特別資料 民法の対策と答案作成方法

一、事例問題(第1問)

 1.対策
○論点知識だけでは解けない。事案分析能力が必要。
→問題演習(答案構成等)を必ず行うべし。
 予備校の事例は簡単すぎて事案分析の練習にならない
→ぜひ過去問の答案構成、または答案作成を行うこと。(出来れば今のうち、無理なら論文直前期にでも)
 予備校が出している過去問の答案構成例・解答例にとらわれることなく、自分なりに考えて、分かりやすく構成するのがポイント。
 ゼミなどを組んで検討するのも有益と思われる。
○要件、効果を把握していれば、ある程度解ける(刑法の構成要件と同じ)
→広く民法全般についての要件、効果(および、それらを導く制度趣旨)を押さえていくこと。論点の前段階が重要。

 2.答案作成方法
○民法の事例問題で問われていることは、具体的な事案解決
=当事者間の請求権の存否の確定
+物権(所有権・抵当権)の所在
→これに基づいた答案を作成していけばいい。
 具体的には、当事者の立場であったら考えそうな請求権
(契約上の債権、不法行為に基づく請求権、物権的請求権、権利外観法理に基づく債権、等)を考える。
 その上で、その請求権の存否を問題とすることを答案の冒頭で示して、あとは当該事例においてその要件を満たすか、効果が認められるか、を順に論じて行けばよい。
 このように、請求権の存否を中心に答案構成することによって、どんな長文、難問でも、怖くはなくなる。
(刑法でも行為ごとに罪責を確定させていけばいいのと同じ。)
 そして、その要件・効果の検討において、はじめて論点を展開するのである。(論証部分は必然的に短くなる。それでいい。)
○客体ごとに分析する姿勢
 民法の事例では、様々な客体が登場する。これらをひとくくりにするのではなく、別個に分けて検討するのが、事案分析の姿勢を示すことができ、また分かりやすい答案につながる。

二、一行問題

 1.対策
 大きく分けて民法の一行問題は二種類あると思われる。
 @マイナーな制度の基礎知識、理解を問う問題[EX.H9A、H10A]
 A民法の本質、論理的思考力を問う問題[EX.H7A(自己責任と代位責任の接近化)、H11A(意思主義の修正)]
 このように大きく異なる。ただ、
*事前に準備することはほぼ不可能
*受験生の答案は非常にレベルが低く、守れば勝つ
点では共通。

→@の問題の対策として、
 広く民法上の制度の内容、趣旨、要件、効果を押さえておくことが挙げられる。これさえ押さえておけば、基本事項についてミスなく書けるので、たとえ問題文中の論点を知らなくても(たぶんほとんどの人が知らない)、落ちることはない。
 択一の勉強の際に、条文、判例に加え、趣旨(なぜそのような制度があるのか)、要件、効果(大雑把でもよい)を押さえていく+論文直前期にもそれを見るのが効果的と思われる。

→Aの問題の対策として、
 基本書を読む必要があるのかな?(他に対策が思いつかない)
 内田民法3冊を、うまく情報を取捨選択して(自説やわけわからんところは飛ばす)読むと、そんなに時間はかからないのでは。
 あと、民法解釈学の大きな流れをつかんでおくのも有益と思われる。
(意思主義→取引の安全重視、所有権絶対→弱者救済・公益目的のための修正、契約自由→弱者救済のための修正、物権と債権の明確な区別→賃借人保護のため賃借権の物権化、過失責任主義→被害者保護のための修正、債務不履行と不法行為の峻別→契約責任の拡大、など)

2.答案作成方法
○・問いに答える姿勢(EX.H11A)
 ・情報を整理してわかりやすく表現する姿勢(EX H10A)
 ・基本的事項(定義、趣旨)を丁寧に示して行く姿勢
を、意識する。
その上で、守りの答案に徹すればいい。
完璧な答えを書くことは不可能→ある程度の考えで十分
ミスしなければ、絶対に相対的に上位に来る。
○答案練習の機会がほとんどない(一行問題を作るのは至難のわざ)
→なるべくイメージトレーニングを行なっておく、近時の一行問題でもいいから解く、といった対策が必要かも。

三、その他の注意点

1.民法の基礎は総則ではなく債権各論。
 また、事例では人と人との請求権の存否が聞かれるから、契約、不法行為がわかっていないと解けるはずがない。
→債権各論に重きを置いた学習を心がけること(次に債権総論)。
2.論点に深入りしない。
 理由付けは判例・通説の1〜2個押さえておけば十分。
(ブロックカードは明らかに長すぎる。書きすぎの弊害につながりかねない)
 むしろ、軽視しがちな問題の所在を意識しておく(どの要件に関する解釈上の問題なのか、なぜそれが問題となるのか)。
そうすると、要件検討の中でその問題意識、思考過程を答案上示すことができ、流れがよくなる。
3.広く浅く学習する姿勢
 民法は全体がわからないと力がつかない。全体が把握出来て、答案構成の練習が出来るようになって、急速に力が上がってくる。
→一つの分野に深入りするのは禁物(特に総則で)
 何度も全体を回すのがコツ。
4.ヤマは当らないと思っていい。当っても、論証では差がつかない
→直前答練の意味はほとんどない。
 直前期は、民法の答案の書き方をつかむため、過去問を書くのも有益と思われる。
5.予備校、答練の問題と本試験の問題とのギャップが最も激しい科目
このことを念頭において置くべき(復習等に時間をかけ過ぎない)

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