もJAZZにしてみましょう。クラシックより似合います。北野武監督の作品は、メロディーを繰り返すのがひとつの特徴でもありますが、この曲もそうです。同じメロディーが、伴奏が変わることで雰囲気もだんだんと変わってくるのを感じてみましょう。「E」の左手は覚えてしまいましょう。「F」は勢いで。指番号はある程度振っておいたほうがやりやすいかと思います。CDを聞いて、足りない音は適当に足しておくのがいいと思います。また、CDにない音が書かれてもいますが、それも弾いたほうがいいでしょう。

作曲 編曲 演奏 久石 譲
収録時間 4分21秒

Written by やす

 
 
 Silencio d e Parc Guell
本当はGuellのuの上に¨が入るんですけどね。。。このアルバムで一番の癒し系音楽といってもいいでしょう(久石さんはあまりこういういいかた好きじゃないみたいですけど)。
淡々と進んでいく音楽は、様々に形を変えながら、最後まで進んでいきます。最初から最後まで、曲の雰囲気が変わらないのが特徴でしょうか。久石さんの特徴である澄み切ったメロディー、メロディーの邪魔をせずに支える和音。シンプルながら、ピアノの美しさを最大限に引き出した作品といえるでしょう。

<演奏のポイント>
和音を丁寧に弾きましょう。「A」から「A'」へ。そして形を変えて「B」となります。「C」の中盤、メロディーが駆け上がります。あせらず丁寧に。rit.かけたほうがいいかしれないです。全体的に落ち着いた雰囲気を保ちつつ、内面では激しく情熱をもって弾けたらいいですね。

作曲 編曲 演奏 久石 譲
収録時間 2分35秒

Written by やす

 
 
 HANA-BI
北野武監督の同名の映画よりメインテーマです。出ては消える花火。また、手に持ってずっと出続ける花火。どちらにもぴったりと会うメロディーに脱帽。メロディーがシンプルに始まり、簡単な伴奏がつく。音が増えたかと思うと、今度は下がって低いメロディー。
中間部を過ぎると、メロディーは上がり、伴奏は下がっていく印象的なところに突入。最後まで激しさは変わらない。コンサートでもおなじみの1曲です。

<演奏のポイント>
ペダルの使い方に気を配りたい。メロディーがつぶれず、伴奏もメロディーであるかのように弾きたいところだ。「B」のところ、左手はチェロのイメージ。右手はやさしく援護してあげよう。「C」から「D」へ向かう5/4拍子は書いてある通りpからはじめたい。「D」の一番最初はfになっているが、ffのつもりで。そして左手が下がるのを引き立てるようペダルに工夫が必要かもしれない。「F」に入ってもあまり音量を落とす必要は無い。アクセントに気をつけよう。最後の和音のアルペジオをつけるかどうかはお好みで。

作曲 編曲 演奏 久石 譲
収録時間 3分28秒

Written by やす

 
 
 Ashitaka and San
宮崎駿監督の一大叙事詩、もののけ姫より、緑蘇る場面の音楽。この曲の元になる宮崎監督の詩がないのは有名な話。それだけ久石譲の思いも一入かもしれない。このアルバムを含めると、実に5つのヴァージョンが世に出回っているのから。アルペジオに始まり、この曲全体を通してひとつのキーである和音で終わる。全体として穏やかだが、内には喜びがにじみ出ている。

<演奏のポイント>
なんと言ってもアルペジオ。最初から最後まで下で支え続けるのだから。「B」後半はかかれていないがクレッシェンド。だが、「D」に向けてのデクレッシェンドは必要ないだろう。オーケストラの雰囲気が出せれば完璧。「E」はpoco a poco decrescendo があれば、いいと思う。最終的にppになるくらいがベストか。

作曲 編曲 演奏 久石 譲
収録時間 3分58秒

Written by やす

 
 
 la pioggia
澤井信一郎監督の作品より、メインテーマ。最初のオクターブアルペジオは雨がしたたるのをイメージしたそうです。穏やかなメロディーが静かに流れて、最初はアルペジオ、二度目には同じことは繰り返さない。和音が続いていきます。しかし、強くなくあくまでも穏やか。中盤、やや早めのパッセージ、しかし、これも穏やか。最後にはまた雨がしたたり、神秘的雰囲気をもちながら静かに終わります。

<演奏のポイント>
最初の雨は静かに。音量の変化に敏感になってください。「C」、「F」の後半、pの部分、神秘的な響きを感じてください。「D」のところはテンポを揺らして弾きやすくしていってもいいですよ。「G」の雨に、前の小節の低音のオクターブをかぶせてもいいと思います。「H」のところはためて弾いたほうがいいですよ。最後はデクレッシェンドしていって静かにフィニッシュです。

