特別資料 刑事訴訟法の特徴と対策

1.刑事訴訟法の特徴

○刑事訴訟=刑罰権の実現を図るための手続
→真実を発見し、適切に処罰する必要
 しかし、刑罰は人権侵害の最たるもの
→誤判防止の要請が大きい(99:1のたとえ)+行きすぎた刑罰権、国家権力の行使を防ぐべき
 それゆえ、憲法上人身の自由として被疑者、被告人の人権が保障、また適正手続が要請
 この真実発見と人権保障の調和が、刑事訴訟法ではもっとも重要。裏返せば、この視点から答案が書ける場合が多い。

○当事者主義
 しかし、被告人、被疑者側の権利が重視されている。(黙秘権など)
 強大な国家権力と一市民とでは、力量が大きすぎるから。

○民事訴訟法との最大の違いは、有罪判決を下すために必要とされることが厳しいこと。
 適切な証拠調べを得た、証拠能力を有する証拠によって証明すべきであり、かつ合理的な疑いを超える程度の立証が必要とされること。
 また、挙証責任は検察官側。
 (なぜ?考えて見るとよいと思う。)

○捜査手続がある(民訴にはない)
 犯人の身柄確保、証拠の保全・発見を目的とする。
 ここでも真実発見(証拠がなければ有罪とできない)と、人権保障(プライバシー権等が害される)がぶつかり合う。

○刑事訴訟法の基本原則(私見)

@ 真実発見の要請(1条)
A 人権保障、およびそれを達成するための適正手続(憲法31条、法1条)
B 当事者主義(256条3項・6項、298条1項、312条1項)
C 公平な裁判所(憲法37条1項)
D 迅速な裁判(憲法37条1項、法1条)
E 公判中心主義


2.刑事訴訟法の本試験の傾向

・基本的な事項を聞く問題が必ず一問は出る。
(H9年第1・2問、H10年第1問、H11年第1問)

・最新判例、重要判例(最高裁、下級審問わず)を素材とした問題が出題されやすい。
(H9年第1問、H10年第1問、H11年第2問)

・事例問題が必ず一問は出題され、あてはめ能力が問われる。
(H9年第1問、H10年第1問、H11年第1問)

・予備校の予想答練やコンパクトなテキストにのっていない難問も、たまに出題される。
(H7年第2問、H8年第2問、H11年第2問)

・本試験のレベルはすさまじく低い。
 基本的な条文を挙げられない受験生は本当にいる。当たり前のことが書けなくても、今のAを取っている答案もある。
 基本をしっかり丁寧に、当たり前の事を書いたら、間違いなくA。
 特に、来年から6科目必修→6番目の科目となり、手が回らない受験生続出で、さらにレベルが落ちることが予想される。

・自滅しやすい科目
 問題が基本的、かつヤマが当たりやすい。
→知識があると、「あれも、これも」とたくさん書いてしまいやすい。
その結果、ごちゃごちゃしてわかりにくい答案になり、自滅する受験生が多いのではないか。

・2日目の3科目め(1日3科目×2)。さらに最後の科目
→集中力が切れやすい状況。
 集中力対策を絶対に考えておくべき(6科目直前模試など)

3.刑事訴訟法の対策

@答案を検討する勉強を取り入れる
 本試験は基本的な問題で、用意した答案が当たる事も多い。
また、刑事訴訟法は独特の答案の流し方やあてはめなどがあるので、基本書を読むだけでは答案は書きにくい科目。

A具体的にイメージしながら勉強する姿勢
 どのように「真実発見」が重視されるのか、どのような「人権」を保障すべきか、
具体的に考察すると、イメージが持て理解が深まる。答案の論証も説得力が増す。

B判例学習の姿勢(重要判例であれば下級審も)。
 刑訴では、判例学習においては「問題の所在」が最も重要。
(憲法と同じく英米法系の法律だから)
 「この事案では一体何が問題となっているのか」
 「なぜ、それが問題となるのか」このことを意識して学習するとよい。
 次に判旨の流れが重要。判例はどのような事を考慮し、どのように考えているかを理解する。問題によってはその理解通りに書く事ができる。
 余裕があれば判旨を覚えるとよい。(判例が答案上正確に挙げられなくても、それだけでは絶対に落ちない)

C当たり前の事を、わかりやすく表現する練習
 普通に書けばA評価。ごちゃごちゃした答案にならないためにも、答案構成の段階で情報を整理し、わかりやすく表現する練習が必要。

Dあてはめの練習
 事実→評価→結論という姿勢。
(「例えば、窃盗と殺人→保護法益、行為態様が異なる→両者の間に関連性があるとは言えない」)
 評価の部分は現場思考によらざるを得ない。
→あてはめのいい答案を読んだり、自分で考える機会を増やして練習するなどの方法で、現場思考の力を上げるべき

E全体をたくさん回す。
 細かいところは出題されない→基本的な事項を穴をつくらずに押さえる。
そのためには、何回も回していく姿勢が重要。また、全体像もつかめるようになってくる。
(難問は誰も知らないので、わかりやすく自分の考えを表現できればよい。)

F勉強時間、勉強量の確保
 勉強すればレベルが低いので高得点が期待できる
 12月や論文直前期に、いかに勉強時間、勉強量を確保できるように計画し、実践できるか、が勝負となる。

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