風が吹く丘

 

 

●アーティスト:椎名へきる

●タイアップ:なし

●発売元:ソニー

●発売日:1997/07/21

●クロレビ平均:8.10

●収録アルバム:「Baby blue eyes」

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●点数分布

   10 ***** 5

   09 **** 4

   08 *** 3

   07 **** 4

   06 **** 4

   05  0

   04  0

   03  0

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●ベスト枠コメント

<J-Wind>

 疾走感あふれるメロディは、まさに風の中を歩いているようで、聴いているだけでさわやかな、あたたかい気持ちにさせてくれます。構成も申し分なく、中でもキーボードソロからギターと共に加速していくイントロと、Bメロからサビへの盛り上げ方は絶品。最後のフェードアウトもちょうどいい長さで、何度もリピートしたくなる曲です。

 また、サウンドについても、盛り上がるところはしっかり盛り上がり、逆に抑えるところは抑えてという、完璧なバランスが取られています。なので、ハードなサウンドを好む方にも、ソフトなサウンドを好む方にも、自信を持っておすすめできると思います。

 メロディとしてはこんな感じで、僕としてはこれだけでも十分ベストソングに値するんですが、この曲をさらにすばらしいものにしているのが歌詞。別れた(おそらく別れを切り出された)恋人との思い出の場所で、その恋人に語りかけるような描き方をしているのですが、決して恨み言を述べるというようなものではなく、それさえも大切な思い出として、未来へ踏み出していこうという気持ちが伝わってきます。

 そんな想いが集約されているのが、僕の一番好きな歌詞でもある、

  『私の気持ちを 届けて風に乗せて もう私はきっと大丈夫だよ』

というところです。この『届けて風に乗せて』のところが、メロディと重なって本当に風に乗っているように聴こえてきて、遠くから『もう私はきっと大丈夫だよ』という声が聴こえてくるような、そんな気がしてきます。

 僕たちが生きる上でも、つらいこと、苦しいこと、たくさんあると思います。それをすべて忘れてしまおうとすれば、もしかしたら楽に生きられるかもしれません。しかし、それでは何も変わらないと思います。この歌の主人公のように、悲しみを受け止められる強さを持つことで、人間として成長して、その先の未来にたどり着けるのではないでしょうか。

 そして、もちろんレビューの評価基準には入れていませんが、この曲を語る上で、やはりライブを欠かすことはできません。この曲が流れ始めると、自然と心が躍り出し、時がたつにつれて「いつまでも終わらないでほしい」「永遠にこの時が続いてほしい」とさえ思えてきます。そう思えるほどの曲は、他にないですから。

 このように、メロディ・歌詞・ライブの3拍子がすべて揃った、僕にとってかけがえのない曲であり、この曲がなかったら今ここにいたかもわからないというほどです。なので、もしちょっとでも興味を持ったなら、ぜひ一度聴いてみてください。

<M>

 私がこの曲に出会ったのは1997年7月14日 ― 208回目の革命記念日のことであった。その革命の地に向かう機上にいた私は,出発前に知人から手渡された一本のカセットテープを聴いていた。そのテープにはCDから録音されたいくつかの曲に混じって,ひとつだけラジオからの録音があった。それがこの曲 ―風が吹く丘― である。

 ラジオからの録音である以上,イントロに冨永みーな氏の曲紹介が入っていたのは言うまでもない。かくして「きょうのオープニングナンバーはへき坊の新曲です…」という言葉は,あたかも曲の一部であるかのように記憶に留められることになった。

 帰国した私はドリカンを聴くようになり,「へき坊」の意味を知り,ライブにも参加するようになった。そこから今に至るまで,私の聴く音楽の中心にはいつもこの曲があった。言うなれば,「風が吹く丘」は,私にとってドリカンの世界への招待状であり,6年半の歳月を経た今もなお史上最高の名曲として君臨する素晴らしきパートナーなのである。

 この曲の魅力は,なんといっても完成されたメロディラインにある。それも,ただ「完成された」というのではない。一分の隙もないほど,細部に至るまで音の運びに気が配られているのだ。その流れは,吹き抜ける風のようであり,聴く者に爽快な気持ちを与えてくれる。

 このことは,前奏や間奏など,曲の枝葉末節に至るまで貫かれている。殊に前奏が素晴らしく,まず最初にキーボードが入り,やや遅れてドラムス,これに前後してギターが入り,段階を踏んで盛り上がっていくという構成は,自動車がシフトチェンジしながら一気に加速していく様子(キックダウン)を思わせる。曲の世界への導入という役割を,これほどまでにしっかりと果たしている前奏はなかなか見られるものではないだろう。

 「名曲」の条件は様々であり,その全てを完璧に満たす曲はおそらくないだろう。しかし,少なくとも,完成度という観点で考えたとき,この曲の右に出るものはないと私は思っている。ぜひ一度聴いて,その「風」を感じていただければ幸いである。

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●コメント

星美と愛花:9点

 全体的にさわやかな感じで、まさに大地と自然を曲で表していると思います。

くぎ:9点

 イントロから盛り上げることによって、曲のスケールを感じることができる。この部分だけでかなりハマった。全体的な構成としてAメロ、Bメロ、サビ、Cメロも流れが風のように自然。細かいところは、間奏においてバックサウンドはウネル風をイメージしたと思われるアクセント・引っかかったメロディーで複雑さを出したことにより12分な完成度を感じさせるBメロ。など作曲者の曲対する拘りを感じる。

みみっか:10点

 椎名へきるさんの曲では最大の名曲とも言える曲だと思います。不遇な立場でも現実を真正面から受け止める直向なメッセージを、ノリのいいリズムに乗せて、速度感のある展開は重さを感じさせません。そして、今聴いても飽きることはありません。

まさやん:9点

 離れた恋人を想う、けなげな少女が恋人との思い出の丘に向かって走っていくという風景が自然と想像してしまうほど、とてもロマンチックな曲です。この曲はサウンドが素晴らしく、特にイントロや後奏のサウンドは究極の出来です。また前向きな詞も大好きで「もう私はきっと大丈夫だよ」の歌詞にはどこか安心感がありますね。何となく素敵な気持ちになれる曲といえそうです。

G-Breeze:10点

 最初の透き通るような伴奏からはじまるこの曲は、全体的に明るくていいです。特にサビでの英語詞の使い方が抜群によいと思います。

プレクラスニー:10点

 テンポの良い曲調、爽やかな歌詞、とにかく聞き心地の良い曲です。サビの「Don't let me cry Don't let me sigh〜」以降の盛り上がりが特にいいです。何度聞いても飽きない、椎名へきるさんのシングルで1番好きな曲です。

ふめい:8点

 曲全体の構成が素晴らしいと思います。Bメロからサビへの入り方も盛り上がりがあり、歌詞を見ても、「慰め」ではなく「励まし」のように感じられ、とても好感が持てます。それを見事に歌いこなすへきるさんも流石だなと思いました。

結城 聞:6点

 ひとことこの歌の印象をいうなら「爽やか」だと思います。終始一貫してこのテーマが徹底されていて、すごく「分かりやすい」印象を受けました。内容は応援ソングといったところでしょうか。がんばっていればいいことあるんだなと思わせてくれる、そんな素敵な歌詞を是非是非味わいながら聴いてみてください。