作曲 編曲 演奏 久石 譲
収録時間 5分34秒

Written by やす

 
 
 Friends
名盤のひとつといわれている「Piano Stories U」より、ピアノ曲の名曲の登場です。4つの和音で始まるこの曲は、友との別れをイメージしたのでしょうか。それとも、出会いのうれしさでしょうか?どちらにとってもしっくりくるメロディーは、ラストに位置した理由がわかる気がします。久石譲の魅力がこれほど出ている作品は他にはないのではないでしょうか?名曲といわれる理由は聞けばわかります。

<演奏のポイント>
CDでは、どちらかというと友との別れ風の演奏になっているが、これにこだわることはない。最初の和音で雰囲気をつくろう。腕に自身があるなら、出会いのうれしさ風の演奏をおすすめする。自然とテンポがはやい解釈になるのだ。「D」のインテンポは正確に。ソフトペダルの使用が書かれているが、無理する必要は無い。ただ、余裕があれば踏んだほうがよい。わずか1小節でpからfへと変身し、激しいパッセージへといく。テンポを崩さず、落ち着いて弾きたい。CDに比べて音が少ない部分は足して、逆に余分なところは引いてもよいだろう。「G」の後半は書かれていないがインテンポがいいだろう。最後「H」はデクレッシェンドをかけていってもいいが、お好みでどうぞ。

作曲 編曲 演奏 久石 譲
収録時間 3分46秒

Written by やす

 
※ラッパ吹きさんより歌詞をいただきました。(2004/8/12)  
 
  *過ぎ去った日々もいつか 時の中に埋もれて
   やがては忘れられてくときを思い出すことなく

   2人眺めた夕陽もいつのまにかうすれて
   過ぎ行く時間の中で 君は何を見ていたのか
   
   君は今どこで何をしているのか 君は僕のこと覚えてるか    
   最後に言ったあの言葉を
   
   君と過ごした日々を忘れても 君を忘れない
   君も僕のこと思い出してくれると信じて

   あの時言えなかった言葉も今でなら 言えるから
   君とまた会えるときを 僕はいつも信じてる

   *repeat
  
   君にもらった手紙を もう一度取り出す
   偶然もしも会えたら 君も僕を思い出すと
   僕は信じてる
 
 

Written by ラッパ吹き

 
 
All song composed by JOE HISAISHI
Piano JOE HISAISHI
Produced by JOE HISAISHI and MASAYOSHI OKAWA
Directed by Akira Watanabe (FUJIPACIFIC INC.)
Recoreding Engineer Masayoshi Okawa
Suminobu Hamada
Hiroyuki Akita(Wonder Station)
Mastering engineer Shigeki Fujino(Universal Recording Studios)
Piano Techician Masanori Hanaoka(YAMAHA CORPORATION)
Recording System Planning & Equipment Masamichi Ohashi(N.S.S.)
Production Manager Masaski Sekijima(Wonder City)
Artist Manager Ikuko Okamoto(Wonder City)
Recording at Tokyo Opera City Oct.12, Dec. 27/28 2001 and Jan 8 2002
Kouta Kikuchi(Tokyo Opera City)
Mixed at Wonder Station・Tokyo Japan  
A&R Supervisors Ken Sugaya(Universal Polydor)
Akira Watanabe(Fujipacific Music Inc.)
Ayame Fujisawa(Wonder City.)
A&R Masanori Kato and Makoto Endo(Universal Polydor / Polydor)
Marketing planner Katsuyasu Kinase (Universal Music)
Art direction & Design Ryoji Ohya (Z&Z.)
Photograph Takeshi Hanzawa (Cube)
Stylist Remi Ushiki
Artwork coordinator Yumi Haga (Universal Music)
YAMAHA CF III S Provided by YAMAHA CORPORATION
Akira Nishino(YAMAHA CORPORATION)
Osamu Nakamura (Yamaha Music Tokyo)
Exective Producer Kei Ishizaka (Universal Music)
Ichiro Asatsuma(Fujipacific Music Inc.)
Mamoru Fijisawa (Wonder City)
2002年3月6日発売 UPCH-1142
11 TRACKS
TOTAL PLAYNIG TIME 41MINUTES 35 SECONDS
 

Written by やす、ラッパ吹きat 2003.6.22 最終改訂2003.6.22 無断転載を禁じます。
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