星めぐり/折笠富美子

 

 

☆担当者コメント

 今年(2004年)1月に折笠富美子1stアルバム「Lune」が発売され、この曲はその1曲目に収録されています。この方は前にもシングルを出してますが、タイアップのついた物であり、本格的な歌手活動としてはこのアルバムが最初になります。そのアルバムの1曲目――初めて聞き手に押し出していく曲としてこの「星めぐり」は当に相応しいと思います。

 緩やかなメロディー、清々しい歌声、それに載せて歌われるテーマは単なる恋愛です。ただ今までアイドルや多くの歌手が歌ってきたそれらの多くは、表現することを自己の内面に特化していたり、もしくは表面上だけのものだったりしましたが、この曲はスケールが違います!

  星のようにめぐりめぐって目の前にはあなたがいる

今まで恋愛が表現されてきた色々な曲、そこで語られてきたものを超越したところに、この曲の世界観はあるのです。今までの曲は恋愛の過程――悩み、迷い――の時点で話を止めていましたが、大事なのはその先にあるそれを乗り越えて辿り着く境地、それこそが表現されるべきものだったのです。それを気持ちいいくらいストレートに表現してくれました。

 Aメロでは過程を表現し、Aサビで境地に辿り着き、Bメロではさらにイメージを膨らませています。そして最後には恋人への願い――

  変わらないで誰よりも強くそばで光っていてね
  たったひとつ永遠に私のために輝く
  コイビト…

――それも告白の様に切羽詰ったものではありません。こういうことを自然と思える境地に辿り着いているわけです。それに星が表現していたのは自分たちの運命だけではありませんでした。自分達自身が巡り巡って行く星だったのです。

 現実的な話、この曲は本当構成が上手いです。上に書いたように最後に「星」の意味するところを明かす訳ですが、そこまで「星」の別の意味で引っ張っていくことで、最後に聞き手をハッとさせる。そして余情として残していく。これは本当脱帽物でした。これを清々しいながらも深みのある声でさらっと歌っていることで、押し付けられた気分にもならずに自然とこの曲が境地としているところを抵抗もなく受け入れることが出来るのです。その意味では、作詞、作曲、そして声の織り成す「曲」という芸術の理想形とも言えるでしょう。とにかくこの曲は作詞の飯塚麻純、作曲の上野洋子、1stアルバムにしながら危うげなところも見せず豊かな声を披露している折笠富美子、全員が凄い!

※作詞:飯塚麻純 作曲・編曲:上野洋子 
※収録:折笠富美子1stアルバム「Lune」