目的意識論(勉強法総論)


PART 3

PART 2で言い忘れましたが、
まず、自分の課題は一つとは限りません。
たくさんあるのが普通だと思います。

ただ、その課題の中でも、
何が最も克服すべき課題なのか、
その優先順位をつけておくのが有益です。
最も克服すべき課題を、勉強の最大の目的とするからです。

また、自己評価は、別に自分でやらなければいけない、
というわけではありません。
他人にやってもらっても全然いいです。

例えば、合格者や実力者のところに
自分の書いた答案6通ぐらいと
択一模試一回分の正誤表を持っていって、
「自分では、ここが足りないと思うのですが、どう思いますか。」と
聞いてみることも、一つの方法です。

しかし、伸び悩んでいる人に限って、
あまりそういうことは頼まないものです。
実力が知られるのが恥ずかしいからか
(合格者も実力がない時代はあったのですから
そう思うのは考えすぎなんですけどね。)
いろいろ言われて傷つくのがいやなのか、プライドが高いのか、
そこらへんはわかりませんが。
まあ僕もあんまし聞けなかった方なので、人のことは言えませんね。

去年僕のところに答案を持ってきて
評価してほしいといった方は三人います。
いずれも僕より年上で、
僕を差し置いて受かっても全然おかしくなかった
実力の持ち主の方ばかりです。
正直なところ、かなり抵抗があったでしょう。

しかし、そんな方でも、探せば大きな課題は
まだまだあるものなのです。

今年、その方たちが受かれば、
自己評価の重要性が、さらに確たるものになるでしょう。

話が大きくとんだので、元に戻して、
「目的意識に基づく勉強手段」とは、どういうことかについて
語っていきたいと思います。

この話は、
抽象的にいってもわかりにくいので、
いきなり具体例を示して語ります。

たとえば、今年初受験で択一に落ちた大学院一年生の人が
いたとします。
(予備校の2年コースは履修し終わっているものとします)
彼は、択一本試験の自己採点の結果、
民法で正答率の高い問題をいくつか落としており、
民法の基礎的知識が定着していないことが
自分の課題であると気づきました。

さて、彼は7月から10月までの間、
どういったことを目的として勉強を進めていけばいいでしょうか。

1、予備校の夏の論文答練についていく
2、予備校の夏の択一答練についていく
3、今しか出来ない商法、訴訟法の基礎を固めておく
4、憲民刑の論文対策をする
5、民法の基礎的知識を定着させる

正解は5、です。

3、4、は当面の課題ではないため、
この学生の中での優先順位は低いです。

課題を克服することが一番の合格への近道ですから、
まず、5、の目的をしっかり持って、
勉強手段を考えるべきなのです。

さて、1、2、と考えた方も、
もしかしたらおられるのではないでしょうか。

しかし、このような考え方は、
「勉強手段それ自体を勉強の目的にしない」
という、目的意識論の鉄則に反するものです。

どういうことかというと、
目的と手段を同一視して考えてしまうと、
勉強の効率は非常に落ちる、ということです。

たとえば、仮に1、予備校の夏の論文答練についていく、
という、勉強手段そのものを、この人の目的としたとします。

そうすれば、この人は、
「次週の答練を受けるため」に勉強しますよね。
当然憲法の回は憲法をやるわけです。
そして、どんだけ苦手な分野であっても、わからなくても、
一週間しかその分野は勉強しないことになります。
さらに言えば、ついていくことが目的ですから、
答練の復習よりも予習に重点が置かれてしまいます。

その結果、答練終了後には何が残るでしょうか。
各科目の基礎力は若干上がったとしても、
少なくても民法の基礎力向上、という自分の課題は克服できません。

なぜなら、民法が範囲だったときだけ、
民法の勉強をしたに過ぎないからです。

しかも、民法の基礎力向上、という課題を忘れ、
答案を受けることそれ自体を目的としているため、
答練にでそうな論点ばかり勉強して、
定義、趣旨、要件といった基礎的知識を勉強しないおそれが
極めて高いからです。

ここでいいたいのは、
「論文答練を受ける」という手段を批判することではないです。
「論文答練を受ける」というのは手段にすぎないのに、
それを勉強の目的にしてしまうのはまずい、ということです。

たとえば、「論文の構成力をつける」という目的をもって、
論文答練を受けるという手段をとるのであれば、
まだ構わないわけです。
構成力を高めるために、しっかり復習しますしね。

そういうわけで、まず
「勉強手段それ自体を勉強の目的にしない」という
目的意識論の鉄則を、頭に入れて置いてください。

なお、この発想は、試験以外の分野にもいえます。
(というより試験以外の分野の考え方を
司法試験向きにしたのがこの「目的意識論」です)

話を元に戻して、
実際のところ、先の大学院生のように
「民法の基礎的理解が足りない」と自己分析できているのに、
それでもなお「論文答練を受けるため」に論文答練を受ける、ということは
考え難いでしょう。

むしろ、「論文答練を受けるため」に論文答練を受ける人は、
どんな勉強をすればいいのかわからない
=自分にはどんな克服すべき課題があるのか
わからない、という人たちが多いでしょう。

課題がわからないから、まず自分の周りにある
予備校などの勉強手段から考えてしまって、
その勉強手段を実践することそのものが
目的となってしまうのだと思います。

というわけで、効率的な目的意識論を実践するためには、
徹底的な自己分析を行い、
自分の課題を見つけることが
前提条件として必要になるわけです。

では、「民法の基礎的理解を定着させる」という目的達成のためには、
どのような手段を選べばいいのでしょうか。
それについては、PART 4 で述べたいと思います。

(PART4の概略)

「いろいろな勉強手段を知ってないと、
選択の幅が狭く、目的達成のための合理的な手段を選びにくい

そこで、目的に沿った手段を選ぶためには、
前提としていろいろな勉強手段を知っておく必要
→方法論を学ぶ、合格体験記を数多く読む」


PART 4 へ

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