PART 2
さて、PART 2 では、
司法試験における典型的な相談を通して
「どのようにカウンセリングすればいいか」について
考えていきたいと思います。
なお、僕はカウンセリングについては少し聞いたことがあるだけで、
社会福祉の専門家でもなんでもないので、
そんなに信頼の置けるものではないことを、
お断りしておきます。
【ケース1】
A:「どうしよう」
B:「何が?」
A:「あさって答練やけど、まったく勉強が進んでいないよ。」
B:「どのくらい進んでへんの?」
A:「あとテキスト400ページ中200ページ残ってる。」
さて、あなたがBさんなら、Aさんにどのように答えますか。
以下の三つの選択肢の中から選んでください。
1.「そっか、200ページも残ってたら、あせるよね。」
2.「それやったら、話してる場合とちゃうやん。はよ勉強し。」
3.「私もあと150ページぐらい残してるよ」
さて、どれを選ばれたでしょうか。
実際どれが最もよくいわれるか、といえば、
3.でしょうね。
ただ、3.は必ずしも
Aさんの意図に沿った答えではないのです。
Aさんはあくまで
自分が200ページできていないという不安を
分かってほしいと思っています。
でも、Bさんの答えは「自分もできていない」ことを
いうのみですから、
Aさんの不安だ、という感情を受けとめるには、
やや弱いかな、という感じもします。
としても、2.の答えよりも、
よっぽどいいと思います。
2.の答えは正論です。
その通りです。
でも、それができないから悩んでいるのです。
不安になっているのです。
にもかかわらず、2.の答えは
「勉強しろ」という価値観をAさんに押し付けるにすぎず、、
Aさんの不安に対する理解を示していません。
Aさんの意図する答えではないことは
明らかです。
2.の答えは、典型的な審判(ジャッジメント)にあたるものです。
このような答えをすると、相談者の気持ちに共感するという
カウンセリングの原則に反してしまいます。
これを言われると、Aさんは黙ってしまうか、
「分かった、勉強する」というしか
なくなってしまうでしょうね。
というわけで、僕は1.がいいのではないか、と思います。
この発言が最もAさんの感情に対する理解が示せているからです。
共感の姿勢が示せているからです。
もっとも、聞き手であるBさんも受験生なので、
自分のこともいいたいでしょう。
その場合は、1.を言ったあと、3.を言えばいいのです。
Aさんの気持ちに共感したあと、
自分も同じ悩みがある、ということを言うのですから、
お互いに不安を分かち合うことができ、
気持ちが楽になれると思うのです。
では1.→3.と答えた場合に、
どのような会話の流れになるか
シュミレートしてみます。
A:「あとテキスト400ページ中200ページ残ってる。」
B:「そっか、200ページも残ってたら、あせるよね。」
A:「でしょ、あせるでしょ。もう、むっちゃやばい」
B:「そうだね、あせるよね。
私もあと150ページぐらい残してるよ」
A:「そっか、Bさんもまだ終わってないんだ。」
B:「そうだよ、終わってないよ」
A:「・・・・・・」
B:「・・・・・・」
A:「頑張るしかないよね。」
B:「そうだね、頑張ろう」
A:「うん、頑張って終わらせよう。」
という流れになると思います。
結局勉強すべき、という結論には変わりはないです。
ただその結論を、AさんがBさんと共に考えながら、
自分で見つけているのが、
大きいのです。
Aさんは自分で勉強する、という気持ちを持てるようになったので、
また、Bさんに自分の感情を分かってもらうことによって
気持ちが楽になったので、
きっとあさってまでに200ページできるようになると思います。
このように、
「どのようにカウンセリングすればいいか」については、
具体的には、Bさんのような回答を行えばいいのだと
思います。
要は、自分の答えを一方的に押し付けることなく
相手の感情を受けとめていく、という姿勢です。
また、他にこのような悩みに対しては、
どのようにカウンセリングすればいいのか、
という具体例が思いつけば、
PART 3 以下で検討してみたいと思います。
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